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本気で「学ぶ時代」がやってきた
column vol.723
「大人の学び直し」がますます加速する中、リカレント教育(生涯学習)への国の支援もより強くなってきています。
その辺の情報が分かりやすくまとまっているのが、アエラの【「大人の学び直し」リカレント教育に国も支援 社会で働き始めてから専門的な学びが必要に】という記事です。
〈AERA.dot / 2022年7月20日〉
さて、どんな支援があるのでしょうか?
リカレント教育への国の支援が加速
リカレント教育の講座の種類は多岐にわたりMBA(経営学)、福祉・介護、地域創生、社会活動、さらにはコロナの影響で医療系の需要も高まっています。
その中でも特に課題と言われているのが、DX分野の人材不足です。
日本のデジタル人材は米国の1割程度しかいないと言われています。
日本が世界と伍するためには国家戦略として情報系に長けた人材の育成が急務というわけです。
こういったリカレント教育への必要性を捉え、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三つの省庁が連携して制度の策定、補助金や助成金の交付などを進めています。
2007年には学校教育法が改正され「履修証明制度」が創設され、一定のプログラムを修了した社会人に対して、履修証明書を交付。
ジョブ・カード(職業能力証明シート)に記載でき、再就職や転職の際、アピールできます。
さらに専門的な講座として「職業実践力育成プログラム(BP)」「キャリア形成促進プログラム」が創設され、それぞれのプログラムに応じた履修証明書が交付されているのです。
当初の条件では講座総時間数を120時間以上と設定していましたが、社会人の学びやすさを考慮して、19年から60時間以上となったことも大きいかと思います。
ちなみに文部科学省では、22年度、DXなどの成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育の推進事業を展開。
15.5億円の補正予算をもとに、大学や専門学校などを対象として、DXを始め、グリーン、医療・介護、地方創生、女性活躍、起業、イノベーションなどのプログラムの開発と実施を支援することになりました。
大学も今後は少子高齢化が加速していくことは明白なので、「リカレント教育」として提供している社会人向けの講座を充実していくことがますます求められるでしょう。
企業でも「本気のリスキリング」へ
もちろん、学習への取り組みは企業間でも加熱しております。
その一例が宅配業のヤマト運輸でしょう。
デジタル人材1000人を本気で育てるための「リスキリング(学び直し)」を行っているのです。
〈NIKKEI STYLE / 2022年7月20日〉
2021年4月に発足させた社内教育の「ヤマトデジタルアカデミー」。
社内から毎回30人ほどを選抜して2ヵ月間のデータ教育を実施。
講師2人体制でプログラミング言語の「Python(パイソン)」やデータベースを操作する言語の「SQL」などを教えています。
講座内容は、エクセルの応用からデータサイエンティスト向けの実践的な内容まで10種類を用意。
3年で1000人の専門人材を育てることを目標に掲げています。
では、なぜここまでヤマト運輸がリスキリングに力を入れているのか?
それは、外部人材を引き抜くだけでは不十分だという結論。
現場を知る既存社員と、データ分析を熟知するデジタル人材の間を繋ぐ「ブリッジ人材」が欲しいというわけです。
確かに、ブリッジ人材がいないとせっかく中途でを採用したデジタル人材も宝の持ち腐れになる可能性があります。
これはどの分野でも同じ、会社のイノベーションの方向性を理解し、先手打って足りないスキルやノウハウを学習することは、たとえ自腹であっても長期的に見れば、得をする可能性が高い。
やはり「大人の学び直し」は、不安社会の中で自信を持って歩むための大切な自己投資なのです。
「起業熱」は高校生にも広がる
学習に力を入れるのは社会人だけではなく、学生も同じです。
「学生は勉強をするのは当然だろう」という声もあるかと思いますが、学生が勉強しているのはビジネスです。
それも、この時代のキーワードとなっている「起業」です。
「1万人の高校生社長を育てる」
エンジェル投資家と若手起業家を結び、スタートアップの育成につなげることを目指す、SEVEN代表の山本敏行さんは、ユニコーン企業(時価総額10億ドル以上)を日本から次々に生み出していくために、「高校生社長1万人プロジェクト」を行っています。
〈ZD Net Japan / 2022年7月14日〉
本プロジェクトでは起業に関するアドバイスに加え、シリコンバレーへの留学などを通じ、アントレプレナーシップ (起業家精神)を育むことができる機会も用意。
最終的に起業の道を選択しない場合でも、高校生が 生きる力を身に付け、将来のキャリア構築に大いに役立つものとなっています。
さらに、起業したい高校生が放課後に情報交換などを自主的に行うために毎週集まる「放課後起業部」というものもあるそうです。
高校生のこんな意気込みを耳にすると、大人は起業ぐらい当たり前に学んでおかなくちゃいけない気がしてきますね(笑)
最近では、副業が解禁され、それが当たり前になる世の中になっていってますが、今後は会社に勤めながら起業することが当たり前になると面白いですね。
週休3日制の論議も進んでいますが、副業にせよ、起業にせよ、1億総パラレル時代も遠くなさそうです。
何にせよ、最終学歴よりも「最新学習歴」。
「働く」と「学ぶ」が併走することが大事ですね。
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