色濃く残った君の影 冷たく震えた僕の声 ことばはいつも届かなくて こころは何度も傷ついた 色濃く残った君の影 部屋の片隅に君の服 今日が終われど夜が明けて 明日が来る…
しとしと降る雨は、梅雨が始まったことを見せつけるようにいつまでも続く。 わたしはと言えば、今日もいつもと寸分違わぬ見栄えのしない1日を終えようとしている。 雨は…
君のことを思い出した。 そういえば、去年の今頃は一緒に出かけていたっけ。 思い出したかったわけじゃないのに、嫌でも脳裏に君が浮かぶ。 君に教えてもらったお店、ふ…
時間が止まる。 言葉も失う。 君が少し気まずそうに笑う。 きっと君はこの時間の使い方を知らない。 僕が君の頬に手を添え、そっと唇を重ねる。 君は驚いて、ほとんど反…
日が沈みはじめていた。 ビルの中に閉じこもったままの普段は見ることがない真っ赤な空は、どこか別世界のようだった。 綺麗とかロマンチックとかそんな言葉は出てこなく…
お洒落とは少し遠い生活をしている君の、SNS。 みんなはお洒落な写真を載せているけれど、君の写真は居酒屋で飲んだお酒とか、偶然見つけた猫とか。 それはそれで君らし…
言えなかったけどね。
「ねえ、狭いわ」 「充分詰めたよ」 「あなたが大きすぎるのよ」 「ほらこれでいいだろ」 「髪踏まないでよ」 「長すぎるんだよ」 「短い方が好きなの?」 「そうは…
僕の君だった 僕の君のはずだった 僕の君だと思い込んでいた 僕の君だと思っていたのは僕だけだった 君はいつだって縛り付けられることなんか許さなかった 君はいつだ…
君に会いたい。
会いたい、なんて言ったら君はどんな顔をするだろう。暇人だなって馬鹿にして、少し困った声で笑って、それでも迎えに来てくれるんだろう。 君のその中途半端な優しさにい…
「いっそのこと思いきり拒んでくれたらいいのに」 中途半端に優しい君はそんなことできないってわかってるけど、つい吐いてしまった言葉。 君は狐みたいな目を少し丸くし…
君と同じ世界が見たくて、君と同じ世界に暮らしたくて、覗き込んだファインダー。 覗いた先に君がいないなんて、想像もしていなかったよ。
いつだって忙しない君は、隣の僕より小さな画面の向こうにいるみんなに夢中だ。 そんなの仕方ないってわかっているけど、気持ちはそう簡単に割り切れない。 しとしと降り…
絵が描きたかった。 けれど手元には、インクの切れたペンしかなかった。 新しいペンを手に入れることもできず、ただただその掠れたペンで掠れた絵を描く。 いつか色がつ…
目の前にいくつもの扉がある。 それは様々な色をしている。 頻繁に開け閉めされる扉もあれば、ずっと閉ざされたままの扉もある。 綺麗に塗装された扉もあれば、古びたま…
tayuta
2020年6月27日 22:57
色濃く残った君の影冷たく震えた僕の声ことばはいつも届かなくてこころは何度も傷ついた色濃く残った君の影部屋の片隅に君の服今日が終われど夜が明けて明日が来ると信じてた色褪せそうな君の影こころが褪せた今日の僕あの頃僕らは最強で世界に敵などいなかった色を失った君の影意味を失った明日の僕たとえば僕のひとことが喉から出ずにいたのなら
2020年6月11日 23:51
しとしと降る雨は、梅雨が始まったことを見せつけるようにいつまでも続く。わたしはと言えば、今日もいつもと寸分違わぬ見栄えのしない1日を終えようとしている。雨はすべてを洗い流すなんて言うけれど、この国の6月の雨はどうもそんなものではなさそうだ。しとしと、しとしと降り続けて、地面に、コンクリートに、植物に、己を染み込ませている。出来ることなら雨と一緒に、抱え込んでいるこの不安も洗い流した
2019年11月4日 01:26
君のことを思い出した。そういえば、去年の今頃は一緒に出かけていたっけ。思い出したかったわけじゃないのに、嫌でも脳裏に君が浮かぶ。君に教えてもらったお店、ふたりで使った近道、奥手な君が初めて手を繋いでくれた交差点。秋の風が、空気が、あの頃の記憶を連れてくる。今年の秋はまだからっぽで、より一層去年の鮮やかさに縋ってしまう。君は今なにをしているんだろうか。私の知らない女と、あの
2019年9月24日 22:50
時間が止まる。言葉も失う。君が少し気まずそうに笑う。きっと君はこの時間の使い方を知らない。僕が君の頬に手を添え、そっと唇を重ねる。君は驚いて、ほとんど反射で瞼を伏せる。固く、ぎゅっと目を閉じる。少し離して、もう一度重ねる。もう一度。……もう一度。君の顔がどんどん赤く染まっていく。
2019年7月2日 22:53
日が沈みはじめていた。ビルの中に閉じこもったままの普段は見ることがない真っ赤な空は、どこか別世界のようだった。綺麗とかロマンチックとかそんな言葉は出てこなくて、ただただあの赤く鮮やかな空を君に見せたいと思った。君が綺麗なものをみたとき。君が美味しいものを食べたとき。1番に伝えたくなるのは誰だろうか。どうか、わたしであって欲しかった。この空の下で、わたしと同じことを考えてい
2019年2月10日 21:42
お洒落とは少し遠い生活をしている君の、SNS。みんなはお洒落な写真を載せているけれど、君の写真は居酒屋で飲んだお酒とか、偶然見つけた猫とか。それはそれで君らしくて可愛らしいなあ、なんて思ってても言えないけれど。そんな君の投稿欄に、僕との思い出が増えていく。2人で行ったカフェのケーキや、君が好きそうだと思って突然プレゼントしたお菓子。恥ずかしくてあんまり2ショットが撮れないから、い
2019年2月8日 23:59
2019年1月11日 16:32
「ねえ、狭いわ」「充分詰めたよ」「あなたが大きすぎるのよ」「ほらこれでいいだろ」「髪踏まないでよ」「長すぎるんだよ」「短い方が好きなの?」「そうは言ってないだろ」「じゃあ長いのが好き?」「君ならなんだって似合うだろ」「そういうところ、好き」「知ってる」「ねえぎゅってしてよ」「わかったよ」「……おやすみ」「おやすみ」
2019年1月8日 21:32
僕の君だった僕の君のはずだった僕の君だと思い込んでいた僕の君だと思っていたのは僕だけだった君はいつだって縛り付けられることなんか許さなかった君はいつだって軽やかで、淡く浮かれた春のようで、同時に冷たく遠くの見えない冬のようでもあった去年より暑い10月から動けない僕は君が眩しかった君の僕になりたかった君の僕になれたら、僕もあんな風になれると思い込んでいた君の僕には
2018年12月29日 04:30
2018年12月23日 00:14
会いたい、なんて言ったら君はどんな顔をするだろう。暇人だなって馬鹿にして、少し困った声で笑って、それでも迎えに来てくれるんだろう。君のその中途半端な優しさにいつまでもしがみついてぶらさがって、離れられないのはわたしだ。いっそこの糸を思いきり切って、地の底に落としてほしいとさえ思う。でも君はきっと知ってるんだ。この糸を失ったあとのわたしのことを。わたしが怖くて怖くて想像することすら拒ん
2018年12月18日 23:21
「いっそのこと思いきり拒んでくれたらいいのに」中途半端に優しい君はそんなことできないってわかってるけど、つい吐いてしまった言葉。君は狐みたいな目を少し丸くして、「だってお前俺のこと好きなんだろ?」と当然のように言う。君の優しさが私に突き刺さってることに、君は一生気づけない。
2018年12月11日 21:22
君と同じ世界が見たくて、君と同じ世界に暮らしたくて、覗き込んだファインダー。覗いた先に君がいないなんて、想像もしていなかったよ。
2018年11月25日 21:02
いつだって忙しない君は、隣の僕より小さな画面の向こうにいるみんなに夢中だ。そんなの仕方ないってわかっているけど、気持ちはそう簡単に割り切れない。しとしと降り出した雨が僕の気持ちに追い打ちをかけるようにのしかかる。僕ばかりが君を想っているようで、君にはそれがちっとも届いていないようで、苦しくてたまらないんだ。
2018年11月19日 07:20
絵が描きたかった。けれど手元には、インクの切れたペンしかなかった。新しいペンを手に入れることもできず、ただただその掠れたペンで掠れた絵を描く。いつか色がつくことを夢見ながら。いつか美しい絵が完成することを夢見ながら。
2018年11月19日 07:12
目の前にいくつもの扉がある。それは様々な色をしている。頻繁に開け閉めされる扉もあれば、ずっと閉ざされたままの扉もある。綺麗に塗装された扉もあれば、古びたままの扉もある。けれど、たった扉1枚を目にしただけで一体何がわかると言うのだろう。部屋の中がわかるのだろうか。住人の性格がわかるのだろうか。扉は開けられるためにあるのであって、見られるためにあるのではないのだ。