「Z世代」との良き付き合い方
column vol.510
当社は有給5日消化義務対応もあって、28日から冬休み。27日が年末最終出勤日になります。
実質今週で最後なのですが、コロナ前なら忘年会真っ盛りです。
当然、同僚と飲みに行くこともありました。
ところがこの2年のステイホーム期間があったからか、日本生命保険が先月17日に公表したアンケート調査結果では「不要派」が6割にも上りました。
〈日刊ゲンダイ / 2021年11月28日〉
【「勤労感謝の日」について(男女7,774人回答)】と題した調査の中で「職場の方との飲みニケーションは必要か?」と質問したところ、「どちらかといえば」と合わせて「不要」が61.9%に。
昨年の調査から16ポイント以上も急増し、不要が「必要」を逆転したのです。
Z世代は対話を重要視していないのか?
若い世代は特に不要だと思う傾向にあるのかもしれません。
そもそも終身雇用制は崩壊し、その会社にいつまでいるか分かりません。さらには、その会社がいつまであるかも分からない世の中です。
また、スキルやノウハウの進化が激しくて、上司から学ぶことも必要ですが、24時間しかない時間の中で、会社では学べない新しい知識を他で学びたい気持ちもあるでしょう。
しかし、就労人口の一番若いZ世代であっても、コミュニケーションが大切だということはもちろん感じているはずです。
そんな中、X世代の私でも驚く新しい取り組みを仕掛けた会社があったので共有させていただきます。
何と、「サウナ採用」を始めた会社があるのです。
〈JIJI.COM / 2021年12月19日〉
サウナ採用とは、その名のとおりサウナを通してお互いの理解を深め合う採用方法です。
行っているのはコンサルティング会社「僕と私と株式会社」。
応募者の魅力をより引き出すために、希望者に対しサウナ施設を楽しみながら代表と1on1で採用面接するのです。
プロセスは4ステップあります。
1. サウナでアイスブレイクし、親睦を深める
2. 仕事について知る
3. 一緒にご飯を食べる
4. 面接
面接だけでなく、普段から社内で行われているサウナワーケーションに参加することで、社内の雰囲気や仕事の動きなどを実際に体験し、その後は食事も一緒にします。
このプロセスを経ることで、入社後のギャップはそれなりに解消されるはずです。
「飲み」ではない「新しい交流」のカタチ
この会社の社長は、今瀧健登さん。1997年生まれのZ世代です。
同社はもともとサウナの「整う作用」を活かし、日々の疲れを癒やしながらリラックスした状態で働いてもらうための「サウナ部」を福利厚生の一環として実施しています。
月に1回、コワーキングスペース付きサウナ施設に集まり、サウナや岩盤浴、おいしい食事などを堪能しながら働く「サウナワーケーション」は社内メンバーからも大人気とのことです。
これにより、日々の業務のモチベーション向上にも繋がっていると同社は話します。
つまりは、心の交流は別にアルコールに頼る必要もない。むしろ、最近の若者はお酒を飲まない人も増えているので、わざわざ飲む必要もない。
逆に、我々のようにお酒を飲まないと胸襟を開けない世代とは根本的に違うのかもしれません。
考えてみると、彼らは10代の頃からSNSで知らない人と繋がり、知らない人とオンラインゲームを行い、楽しんできています。
もしかすると、人付き合いについて、私たちの世代よりもずっとフランクで長けている可能性もあるかもしれません。
飲み会は飲みが嫌ではなく「○○」が嫌?
この「フランクがキーワード」だと思うのですが、私は「飲み会不要論」の根本的な原因は「ヒエラルキー」にあると思います。
若い世代からすれば、上の世代から偉そうにされたくないでしょうし、上の世代からすると「パワハラという風に思われたくない」ので気を遣う。
お互いが億劫になるのはヒエラルキーが根底にあるからだと思います。
そんな中、これからの世代間コミュニケーションのヒントになる事例があるのでご紹介させていただきます。
どうやら今、「かわいい上司」が人気のようです。
〈NEWS ポストセブン / 2021年12月18日〉
かわいい上司とはこんな人のようです。
「私が好きなアニメの話をしたとき、『アニメはあんまり観ないからなぁ』ってピンときていない様子だった上司が、翌日にそのアニメを観て感想を言ってくれたんです。『登場人物の名前がややこしくて覚えられない(笑)』と言いつつも、『今はああいうのが流行っているんだね~。知っておかないとな~』と。その話を同期飲みでシェアしたら『え、その上司かわいい!』と盛り上がりました。
どうやら今の時代、「かっこいい」とか「頼りになる」とかより断然、『かわいい』方が上司のランクは高いそうです(笑)
つまり、ヒエラルキーを感じさせないフラットな組織を形成しつつ、交流することが重要な時代になっているということでしょう。
「職位」は権威ではない
これまでの組織はピラミッド構造で上司は「偉い人」でした。
もっと言えば年功序列が根底にあり、先輩や年上は敬うのが常識でした。
でも、Z世代は根本的に私たちの時代に比べて圧倒的に縦社会の感覚が薄まっています。
考えてみると親子関係でも我々の世代とは違い、今の親子は友達みたいです。
学校の先生だって今の時代「大人の言うこと聞け!」なんて怒鳴ったものなら問題になります。
今のZ世代は私たちのように「縦の抑圧」に慣れていないのです。
とはいえ、変化の激しい今の時代は、若者の新しい感性や柔軟性は絶対的に必要なので、なるべくピラミッドをやめて、サークル型に組織を変容していった方が時代に愛される企業になっていくでしょう。
実際、若者から学ぶことはとても多いと思います。
だから、「お互いが学べるし、お互いが分かり合えて良いね」となれば、もっと自然発生的に交流は生まれるはず。
職位は「役割」。権威として捉えるとこれからの時代もったいのです。
そもそも飲みニケーションのキーワードは「無礼講」です。普段ある強い縦の関係をその場だけでも崩し、心の交流をすることが飲み会の最大の役割でした。
ということは、本来心の交流はヒエラルキーのないところに存在していると言えます。ということは、ヒエラルキーさえ捨てれば、世代を超えていつでも酒がなくても心の交流はできるということにもなります。
もちろん、酒好きな私としては「飲みニケーション」を若い人たちともしたいですが(笑)
そんなことを思う師走の夕暮れでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?