「言葉の力」と、その尊さ
column vol.307
今朝、日経新聞を読んでいたら、つい見入ってしまう広告を目にしました。
旭酒造株式会社の意見広告です。
飲食店を守ることも日本の「いのち」を守ることにつながります
とてもシンプルな言葉ですが、広告コピーの強さを感じます。
私の友人はこの春、10年間愛されてきたレストランを閉店しました。他にも苦しい日々を過ごす飲食店の知人を多く知ります。
そういった苦しむ方々に対して少しでも力になりたい。桜井一宏社長の溢れる想いと勇気があったからこそ、これだけ強い広告になったのだと思います。
広告の持つ可能性
コロナ禍の広告として最近話題になっているのが、宝島社の広告でしょう。
ワクチンもない。クスリもない。
タケヤリで戦えというのか。
このままじゃ、政治に殺される。
宝島社らしい大胆な広告です。
コピーライター&クリエイティブディレクターは株式会社ADKクリエイティブ・ワンの三井明子さん。TCC賞、ロンドン広告賞シルバー、ニューヨークフェスティバル賞シルバーなど、数多くの賞を受賞している素晴らしいクリエイターさんです。
「広告の時代は終わった」と言われていますが、企業の本気と凄腕コピーライターの力が重なると、とてつもないパワーになる。そして、スッと共感できる言葉に磨かれます。
何と言っても「タケヤリ」という一言です。この比喩表現によって一気に反論を収束させる納得値を作り出しています。
先ほどの桜井社長の想いもご本人がSNSで素のままの言葉で語ると、もしかしたらもっと表現がささくれ立ってしまっていたかもしれません。
そこにコピーライターのよる共感ポイントへの繋げ方があるから、多くの人の心に届く。やはり、コピーライターの力は偉大です。
秀逸ネーミングでピンチをチャンスに
トマトでよく見られる「尻腐れ」。果実の一部が黒く変色してしまう症状で知られていますが、実は「甘さ」の証拠。見た目の悪さで流通に乗りませんでしたが、「闇落ちとまと」という名前にしたことで人気が爆発したそうです。
〈HUFFPOST / 2021年5月22日〉
大変甘いのですが見た目が怖いので敬遠されてきました。並外れた資質を持ちながら暗黒面に落ちたアナキン・スカイウォーカーみたいでかわいそうですよね!
「闇落ちとまと」というネーミングだけではなく、アナキン・スカイウォーカーに例えたのが秀逸です。心の底から同情してしまいました(笑)。
そもそも「尻腐れ」はトマトを甘くするために水やりを少なくすることで生じる症状。つまりは「甘いですよ」と言っているようなものです。
曽我農園の公式Twitterでこの投稿がアップされて6時間ほどで5万回以上もリツイートされ、大きな反響を呼びました。
ここでも言葉の力をヒシヒシと感じます。
何をやってもうまくいかないときは
最後は、インスタグラマーの言葉です。
60万人以上のフォロワーから支持されている、たぐちひさと(@yumekanau2)さんをご存じでしょうか?
〈DIAMOND online / 2021年5月16日〉
苦しいときは
すべて自分中心で考えている
うまくいかないときこそ
相手のことを考えていれば
おのずと運がやってくる
「他人を変えることは難しい。けれど、ほんの少し自分の見方や言動を変えるだけで心がラクになることもあります」。そう語るたぐちさんの言葉に共感が集まり、累計「いいね!」数は、なんと200万を超えるそうです。
ちなみに詩ということで言えば、大学生の頃出会った谷川俊太郎さんの「朝のリレー」を読むと未だに胸がジーンとします。
世界はつながっている。
そのことを一切説教くさくなく自然に感じさせてくれます。
「活字離れ」「動画の時代」と言われながらも、言葉はやっぱり強い。
今日紹介させていただいた珠玉の言葉に憧れながら、一人のnoterとして、自分の書いた言葉に磨きをかけねばと思う一日でした。
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