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「自分軸」とは何か?【前編】

column vol.534

ミッションパーパスの時代と言われています。

それは企業だけではなくて、個人レベルにも求められています。

別の言い方をすれば「個の時代」

自分軸をつくり、自律型の人生設計(キャリア設計)をしていく。

一番耳馴染みのある言葉を挙げるとしたら、YouTubeのスローガン「好きなことで、生きていく」でしょう。

でも、中には「ミッション・パーパスなんて分からない…」「好きなことを仕事にするイメージが湧かない…」という方もいらっしゃると思います。

ただ…、そもそも「自分軸」って何だろう…?と思うのが、本日のお題です。

そもそもミッションとパーパスって何?

気がついてみると、ミッションパーパスビジョンバリューウェイなど多くの横文字が流通しています。

経営者JP社長の井上和幸さんが日経スタイルの記事でその言葉の棲み分けを的確に説明されていたので、共有させていただきます。

〈NIKKEI STYLE / 2022年1月7日〉

「ミッション」…企業の使命
「ビジョン」…企業の将来像
「バリュー」…企業の価値基準
「ウェイ」…企業の行動指針

そして、ミッションパーパスの棲み分けをこのように説明されています。

「ミッション」社会市場に対して働きかけるものが何か
「パーパス」=その企業自体が何者なのか

つまり、ミッションに向かうベクトル、パーパスを見つめるものというわけですね。

なぜ、ミッションやパーパスが求められる時代になったかは、社会的意識の高まりなど複数あるかと思いますが、ここでは「終身雇用制の崩壊」に焦点を当てたいと思います。

井上さんは、人材が流動化するこの時代においてこのように言及されています。

人材が流動化している時代に、企業が従業員を集め、自社に留め続ける源泉は、報酬や制度的な強制ではもはやあり得ず、「いつ辞めてもよい。出入り自由。その上で、私はこの会社にいたい」という求心力しかあり得ません。それがパーパスとして定義、表現されているものになるのです。

社員同士の在り方が、同僚というお金を稼ぐ仲間であるということに対して、ミッションやパーパスを共有する同志という側面が強くなっていく。

同士の集まりならば、個人個人にも志がないと集まれないということですね。

とはいえ…、ミッションだとか、パーパスだとか、人によっては重かったり、難解だったり、受け入れ難かったりするのも確かです。

「他人軸」でも良いじゃない

その悩みを解決する糸口が、『ブスのマーケティング戦略』や、『「フツーな私」でも仕事ができるようになる34の方法』の著者であり、税理士田村麻美さんの考え方にありました。

〈日経Xwoman / 2021年12月28日〉

田村さんは子ども時代から客観的に分析しており、早い段階から「自分は凡人」だと定義されています。

好きなことを軸にできるには、良い意味で自分を過信することも必要ですから、謙虚な田村さんは自分軸で物事を考えることはできなかったそうです。

それよりも、自分にできることで、他人の期待に応えていくことを選択したのです。

自分では取り柄がないと思っていたけど、小中学校、勉強だけは得意だったから、とりあえずはそれだけは頑張った。

その後、レベルの高い高校で劣等感を感じ、一般入試で国内トップの大学を目指すことを諦め、指定校推薦に頭を切り替え立教大学に入学。

就職も当時は「大手企業に入らないと格好悪い」と思っており、入れる自信がなかったから資格を活かしたスペシャリストを選択。

「弁護士は難しい」「簿記は取得している人が多いから差別化ができない」などなど、一つひとつの可能性を考えた結果、消去法で自分にとっての最適解である税理士を選んだそうです。

自分が何をしたいかではなく、何ができるか。

その中で周囲の期待に応えていく。田村さんはそういう考えのもと人生を歩んできたのです。

ただ目の前の人に対して一生懸命になる

この考えは、以前【「何者ではない人」の輝き方】でご紹介したオアシズ・大久保佳代子さんや、SHOWROOM株式会社代表取締役社長・前田祐二さんの考え方に通ずるところがあります。

大久保さんはただ「自分に求められていること」にこだわって生きている。そして、前田さんは「誰かのためを起点」に考えている。

誰かを喜ばせた対価で得るのが仕事だということですね。

ちなみに、副業で作ったメディア(転職アンテナ)を事業化して上場企業し、10億円で売却した会社員として話題になったmotoさんも

仕事にモチベーションを求めない

という言葉で他人軸で仕事を考えることの大切さについて語っていらっしゃいます。

〈新R25 / 2022年1月9日〉

プロとは自分の価値を上げること。

つまり、「相手にどんな価値を提供できるか?」という点を考えることが本質であると語ります。

会社員時代は、やらされている感を感じていたので気づかなかったけど、起業してからは、自分のモチベーションを考えるより先に「相手を満たすためにやるべきだ」と痛烈に感じたそうです。

どんな価値を、誰に、どのように提供するかを考え抜く

それこそが仕事の本質だと。

例えば、とある企業から講演依頼された時、やりたくなかったので「100万円だったら受けます」と断る目的で返答したら、まさかの承認の方向に

こうなったら断れません…(汗)

100万円を払ってまで聞きたい人たちがいるなら、その値段に見合った講演内容を全力でつくり上げていく。

それこそがプロの矜恃だと。

他人軸の極みであり、目の前の人を喜ばせた対価が仕事という本質に繋がるお話しですね。

ということで、「他人軸でも良いじゃないか」と結論づけたいところですが…、何と他人軸で生きていた田村さんが前言を覆す結論を語り始めたのです。

結果、今は「自分軸」で生きている。

とことん他人軸で生きてきた田村さんが、なぜ「自分軸」に身を移したのか…?

ちょっと、今回の投稿では納まりきれないので、申し訳ございませんが続きはまた明日、後編でお伝えいたします。

二部構成になって大変恐縮ですが、ぜひぜひ明日もご覧いただけると幸いです。

引き続き何卒よろしくお願いいたいします。

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