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「ハイブリットワーク」への追究

column vol.817

最近、朝の通勤電車がますます混むようになり、オフィス出勤がコロナ前に近づいていると実感します。

そんなこともあってか、リモートワークの是非に関する記事もよく目にします。

「出勤することが大事」という論調もあれば、「リモートワークを定着させるべき」という論調もあります。

海外でも模索が続いています。

世界のトップ企業たちの答えとは?

あの世界を代表するGAFA企業であっても、各社悩んでいる…(汗)

アップルは従業員に9月から週3回の出社を要請しましたが、一部の社員たちはこれに反発

「アップルトゥギャザー」というグループを作り、よりフレキシブルな労働環境を求める嘆願書を提出したことは有名な話です。

〈AMP / 2022年10月24日〉

同じテック企業であっても、企業フェーズが成熟するほど出社要請が高くなる傾向があるようです。

A.TeamMassChallengeがプレシードからIPO企業の創業者と経営幹部581名を対象に2022年7月行った意識調査によると、約37%が今後12ヵ月でオフィスワークを再開する予定があると回答。

一方で、ギャラップ社による世論調査によると、従業員の90%以上がフルタイムのオフィスワークを望んでいないとのこと。

在宅勤務のみを希望する人の割合は、2021年10月以降倍増しているそうです。

テック大手を整理すると、アップルのように出社を基本とする企業(テスラ、グーグルなど)と、今後もリモートワークを容認する企業(メタ、ツイッターなど)に二分。

ただ、どちらにせよ完全に出社のみという旧来型の勤務体系に戻すのではなく、両方を取り混ぜた「ハイブリッドワーク」が主流になっていくでしょう。

「ハイブリッドワーク」が生産性を上げる

このハイブリッドワークのメリットを熱く語る方がいらっしゃいます。

Slackの英国責任者であるスチュアート・テンプルトンさんです。

ハイブリットワークを行わない企業は「トップクラスの人材を魅了したり、引き留めたりする能力を大きく損なう」ことになると警鐘を鳴らしております。

〈ZD NET / 2022年10月26日〉

テンプルトンさんはオフィス出勤に対して

人々を1ヵ所に集める目的を明確にすることが大事だ。リーダーは、深い繋がりを醸成する手助けや、アイデアのブレインストーミング問題の解決のためのオフィスの使用方法に注力するべきだ。

と指摘しています。

同社の調査によると、従業員はオフィスにいる間、生産的な作業に従事するのではなく、長時間のビデオ会議に参加していることがしばしばであり、平均すると毎日2時間を会議に費やしているとのこと。

また、イギリスのビジネスパーソンの20%については、この値が3~4時間となっているそうです。

リモートでできることをオフィスでやってしまうのはもったいない…。

しかも、自宅で仕事をする方が生産的だと感じている回答者は53%

また、自宅での「ディープワーク」を優先するとしている回答者は55%となっており、オフィスがディープワークに最適だとしている回答者は16%に過ぎないという結果に。

やはりオフィスに集まるなら、そのメリットを明確にし、社内で共有し特化させていくことが重要です。

「社員同士の交流」「雑談からの創造」など、オフィスワークの特徴をよりシャープに磨き、リモートワークと掛け合わせていくことが、企業の生産性を高めていくことになるでしょう。

「ゆるい職場」を去る若者たち

一方、リモートワーク側にも課題があり、その1つが若手への教育やケアでしょう。

最近は、リモートワークがつくり出す「ゆるい職場」から退職する若者が増えているそうです。

〈読売新聞 / 2022年10月25日〉

長時間労働やハラスメントの対策で職場環境が改善する一方、ゆるくなるほど「不安」を抱える人も多く、ストレス実感の設問で「不安」と答えたのは若手が76%と中堅よりも10ポイント近く高いとのこと。

「別の会社や部署で通用しなくなる」と感じる人が5割にも上っているのです。

コロナ禍でリモートワークが浸透したことで、仕事の負荷が軽く、叱られる機会も少ない状況になっていく。

先々自分が通用しない人材になっていくのではと心配になっているのです。

そういうこともあり、プロバイダー大手のビッグローブによる今年3月の調査では、20歳代の6割が新年度から出社頻度を「増やしたい」と回答。

ウチの会社でも、若手社員に対してはなるべくオフィスでOJTを行うなど、工夫をしています。

あと、冒頭のAMPの記事の中で、リモートワークに特化する上での従業員川の留意点が述べられていました。

イギリスの経済誌「Financial Times」アネット・リービスCPOは

管理職は“自分に近い人”に昇進や昇給チャンスを与える可能性が高い。リモートワーカーはそのリスクについて考えるべき。

と注意を促しています。

人は物理的な距離が近い人に好感を抱き優遇してしまう「近接性バイアス」という心理的傾向があります。

リービスさんは、今後6〜12ヵ月でさらに悪化するだろうと見解を示しているのです。

もちろん企業側は、こうした「近接性バイアス」が起こらない評価システムなど制度を整えていく必要がありますが、「遠くの親戚よりも、近くの他人」という言葉があるように、物理的距離の近さは信頼構築にとって大きなファクターになることは間違いありません。

ということでオフィス(リアル)の良さと、リモートの良さ、それぞれを追究して掛け合わせていくことが、今後の働き方にとって重要ですね。

改めてその辺も意識して経営にあたりたいと思います。


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