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「不完全」が愛される時代

column vol.1217

アップルの年次開発者会議、WWDC24の開催が来週に迫る中、どんな「AI搭載iPhone」が登場するかに注目が集まっています。

AIスマホといえば以前、サムソン「Galaxy S24 Ultra」シリーズについてご紹介させていただきましたが

AIの力によって、スマホますます進化しようとしています。

一方で、アメリカでは「Dumb Phone(アホ携帯)」が人気であるように、逆行するトレンドも垣間見えます。

iPhoneでも、最近では「古いiPhone」日本のZ世代の間でも流行っているようです。

〜ということで本日は、そうした時代逆行型の事例をいくつかご紹介したいと思います。

ぜひ最後までお付き合いくださいませ😊


「古いiPhone」を持ち歩くワケ

「古いiPhone」という言葉が広まったきっかけは、「iPhone4で撮影してみた」という短編動画です。

iPhone4といえば、14年前に発売されたバージョン。

この機種で撮影すると、写真の画質が粗くて “エモい” らしいのです。

写真家のササキタカノブさん

「昔のiPhoneの写りがめちゃくちゃエモいと聞いたので、メルカリでiPhone4を買いました!」

と題して15秒の動画インスタグラムに投稿。

すると、

1100万回以上も再生される(5月22日時点)など、盛り上がりを見せました。

〈AERA.dot / 2024年5月28日〉

確かに、iPhone4は500万画素

最新機種のiPhone15Pro4800万画素と比べると遥かに劣ります。

さらに、手ぶれも結構するのですが、その感じもまた「いい味」という評価に。

そんなわけで、最近の若者の中には最新機種撮影用の「古いiPhone」2台持ちしている人も多いとのこと。

確かに、「写ルンです」「チェキ」などのレトロカメラブームと同じ文脈ですね。

さらに言えば、私が20代だった頃(20〜30年前)もロモカメラが流行りましたが、若者によるレトロブームというのは、お約束なのかもしれません。

一方、博報堂若者研究所瀧﨑絵里香さんは、そのお約束を肯定しながらも、これまでのブームとは違う点を指摘されています。

「今のZ世代には、膨大な情報や技術の進化への”疲れ”があるように思います。デジタル技術が発達しすぎて、最新のiPhoneなら写真も動画もプロ顔負けのものが撮れて編集までできる。それに対して、あえて不完全だったり、制限があったりするものに、どこか安心感を覚えるメンタリティがあるのだと思います」

「不完全さ」を好む(安心する)というのは、まさに時代のキーワードですね。

ガラケー愛用者も安心の「ガラホ」

「古い」に安心感を覚えるのは若者だけではありません。

auに続き、ソフトバンク3Gサービスを4月に終了しましたが、3Gとともにガラケーの姿が無くなりつつあります

そんな中、ガラケー愛用者の注目を集めているのが「ガラホ」です。

〈BBS山陰放送 / 2024年3月17日〉

こちらは、見た目ガラケー

しかし、中身スマホというハイブリッドタイプ。

BBS山陰放送

確かに、その見た目は見事にガラケーなのです。

BBS山陰放送

なるほど〜

やはりボタン操作がカギですね。

ボタンに慣れてきた方からすると、スマホのフリック操作はストレス

さらに、ガラケー時代に連絡先交換や写真交換で当たり前のように使われていた「赤外線通信」や、メールが来ていないかを確認する「センター問い合わせ」などの機能も残っているそうです…(驚)

それでいて、Wi-FiBluetoothといった機能もついていますし、逆にスマホよりもバッテリーの持ちが良いというメリットもあるとのこと。

これなら、もしかしたら若い人たちの間でも人気が出るかもしれませんね〜

いずれにせよ、3大キャリアの最後の一社、ドコモも2026年3月31日に3Gサービスを終了させます。

「ガラケーじゃないと困る〜」という方は、ぜひ「ガラホ」への早めの切り替えを進めたいところですね😊

「退屈なケータイ」に世界が注目

「低画質」「ガラケー」という本日の2つの話を掛け合わせたようなケータイが今、世界中で話題になっております。

それは、ビールメーカーのハイネケンとファッションブランドのボディガのコラボで生まれた携帯電話。

その名も『The Boring Phone』です。

〈Real Sound / 2024年6月3日〉

…直訳すれば「退屈な携帯電話」です…

Real Sound

その名にふさわしく…、電話電話帳ショートメッセージなどといった携帯電話の最小機能しか搭載されていません…

カメラ機能もあるそうですが、何と30万画素

iPhone4ですら500万画素ですから、…なかなかです…

しかも、『The Boring Phone』10枚しか写真を保存できないそうです…

アプリについては、…一応、「スポーツチェック」「タクシー呼び出し」の2つだけあります。

ただ、「スポーツチェック」贔屓のチームの登録もできないですし、起動しても

「自分の好きなチームは、きっとうまくやっているよ」

と表示されるだけ…

Real Sound

タクシーアプリも同様で、タクシーを呼び出す機能はなく

「タクシーを呼んでもらえばいい

という文字が表示されるだけなのです…

なぜ、ハイネケンはこのような “退屈な” ケータイを生み出したのでしょうか?

そこには

スマートフォンに奪われた時間を日常生活から取り戻し、身の回りにいる家族や友人、恋人と有意義な時間を過ごして欲しい

という想いが込められています。

確かに、お酒を飲んでいる時ぐらいは、ケータイのことは忘れたい

私もそんな想いを持っているので、その目的に共感いたします。

ちなみに、30万画素で撮った写真は「エモい」と評判とのこと。

画質の悪さを良いと思うのは、どうやら世界共通のようです😊

〜ということで、本日は時代逆行型のケータイトレンドをお届けさせていただきました。

そこにあるのは、「不完全さ」への愛です。

確かに、完璧な人は怖くて心開けませんが、長短ある人は親近感が湧きます

〜と思うのに、何で人間って自分は完璧にしようとするのでしょうね…🤔

今度また別の機会に、その辺を深掘りしてみたいと思います🫡

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

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