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「働かないおじさん」問題の再定義

column vol.475

コロナ禍でのテレワークシフトで話題となった「働かないおじさん」問題ですが、「働かない」にはワケがあると仰る方がいらっしゃいます。

『「働かないおじさん問題」のトリセツ』の著者であり、マンパワーグループ株式会社 ミドルシニア活性化コンサルタントの難波猛さんです。

私も同じおじさんとして、どういう話か気になります。

ということで早速、その意図について見ていきたいと思います。

〈現代ビジネス / 2021年11月4日〉

働かないには、ワケがある。

難波さんは「不真面目でリアルに働いてない人」のイメージについて、多分にマスコミ的な虚像になりつつあると指摘します。

つまり、本当は真面目な人の方が多い。では、なぜ働かないのか?

その理由には主に6つのタイプがあるそうです。

【タイプ1】期待している成果が出ない(成果のミスマッチ)

職位が上がるほど、キャリアを重ねるほど、会社(周り)から求められるレベルは高くなります。

真面目に取り組んでいるはずなのに、仕事に対する創意工夫や自主的な学習が足りず、 単に与えられた業務をこなしている人などが当てはまります。

【タイプ2】仕事への意欲が不足している(意欲のミスマッチ)

周囲から見て、やる気が無いと感じられる状態です。 特に、役職定年や定年再雇用などで役割や処遇が変化した場合に起こりやすいでしょう。

「第一線ではなくなったので、あまり目立つと後輩や若手の邪魔をしてしまう」という遠慮があることも見逃してはいけません。

【タイプ3】良かれと思っている言動がズレている(期待のミスマッチ)

やる気はあるが、ピントが合っていない状態です。

例えば、リーダーとしてチームでの成果を出さないといけないのに、個人の成果に目が向いてしまう人になります。

例えば、「○○○さんが悩んでいたのに何もしなかった」など、「頑張っている自分」とは裏腹な評価を得てしまっているのです。

【タイプ4】成功体験が邪魔して話が伝わらない(対話のミスマッチ)

自分がやってきたやり方に固執してしまい、新しいやり方を受け入れないなど、「新しいトライアルを行わない人」と思われてしまう場合が該当します。

【タイプ5】年上部下・年下上司が、お互いに遠慮する(心理的な問題)

年下上司が年上部下に頼みにくく余力を持たせてしまっている状態です。

【タイプ6】改善や変化をするのに時間がかかる(時間的コストの問題)

長年の行動が習慣化されていて、改善に時間がかかる、または改善してもすぐに元に戻ってしまう状態です。

ここで上司が諦めてしまうと、どうしても部下の受け持つ仕事は減っていきます。

「働かない」ではなく「働けていない」

人間、活躍して称賛や感謝をされたいと思う人は多いはずで、「働かない」と認定されている人も、それは同じだと思います。

周りの期待や要求とズレていたり、遠慮が引き起こして業務量が減ってしまったり。人間は不完全な生き物だからこそ生じる悲哀はあるわけです。

つまり、働かないというよりは「働けていない」働いているように見えないということですね。

もちろん会社の期待に応えられていないのは、中間層に限った話ではなく、若手社員にも起こりえる現象です。

ただ、中間層は若手より報酬が高く、より責任や影響力のあるポジションに就いているケースが多いため、表面化しやすいということでしょう。

少なくても経営者や上司陣が「働かない問題は、本人の問題」と捉えたとしたら、それこそ「働かない経営者」であり「働かない上司」と周りから認定されてしまうでしょう。

私は副社長なので、働かない問題に直面したら、経営者として「自分が働いていない」と反省すべきですね…(汗)

「承認欲求」を満たすことが解決への道

そして、この問題の解決を示唆するポイントとして、難波さんが挙げているのが「承認欲求」を満たすことです。

〈現代ビジネス / 2021年11月11日〉

経営者として上司として、何を期待し、どんな成果を上げて欲しいのか、それを的確に伝えなければなりません

それは一回ではなく、継続的に

期待を伝えたとしても、大抵、人は伝えたことは日々風化し、何か上手くいかないとすぐに折れてしまい元通りになってしまいます。

もちろん、本人が自分で気づいて、自分で修正することが望ましいのですが、それならば気づける状況をつくらないといけません。

つまり、常に何かしらの働きかけをし続けないといけません。

また、もしも働かない問題を抱えた上司に当たってしまった部下の方がいらっしゃったとしたら、オススメしたいのが「ボスマネジメント」です。

上司の視点で、抱えている課題やニーズをくみ取りながら提言をしていく。

「上司としては、どんな問題が解決できると嬉しいのか」
「組織を、どういう状態にしたいのか」
「上司の上司は、私の上司にどんなことを期待しているのか」

「上司のニーズ(WILL)」を想像しながら、そこと「自分の希望(WILL)」を重ねる文脈を探してみるというわけです。

「そんな!部下の自分が、なぜこんなことしないといけないの?」と思ったとしたら…、実はもったいないのです…(涙)

「ボスマネジメント」と言うだけあって、経営者など要職に就くということは、毎日この作業の連続です。

つまり、行うことは未来に向けての貴重な自己投資になります。

こういったことを前向きに捉えて行動に移せる人が、きっと皆から尊敬される経営者上司になれると信じています。

人の問題は本当に難しい…。

けれど、仲間(社員)に対して諦めず寄り添い合いながらお互いを高めていくのが良きリーダーなのでしょう。

自分は正直、全然理想通りにはできていませんが、人に寄り添い「続ける」人間であることを目指し、ちゃんと働いている経営者になれるよう努めたいと思います。

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