見出し画像

父親が育児しやすい社会へ

column vol.1036

本日は新潟でリモート勤務する社員が東京のオフィスにやってきて打ち合わせをしました。

彼女は出産と同時に夫婦の地元である新潟に戻り、コミュニティを活かした子育てに挑戦。

さらには、慣れ親しんだ土地を起点に新しいビジネスを創造しようとしています。

旦那さん、ご家族、地域と一緒に育む理想的な育児。

日本は岸田総理「2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と語るほど、切実な少子化問題が立ちはだかっています。

官民一体になっての取り組みが求められていますが、ファーストステップとして重要視されるのは、父親にとって育児しやすい環境づくりです。

総務省の調査によると、父親が育児をする時間は年々増加しているものの、母親に比べて父親が育児に関わる時間がおよそ4分の1に留まっています…

ということで、本日はそうした環境づくりに関するトピックスをお届けしたいと思います。

男性育休100%を目指す自動車部品メーカー

未だ低い男性の育休取得率を引き上げるため、今年の4月から従業員数が1000人を超える大企業は、男性の育児休業取得率の公表が義務づけらるようになりました。

そんな中、男性育休100%を目指す自動車部品メーカーがあります。

愛知県刈谷市に本社を構える「アイシン」です。

〈CBC web / 2023年4月1日〉

従業員数はおよそ3万6千人

そのうち男性が88.6%と大半を占めているそうなのですが、育休とは別に奥さんの出産時か、自分の育休復帰後に使える5日間の特別休暇を導入。

2020年の開始以来、特別休暇の取得率は100%なんだそうです。

この特別休暇の目的は、「子どもが産まれたら休んで良いんだ」という意識を会社全体に植え付けること。

実際、この特別休暇が呼び水となり、男性社員の遠慮が和らいだとのこと。

データで見ても、導入後の育休取得率は、8.7%から17.2%にまで上がっているのです。

日数についても、数日はもちろんのこと、数ヵ月単位で取得する人も増えているとのこと。

恐らく世の中全体を見渡しても、短期で取る人はよく聞きますが、長期となると…ということはあるでしょう。

そんな中、とても良い兆しですね😊

脱「アンコンシャス・バイアス」

長期の育休を取得するという話で言えば、日本航空(JAL)の取り組みは非常に良いヒントになります。

同社は今月13日に、性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無などダイバーシティを啓発する社内イベント「JALグループ Diversity Day」を開催。

こちらは、自分の中の無意識の偏見「アンコンシャス・バイアス」に気付くことを目的とした施策なのです。

当然、育児に対する偏見の解消も試みています。

例えば女性の育休取得について、体調などを加味して1年取得する事例を示し、男性も1年取得しても良いのではないかと問題提起。

「男性は短期で育休取得する」ということ自体、アンコンシャス・バイアスなのではないかと指摘しているのです。

実際5ヵ月間、育休を取得した長橋智也さん

(育休取得のメリットとデメリットについて)これまでは数時間後に出勤しなければならないのに夜泣きがあったためイライラしていたが、育休は家の生活が基本。「ゆっくり寝ればいいじゃないか」と思えるようになり、余裕が生まれた

と、振り返っています。

もちろん、収入が減るデメリットも示していますが、「デメリットよりもメリットのほうがはるかに大きい」と感じていらっしゃるそうです。

また、他にも8ヵ月間育休を取得した三村優樹さん

育休後も帰宅してからスムーズに家事に入っていける。妻のペースを崩さずに連携しやすいメリットがあるから取得する、と思ったことはない。育てるのは親の責任である

と仰っています。

とても素晴らしいですね。

まずは凝り固まった先入観を打ち壊す

同社の試みに非常に共感いたします。

6月は性の多様性を祝福する「PRIDE月間」で、23日から29日までは内閣府が定める「男女共同参画週間」であることから、今回のイベントを企画。

(初回は2019年。コロナにより中断したため4年ぶり2回目の開催)

今後は毎年開催していきたいということで、次なる展開が楽しみですね😊

父親の情報不足を補う「やさしい手帳」

育休を取りやすい環境づくりの促進をしながら、もう1つ解決しなければならない問題としては、父親の情報不足です。

実際、母親に接する情報量に比べると少ないと言わざるを得ません。

そこで役に立つのは「父子手帳」です。

ただ、父子手帳をつくっている自治体はあるものの、育児を中心とした内容であって妊娠中の女性のからだに関する情報が不足していることや、インターネット上で配布されるため認知されにくいことなどが課題となっています。

〈AMP / 2023年4月21日〉

そこで注目されているのが、「父親が育児をできる社会」を目指して立ち上げられたのが「一般社団法人Daddy Support協会」です。

同協会が現在作成している父子手帳は、妊娠・妊婦・育児についての基本情報や、父親と母親両者を守るために知っておくべきこと、危なくない育児の基本情報などをまとめた1冊。

そして、母子手帳を受け取るときや病院を受診した際に受け取れる仕組みをつくることで、妊娠初期から父親がこれらの知識を身につけられる環境を整え、育児に取り組む父親支援の社会システムの構築を目指しているのです。

同協会が目指すのは、良い育児をすることではなく「両親が健康に育児をする」こと。

妊娠から出産、育児の段階まで、父親が正しい知識を十分に身につけることで、母親そして父親自身の健康を守ることができます。

現在、父子手帳は企画段階ではありますが、実現に向けて、クラウドファンディングに挑戦中。

クラウドファンディングでは、父子手帳だけでなく、育児情報を調べられるポータルサイトや教室の設置、父親支援のツール開発・研究も目指しています。

父親に十分な知識を提供し、さらには父親同士が助け合う仕組みをつくっていく。

父親が育児を「できる」社会を促進していくだろう同協会の取り組みに目が離せません。

いずれにせよ、両親の精神状態は子どもに大きく影響を与えるそうですので、両親以外のサポート体制も含めてモデルケースを築いていくなど、社会全体で理想の育児を後押しできると良いですね。

当社でも改めて育児しやすい会社づくりを進めていかねばと思う今日この頃です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?