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美容・理容業界の気になる話

column vol.782

今週の22日に美容・理容業界の経営者の方々に講演する機会をいただいており、ワクワク、ドキドキ、この3連休は準備を進めておりました。

普段は小売業を専門にマーケティングしているので、今回の講演に際して、ちょこちょこと業界研究したこともあり、新しい学びがあったのでぜひ共有させていただきます。

まず1つ目は、業界の「長時間労働」解決に挑み、売上を伸ばした「コミュニティサロン と和」の事例から。

労務管理クラウドシェアサービスを手掛ける「SmartHR」のnote記事に「と和」の取り組みが紹介されていたので、ぜひこちらをご覧くださいませ。

〈「働くの実験室(仮)」活動記録 by SmartHR / 2022年4月11日〉

「19種類の働き方」をつくり売上UP

「コミュニティサロン と和」は、東京・巣鴨地蔵通り商店街にある美容室

代表の小池由貴子さんは美容業界の労働環境の改善に取り組み、同店は美容業として初めて東京ライフ・ワーク・バランス認定企業に選出されました。

では、具体的に何を行ったかというと、独身、結婚、妊娠、産休・育休、子育て、親の介護など、社員のライフステージに合わせて、19種類の働き方(雇用形態・給与体系)を構築したそうです…(驚)

例えば、「週5日8時間+残業可+土日出勤なし」「週3日7時間以下+隔週で土日出勤」というように、細かく勤務パターンをつくることで、働き方がマッチしないで泣く泣く退職してしまう状況を軽減しています。

しかも、働き方は6ヵ月ごとに変更が可能

他にも、以下のような取り組みを実施しています。

●ノー残業デーの導入や施術終了20分後までに退社
●勤務間インターバル制度(12時間休息)の導入
●子育て・介護・ボランティアなど休暇制度の充実
●アイドルタイムをなるべく削る予約設定
●生まれてしまったアイドルタイムを練習タイムに

働き方改革・休み方改革・両立支援の三つの側面から雇用環境を整備

雇用環境の整備によって、社会的課題であるママ美容師・休眠美容師の雇用にも積極的に取り組んでいるのです。

美容師はとてもクリエイティブな仕事ではありますが、これまで労働環境の厳しさで離職率が高い状況でした。

こうした業界の課題から真っ向から挑む、その姿は、同じく長時間労働になりがちなマーケティング(クリエイティブ)業界にいる私にとって、非常に大きな刺激となりました。

「黙カット」に利用者の6割が賛成

それから、もう1つ非常に気になった記事が、このコロナ禍で「黙カット」、つまり施術中に黙ってカットして欲しい人が増えているそうです。

〈ORICON NEWS / 2022年9月12日〉

もちろん、感染防止ということもありますが、もともとあった「美容室での会話が苦手…」という方の本音が顕在化しているとのこと。

「eltha by ORICON NEWS」が実施した調査(10〜60代男女1000人)では、「スタッフとの会話を楽しみたいか」という質問に対し、【会話したい】派が42.0%、【会話したくない】派が58.0%という結果に。

男女比を見てみると、【会話したい】派は女性の割合が若干多く、【会話したくない】派は男性が若干多い

ただ、年代による差はあまり見られなかったようです。

最近、理美容院では「黙カット」「会話なし」メニューを導入する店が増えているようですが、こういったメニューを利用したいかについては、【利用したい】派が65.3%、【利用したくない】派が34.7%と、世代問わず6割以上が利用意欲を示しています。

特に30代は、7割が【利用したい】と回答したそうです。

【ぜひ利用したい】と回答した人の理由としては

●「一番欲しかったサービス」(女性40代)
●「お互い気を遣わなくて良い」(男性50代)
●「会話をしなければというプレッシャーから逃れられる」(女性50代)
●「さぐりさぐりの会話でこの人は話したくない人なのかなぁって様子伺うのも時間の無駄」(女性30代)
●「余計なコミュニケーションで精神的に消耗しなくてすむ」(女性20代)
●「自分が通っている所でもあったら嬉しい」(女性20代)

などが挙げられました。

専門的な話で一定数のニーズを獲得?

そういえば最近、整体に1年ぶりに行ったのですが、その際、事前のアンケートで

①楽しく会話(雑談)がしたい
②コリや筋肉の状態など専門的な話が聞きたい
③黙って施術して欲しい

と、希望を3択で聞かれた時のことを思い出しました。

私は「コンディショニング」という運動指導の資格を持っているので、②の専門的な話は大変楽しく、付加価値の高い時間を過ごすことができました。

美容師の世界も、お客さまの髪質の特徴や、似合う髪型服やアクセサリーとのバランスなど、より素敵なルックスに導ける専門的な話があれば、一定数の人に求められるのではないかなぁと感じました。

美容師も、販売員も、整体師も、接客業は新たなコミュニケーション力(術)が求められていると感じます。

人と触れ合うことは価値でもあり、億劫なことでもある。

AI時代の中で改めて人の持つ価値が見直されている中、コミュニケーション力の向上は1つの大きな差別力を生むような気がするのです。

私はクライアントビジネスですが、まずは「池と話したい」と思われるように「話題力」「提案力」「傾聴力」を磨いていきたいと考えております。

接客業はもちろん「黙」の良さもありますし、それを心底求めるお客さまもいらっしゃいますが、アフターコロナの世界において、提供する側の「会話を楽しむ工夫」も見たいと思う今日この頃です。


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