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「5%」が資本主義を変える

column vol.565

今朝、日刊ゲンダイデジタル【岸田首相が掲げる「新しい資本主義」 成長と分配の戦略はこの春闘が正念場】という記事を読んでいて、そろそろ当社では下期の評価が始まり、「賃上げ」を意識しないといけないなと、連休中にも関わらず、すっかり仕事モードになりました…(汗)

〈日刊ゲンダイデジタル / 2022年2月10日〉

「成長と分配の好循環」を掲げる岸田政権ですが、「資本主義」は今、歴史の曲がり角にあると感じます。

アメリカでは2019年、共産主義の犠牲者記念財団(Victims of Communism Memorial Foundation)と調査会社YouGovが実施した調査で、ミレニアル世代70%Z世代64%社会主義を肯定するという結果になり、話題になりました。

この数字をどう見るかは個々人で考え方が違うとは思いますが、少なくても従来の資本主義では格差ばかりが広がるだけで、何となく上手くいかないのではないかというムードは、世界的にありますね。

「ステークホルダー資本主義」の台頭

「新しい資本主義」といっても、さまざまな考え方が存在しているので、これから正解をつくっていかないといけないわけですが、目の前の経済的な課題をクリアしていくことは大切として、もう少し上段の視点が求められていると感じます。

それが、以前【仏教から学ぶ「新しい資本主義」】で触れました「ステークホルダー資本主義」です。

自社の利益社会の利益両立する経済のこと。

お客さま、株主だけではなく、「お取引先企業」「社員」「将来世代」「地域・社会」など、関係するステークホルダー(利害関係者)全方位に配慮しながら企業としても利益を上げていく両輪経済です。

今、企業の経営はSDGsESGという言葉に代表されるように「サステナビリティ」を必須の項目として織り込んでいかないといけません。

私が初めてステークホルダー資本主義という言葉を知ったのは、昨年の世界経済フォーラム(WEF)の年頭会議の頃。

「グレートリセット」がキーワードに掲げられましたが、サステナブルな社会を実現しながら経済活動をしないと、人類の未来はないという厳しい見解でした。

「グリーンエコノミー」という言葉がフューチャーされたり、岸田政権の中でも「クリーンエネルギー戦略」を重視するなど、今後はSDGs自体が成長戦略の柱になっていくとも言われています。

「5%」の消費者が社会を変える

そんな中、『サステナブル資本主義』の著者であり、ゴールドマン・サックス証券などでも活躍した村上誠典さんの記事が興味深かったので共有させていただきます。

〈Newsweek / 2022年2月1日〉

社会は一部の選ばれし者たちが導くトップダウン型であるという見方は当然あるとして、その対極に5%の大衆のマイノリティが世の中を変えるという「ボトムアップ型」が存在していると、村上さんは語ります。

確かに、当社でも「革命は少数派から」という言葉を使うほど、マーケットの中での一部の熱を持った大衆のマイノリティがトレンドを生み出している事実があります。

村上さんはサステナブルな社会を実現するために考える生活者(消費者)が5%いれば、資本主義は新しいカタチに変わると示唆しています。

なかなか地球規模(社会全体)で考えるのは難しいので、個人レベルで考えてみることにします。

自分がこの先安心して豊かに暮らしていくには、どんな世の中が良いかと夢想する。100年人生ならば、私の場合だと、あと50年は生きなければなりません。

お子さんがいらっしゃる方なら、その子が希望をもって毎日を過ごせる社会と考えるならば、22世紀も見据えたさらに長期視点で物事を見通すことになります。

村上さんは、まずこういった長期視点で社会を考える生活者が少ないと指摘します。「思考する土壌」がないという指摘です。

例えば、スーパーに並ぶキャベツの値段を判断する時、その妥当性は今までのその店で売られている販売価格だったり、周りの店との比較が主な判断材料になります。

しかし、突き詰めて考えてみると、「地球のこと」「燃費のこと」「生産者のこと」「農薬のこと」など、目を向ける項目は数多あります…。

いやいや、自分の生活だけでも大変なのに…という声も当然あるとは思います。

ただ…結局、それが局地的な歪みだとしても、それが連鎖して社会全体の歪みになり、自分に繋がっていく

今回のパンデミックがまさにそうですね。

さまざまな株と闘ってきた日々ですが、発信源が普段想像しないような遠い国の知らぬ場所であったとしても、それが結局は自分の生活に繋がっている

もしかしたら、普段モヤモヤしている悩みの発信源知らない国知らない場所である可能性はあります。

コロナは連鎖する社会」を教えてくれたというのが、個人的には一番の教訓だったと感じています。

豊かさの指標はGDPだけなのか?

そもそも、「お金だけが幸せではないよね」と、そんな考えが社会の中に流通していく中、未だGDP一極の豊かさ指標が存在しています。

いや、もちろん他の指標もありますが、GDPほど市民権を得ていないという意味です。

私が尊敬する面白法人カヤックの柳澤大輔さんの『鎌倉資本主義』は、4年前に発売されたのですが、最初にこれからの資本主義経済を考えるきっかけとなりました。

同社は、鎌倉を拠点にしている会社なのですが、地域の自然地域との繋がり資本として見定め重視する。

「地域経済資本―財源や生産性」「地域社会資本―人のつながり」「地域環境資本―自然や文化」の3点のバランスを調和させる経済システムを構築することを目指しています。

そこで、「かまコン」と呼ばれる地域会議を設置し、鎌倉という町全体で理想の経済のあり方を構築していく。

例えば、お金ではなく「地域の人の繋がり」が積み重なっていくサービス(商品)を開発するなど。

確かに、価値観が合う人が増えるというのは、お金にはない豊かさです。

私がnoteの記事を書く上の一番の対価はこれだと思います。

私が毎日コラムを書いても、一銭も手にすることはありませんが、価値観の合う人からの共感を手にすることができる(…できています…?)。

…もしも私の実感が幻ではなければ、私は共感という財を毎日手にすることができているというわけです。

もしもこんな考え方に興味を抱いた方がいらっしゃれば、ぜひ『鎌倉資本主義』ご覧いただけると幸いです。

庶民レベルの「新しい資本主義」論

ということで、本日は「新しい資本主義」について、いろいろと語らせていただきました。

何が正解かはこれからなのかもしれませんが、何かモヤモヤするという人が少なからずいる世の中なのではないかと感じています。

だからこそ、それぞれの「新しい資本主義」を思い浮かべて、理想を語り合う時期に来ている、そんな予感がします。

もちろん、平和的に論じるカタチが良いですが…。諍いはまたパンデミックのように不幸を連鎖するだけですからね。

これは本当に直感なのですが、もちろん、一部のカリスマ的リーダーが新しい世界を示唆することはあるのかもしれませんが、実は本質的な変化は大衆から草の根的に生まれると考えています。

次の時代は、5%の大衆のマイノリティが創り上げていく。信じるか信じないかはあなた次第です(笑)

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