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“見送る”選択

column vol.1226

全ての方に支持される企業を目指したい

それがビジネスパーソンみんなの理想ではありますが、本当に「全ての方」が良いか悩むことはあるでしょう。

一方を立てれば、一方が立たない

そうした事態に直面することがあるからです。

そこで今日は、そうした課題の中から3つの課題を取り上げさせていただき、その解決事例を併せてご紹介したいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊


時に神対応を見送る勇気

まず最初に取り上げたい課題お客さんからのクレームです。

クレームは企業を成長に導く反面、ともすればカスハラにつながることもある。

社労士向けサービス「KiteRa Pro」などを展開する株式会社KiteRaが実施したカスタマーハラスメントの調査(全国20代以上の男女601名)によると、

約3人に1人カスハラが発生している場面を目撃したことがあると回答。

〈PRTIMES / 2024年6月19日〉

こちらの記事を読んでいる方の中にも、「見たことあるよ」という方は多いでしょう。

そうした中、山口周さん【「客への神対応」に熱心な企業はむしろ潰れやすい…山口周が考える「今後急成長する会社」のたった一つの特徴】がヒントになると思ったので共有させていただきます。

〈PRESIDENT Online / 2024年5月10日〉

アファーマティブ・ビジネス・パラダイムによって、顧客のルーズなニーズやウォンツに対して適応することを続ければ、やがて社会全体の風景がルーズな方向に引きずられ、それはまた、その市場のグローバルな競争力の喪失にもつながるということです。

アファーマティブ・ビジネスとは、顧客や投資家などの要求を肯定的に受け入れる考えのこと。

つまり、「顧客の声をきちんと聞きましょう」ということです。

これはこれで大切なことでもありますが

一方で、その要求に応えることで、その企業や商品の価値を下げてしまう可能性もある。

例えば、コンセプトがハッキリしている商品ということで多くの人の心を掴んでいたのに、クレームを受け止めているうちに、引っかかりのない商品変わっていってしまったとしたら、本末転倒なこと。

他にも、顧客接点の場である小売店では、人気イベントだったのに、お客さんのクレームでなくなってしまう場合もよくあります。

これは、クレームを言った方の満足にはつながりますが、このイベントを楽しみにしていたお客さんの不満足を引き起こすことになってしまう…

ここは慎重に判断する必要があるでしょう。

そこで大切になるのが、「Who」「What」確認です。

誰にどんな価値を提供したいのか?

結局のところ、みんなが満足しようとするものを目指してしまうと、個性のないものになる可能性がある。

誰も文句はないのだけど、誰も本気で好きな人はいない、そうした落とし穴にハマる可能性は高いのです。

だからこそ

どんな方(Who)に、どんな価値(What)を提供したいのか?

ということ明らかにする。

ここで2つ目の課題を取り上げながら、もう少しこのことを深掘りしたいと思います。

2つ目の課題とは、オーバーツーリズムについてです。

観光地に多くの人々が訪れることは嬉しいことですが、バランスが崩れると、誰もが満足できない状態になってしまう…

そうした中、ある程度、制限する方向で手を打つ観光先も増えています。

そのパイオニアと呼べるのが、京都の「苔寺」(西芳寺)です。

〈現代ビジネス / 2024年6月16日〉

苔寺といえば、スティーブ・ジョブズも愛したお寺

実は1976年当時は、1日あたり2000人、多い日には8000~9000人の参拝客が来訪し、混雑、渋滞、騒音、ゴミのポイ捨て、更には苔の踏みつけによる荒廃が問題になっていました。

そこで当時、1人400円だった参拝料を翌年思い切って3000円に。

さらには、「往復はがきによる完全予約制」による参拝とし、必ず写経をしなければ、苔を見ることができないという障壁を設けたのです。

(現在はウェブサイトからの申し込みも可能に/参拝料は4000円

そうして、1日あたりの訪問客については150人を目安に制限。

これにより、本当に苔寺を愛する方に真の価値を体感できるようにしました。

こうした判断は非常に難しいことではありますが、

どんな方にどんな体験価値を提供したいのか?

そこを明らかにしないことで、皆の心が離れてしまうリスクを考える必要はあります。

やはり、価値の魅力を薄めるというのは避けたいところでしょう。

気持ち良く退店いただく工夫

最後は、ひと味違う切り口をお届けして本日はお別れしたいと思います。

お別れといえば、閉店のお見送り

楽しい時間に水をさす心苦しい瞬間ではありますが…、やはり気持ち良く退店していただきたいものです。

日本では『蛍の光』がお店で流れたら「さぁ、帰ろう」となりますが、どうやら海外の方にはこの曲ではピンとこないとのこと。

〈テレ朝NEWS / 2024年6月14日〉

アメリカでは新年の曲というイメージのようで、日本人のようにはいかない。

そこでダイソーでは、音楽配信事業などを手掛ける「USEN」早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所と共同で海外の方にも伝わりやすい閉店音楽の楽曲づくりに挑戦。

「Good Day 〜閉店の音楽〜」という一曲を誕生させたのです。

こちらは「郷愁感」をキーワードに小編成のオーケストラで、ゆったりとした曲調に仕上げたとのこと。

すると効果てきめん

皆さん、すんなりとお店を後にされるようになったとのことです。

実際、海外の方にお聞きすると

「新しい楽曲のほうが『閉店』という感じがします」
「『家』をイメージさせます」

など、狙い通りの回答が。

「新しい曲のほうがとても落ち着く響きで、リラックスできます」

という声もあり、皆さん気持ち良く退店できているようです〜

こうした事例は、他の小売企業にも大きなヒントとなるでしょう😊

〜ということで、今回は「見送る」というテーマでお話しさせていただきました。

カスハラやオーバーツーリズムの問題は、簡単にはジャッジできない部分はりますが、最近では各社様々な対応を見せておりますので、そうした事例を参考にしながら、考えていけると良いですね。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!


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