やる気のない部下へのリード術
column vol.383
今朝ご紹介したいずるんさんの記事の中で、私に対してこんなありがたいお言葉をいただきました。
社員が自分の会社を誇りに思わないと、心から商品やサービスをすすめることはできない。でも実際働いてみるとそういう会社は本当に少なくて、だから池さんのような方が企業をいい方向に導いてくれていて素晴らしいなと思いました。
…う〜ん、感無量です…。
…とは言っても、私自身まだまだリーダー(経営者)修行中の身。現実的には毎日が四苦八苦で力不足を感じる日々を送っています。
ただ、日頃社員のモチベーションを高めるために意識していることがありますので、そちらを本日は事例記事と絡めてご紹介したいと思います。
社員のやる気が出ない理由
「あの人はやる気がない!」
そう思う社員の一人や二人は、どなたの頭にも浮かぶのではないでしょうか?
しかし、認知科学の専門家で明治大学教授の石川幹人さんは現代社会において、やる気の出ない社員が生まれるのは必然だと語ります。
〈東洋経済オンライン / 2021年6月22日〉
原始時代、目の前に獲物がいて、ついつい集中力を欠いて他のことを考えちゃったという状況にはならなかったでしょう。
その理由の1つは、仕事(狩猟)と生きることが密接に繋がっていると、本人が実感していたからです。
そして、もう1つの理由は「主体的」であるということでしょう。
狩猟だけではなく、木ノ実を採ることもあくまでも自分の意志で行っており、原始時代は、現代で言う「やらされ仕事」の要素が今に比べて圧倒的に少なかったはずです。
一方、現代に向かって歴史が進むにつれ、仕事は組織化され、いつかは「社員は会社の1つの歯車」という言葉が生まれました。
要するに会社勤めしていると、「生きることと密接」という感覚とか「主体性」が欠落しやすい状況になってしまう。それが、やる気が出ない社員を生む大きなファクターとなっています。
つまり、やる気が出ないのは「やらされている」と思っているから。それは、学生時代の勉強もそうですね。
ですから、少なくても「やる気がない」社員がいたら、それは組織をつくる自分にも責任があると思っています。
社員を支配するような質問はNG
相手をリードする時に、「正解を言うのではなく質問をすることで気づかせることが大事」という言葉をよく聞きますが、意外と気をつけないといけないのが、その質問で社員を自分の意図通りにしようという思いがあるなら逆効果です。
『LEADER’S LANGUAGE(リーダーズ・ランゲージ) 言葉遣いこそ最強の武器』を執筆したL. デビッド・マルケさんは上司が行なってはいけない7つの質問があると語っています。
〈東洋経済オンライン / 2021年6月23日〉
●上司が行なってはいけない7つの質問
①くどい質問〈例:「本当にちゃんとそれをやったのか?」〉
②誘導尋問〈例:「何で今回ダメだったと思う?」〉
③「理由」を問う質問〈例:「なぜそれをしたいと思う?」〉
④ダーティーな質問〈例:「(言い難い相手に)なぜ面と向かって言えないのか?」〉
⑤二択の質問〈例:「それでうまくいくのか?」〉
⑥自分を肯定する質問〈例:「言いたいことはわかるな?」〉
⑦攻撃的な質問〈例:「では何をすべきだ?」〉
詳しくは東洋経済オンラインの記事を読んでいただきたいのですが、要するに「責めている」「自分の意のままにコントロールしている」と思われてしまえば、質問(気づかせる)という目的は意味が無いものになってしまいます。
そこで、マルケさんはまずは現状を把握させることが重要だと指摘します。
例えば、何か部下が大きなミスをした時に「どうしてこういうことになったの?」と聞くか、「何があったの?」と聞くのでは全く違います。
前者は責めていますが、後者はまずはフラットに現状を整理しましょうという意図が伝わります。
そうすると大抵部下は、いかに自分が普段頑張っているか、そして、外部的要因について語ろうとすると思います。
それをしっかり尊重、理解し、部下を受け入れた上で、では今後本人が何をすべきかを自分で考えてもらうようにすることがベストです。
そういった丁寧なステップが肝要になります。
ここを怠ってしまうと、失敗を恐れる事勿れ社員に導いてしまうことになります。そうなれば、仕事に対してやる気が出ることは無くなるでしょう。
「リーダー育成=主体的社員育成」の方程式
主体的な社員を育む上でとても参考になるのが、日経クロスウーマンの【役職なくてもリーダーに 誰もがチームを引っ張るヒント】という記事の中にありました。
〈日経 X woman / 2021年6月18日〉
リーダーは職位ではなく、役割。誰にでもチームを引っ張れる存在になれると語られている記事なのですが、ポイントは3つあります。
(1)自分自身をリードする
(2)過去を振り返る
(3)想像力を持つ
(1)は自分自身にどんな情熱や理想があるのかを明らかにする。(2)はそのために自分の過去を紐解くということです。
歩んできた半生に自分のエモーションのタネがあるというわけです。
そして、(3)は未来予測です。これを行うことでチームがどのように変化するかなど、1つ先のシチュエーションを想像する。
この想像はより個人の主体性を育む上でも有効です。
私がよく若い頃に言われてきたのが「1つ上の役割を想像する」という言葉です。
1つ上の役割を想像することで、自分が何をすべきかより明確になりますし、次の職位の役割を果たせるようにアクティブラーニングします。
よく「私は今、この立場(職位)なので、この業務を求められるのは間違っていると思います」と言う人がいるかと思いますが、私はただただ勿体無いなぁと感じてしまいます。
成長するチャンス、周りから尊敬されるチャンスを自ら棒に振っているからです。
私は言われたことよりもさらにずっと先の姿である「自分が社長だったら」と思って仕事をしてきました。
なぜなら、その方が楽しいからです。
自分が社長だったらこんな会社であって欲しい、自分が社長だったらこんな自分でありたい。その積み重ねは今の副社長の仕事に活きています。
少なくても、今の会社に入って毎日「辛い」とは思いますが「つまらない」と思ったことは一度も無いです。
どの会社にいても、若い時ほど常に転職することが視野に入るかと思いますが、嫌なら辞めるのであれば、なるべく主体的に色々チャレンジしておいた方が得だとも考えていました。
今は経営する側になりましたので、「主体的にチャレンジしないと損」と社員に思ってもらえるような環境づくりをもっとしていかないといけないなと感じています。
こういった想いは普段、慌ただしい毎日の中を走っていると、ついつい忘れがちになってしまいます…。
そういった意味で、今回のいずるんさんのお言葉を活用させていただき、改めて自分の考えを整理することができました。
記事をご紹介いただいき、さらには副社長としての想いを再確認するきっかけを作っていただいた、いずるんさんに重ねて御礼申し上げたいです。
持つべきものはnote友達。ノー友です。
多くのノー友との出会いに感謝したいと思います。
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