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「サステナブル・ファッション」の本道

column vol.350

【古着市場、10年後にはファストファッションの2倍の規模に?】

BAZZARの記事のタイトルに目を奪われました。

〈BAZZAR / 2021年6月25日〉

セカンドハンドファッション(中古衣料)のECサイトを運営する米スレッドアップによると、衣料品のリセール(再販)市場は今後10年、従来の小売市場をはるかに上回る速さで成長し、2030年にはファストファッション市場の2倍の規模になると予想しています。

リセール市場はおよそ11倍のスピードで成長

スレッドアップが市場調査会社グローバルデータの協力を得てアメリカで実施した調査の結果、リセール市場は従来型のファッション小売市場およそ11倍のスピードで成長していることが判明したのです。

リセール市場は2030年までに、840億ドル(約9兆3100億円)規模の市場に拡大する見通し。

一方、同じ年に予想されるファストファッション市場規模は、およそ400億ドル(約4兆4300億円)とされています。

いやはや…驚異的なリセール市場の急伸です。

スレッドアップのバイスプレジデント、カレン・クラークさんは『WWD』に対し

「セカンドハンドファッションには、ファッション(業界)を変える力があるということです」

と述べていますが、日本でもこれだけフリマアプリが活用されている世の中なので、これからの10年は今までとは桁違いのリセール市場の伸びになることが予想されますね。

梅雨の憂鬱がバッグに

雨が続く日々を過ごしているとよく見かけるのが、忘れられたビニ傘です。

私も傘をすぐに無くしてしまうので、30歳過ぎてから折りたたみ傘しか買わなくなりました。

そんな中、大丸梅田店が6月23~29日の期間、顧客から引き取った廃棄傘アップサイクルする取り組み「モトカサプロジェクト」を実施。

廃棄傘からオリジナルバッグを製作し、同店1階の婦人洋品売り場で販売しました。

〈WWD JAPAN / 2021年6月23日〉

同店では傘の買い替え時に顧客から引き取る傘年間約300本。不用傘は産業廃棄物として処分されるため、廃棄コストもばかになりません。

そこで、ビニール傘から生まれたブランド「プラスティシティ」を製造販売するモンドデザインと手を組み今回のチャレンジに踏み切ったというわけです。

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なるほど!なかなか素敵なバッグなのではないでしょうか。

1人の社員さんからの問題提起から生まれた企画とのことで、意識の高い社員がいること、人財力の大切さを実感。心が晴れるニュースでした。

パンクに攻めるサステナブルファッションショー

最後は、サステナブルファッション根底に触れた事例を1つ。

6月27日、「DOUBLET」2022年春夏メンズコレクションを発表。ショー会場に選んだのは、東京都三鷹市にある三鷹オーガニック農園でした。

〈VOGUE / 2021年6月28日〉

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デザイナーの井野将之さんによると「環境によい素材や仕組みの中で作り上げた」とのこと。

食べ物植物加工した後に出る液染色したり、キノコの栽培の技術で作られたレザー間伐材を用いた木糸を用いるなど、先シーズンの「再生」の手法から一歩進んだよりサステナブルな取り組みをしています。

また、テレワークの普及により「洋服の青山」のスーツの売り上げが減っているというニュースを見たのをきっかけに、在庫を買い取って解体再構築

我々にとっても身近な社会課題を反映した取り組みも披露しました。

一方、井野さんはものづくりの過程で、「どんどんいい子になっていっているのに違和感を感じた」そうです。

そこで相反する要素をぶつけることで「環境に良い/悪い」ということではない見方ができるようにしたいと、環境に優しい素材をあえてボロボロにするなど、パンクのイメージを融合。

基本は単純にカッコ良い。でも、実はサステナブル。そのバランス感が井野さんの答えというわけです。

確かにそうですね、ファッションはちょっと尖っていて欲しい

その上で、さらりとサステナブルがベーシックにある

サステナブルであることがフューチャーされるうちは、まだまだサステナブルな世の中ではないのかもしれません。

サステナブルなことがニュースにならない。そんな理想的な世の中は難しいとは思いますが、一歩一歩近づけると良いですね。

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