見出し画像

ミドル世代は「ディグる」が勝ち

column vol.665

突然ですが、写楽が江戸時代からタイムスリップして現代にやってきたら、希代のCGアーティストになれると思いますか?

問いを立てたのは、クー・マーケティング・カンパニー代表の音部大輔さん。

「はい」と答えた人と、そうではない人で、全くキャリアの捉え方が違うはずです。

〈日経クロストレンド / 2022年5月13日〉

この違いが、これからのミドル世代のキャリア形成に大きく影響する。今日はそんな話をしていきたいと思います。

あなたの肩書きは何か?

おい!ディグるって、何なんだ??

……そうお思いの方もいらっしゃると思いますが…、もう少々お待ちくださいませ…。

写楽の話の続きですが、「写楽はCGアーティストになれない」と思う方は、恐らく職業を技術で見ているのではないでしょうか?

写楽浮世絵師使う道具が違うぞと。

逆に「写楽は希代のCGアーティストになれる」と思っている方は、「彼は絵画表現のプロフェッショナル。絵筆からペンタブレットへと道具が変わっても活躍できるはずだ」と思っているはずです。

つまり、表現のプロならば、表現であれば何でも良いわけで、新しい技術さえ手に入れれば、旧職種と同様の活躍ができる。

逆に前者のような技術偏重型だと、その技術が使えなくなったら、ニッチもサッチいかなくなるのではないでしょうか?

また、同じ浮世絵師からCGアーティストに転身したとしても、ゼロから積み上げていくイメージなるような気がします。

表現のプロなら、職種を変えて活躍できますし、表現技術を活かせば異業種転職だって叶うかもしれません。

自分を何のプロフェッショナルと捉えるのか?

この考えは多くの方々が理解されていると思うのですが、「自分の仕事は何か?」と自問自答した途端、ついつい名刺にある肩書きを語ってしまうのではないでしょうか?

我々マーケティングの世界で言えば、デザイナーアカウントプランナーコピーライター動画クリエイターなどなど。

写楽で言えば、浮世絵師です。

しかし、写楽が浮世絵師であり続ける限り、現代では生き残りにくいように、私たちも職種を超えた自分だけの肩書きがあると業種・職種に限定しない働き方を選べるはずです。

そして、それこそが大変お待たせいたしましたが…、本日のお題である「ディグる」です。

「ディグる」ことが長く必要とされる人財に

「ディグる」とは「dig(=掘る)る」

つまり、自分の中に内在する普遍的な価値を発掘することです。

〈Diamond online / 2022年5月12日・13日〉

写楽で言えば浮世絵師ではなく「絵画表現のプロ」です。

これを定められると、たとえ異業種であっても汎用性が利くようになります。

例えば、営業のプロがいたとします。

営業のプロという意識だと、マーケティングの世界に飛び込むのは躊躇するかもしれませんが、私は営業のプロマーケティングのプロには共通点があると思います。

それは「人の心を動かすプロ」です。

マーケティングとは顧客のエンゲージメント(深い関係)を高めて、商品やサービスを「売れている状態」に導くことです。

つまりは顧客のニーズを読み期待を満たすことにあります。

営業のプロ取引先のニーズを読み取り、最適な提案をし、相手の心を動かさないと商品を買ってもらうことはできません。

どちらもどれだけ人に向き合えるかが重要です。

マーケターは不特定多数が相手になるので、データ重視になりがちですが、データの向こうには人がいます

どれだけターゲットを絞り込んでも、同じ人は一人もいません。

ターゲットのセグメントに該当する人をできる限り想像して、その最大公約数として答えに辿り着く必要があります。

営業のプロとして、より多くの人々と相対してきた経験は、マーケターになっても必ずや活きるはずです。

本を書くことを想像すると「本質」が見えてくる

ディグればディグるほど、自分の普遍的な価値(キャリアの結晶)が炙り出されてくるわけですが、精度を高めるためのオススメの方法があります。

それは、自分が培ってきたキャリアを活かして本を出すとしたら、どんな内容どんなタイトルをつけるかということです。

これは、当社代表の谷口正和から教えてもらった方法論です。

これは、『仕事人生あんちょこ辞典』の担当編集である、KKベストセラーズ鈴木康成さんが、キャリア本を出すための心得として語られている次の言葉に通ずるところがあります。

本の思想が一発で伝えられるようなキーワードやタイトルがあると、出版まで持っていける可能性が高いと思います。

〈東洋経済オンライン / 2022年5月18日〉

「出版まで持っていける可能性が高い=多くの人が求めるキャリア(ノウハウ)」であるということです。

例えば、「リーダーシップ」と言っても、それだけだと漠然としています。

私の場合だと、優れたリーダーは「好感度の高い憎まれ役」であるべきだと考えています。

これは長らくリーダーを務め、副社長まで経験し、その過程でたくさん転び、傷つき続けたからこそ得られた哲学です。

恐らくですが…、リーダー経験が浅い方には分からない境地だと思います。

これこそが経験価値

もちろん、私のそれがどれほどのものかはわかりませんが…、それでもこの経験の結晶はnote執筆でも活かせているので、多分汎用性の利くものだと信じております…(汗)

ということで、今の職業に囚われず、「自分だけの肩書きをつくるとしたら名刺に何て書くのか?」「本を出すとしたらどんな内容で、どんなタイトルをつけるのか?」と考えていくと、より深くディグれると思います。

ミドルエイジは、いかに「自分だけの経験価値」を見える化するかが肝要です。

まだ、ディグったことがない方は、ぜひお試しくださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?