ビジネスの最先端が「北海道」にある
column vol.757
以前、沖縄にスタートアッパーが集まり、ビジネスが活性化しているという話を書きましたが
北の大地、北海道も負けておりません。
日本のビジネス界をリードするさまざまな取り組みが進められています。
まず、この時期にふさわしいプログラムといえば「保育園留学」でしょう。
いわゆる「子連れワーケーション」です。
今日は「保育園留学」を皮切りに、北海道で行われているビジネストピックスをご紹介したいと思います。
「子供が成長できる」ワーケーション
保育園留学の舞台となっているのが、北海道厚沢部町という人口たった3500人の町。
新千歳空港から車で3時間弱と、決して利便性が高い町とは言えないのにも関わらず、首都圏から訪れる子連れ家族が後を絶たないとのこと。
現在の予約枠は全て埋まっており、9月以降も100家族以上が順番待ちをしているそうです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年8月22日〉
厚沢部町の保育園留学は、未就学児を持つ家族が厚沢部町に1~3週間程度滞在。
子供は認定こども園「はぜる」に通い、保護者は町内の短期滞在者用住宅の中に設けられているコワーキングスペースで仕事をする。
そして週末には、プログラムに含まれている野菜の収穫などの食育体験に参加します。
人気が殺到している理由は、「広大な自然にわが子を触れさせる絶好の機会」と保護者が考えていること。
実際
「都心だと自然環境に身を置く機会も少なく、こんなにたくさんの自然体験は初めて」
「子供の成長に繋がった」
と参加した保護者からの満足度も高いのです。
受け入れる厚沢部町にとっても、過疎化が進む中で関係人口が増えるのは願ったり叶ったり。
そして、はぜるの主体性を育む教育方針にも好影響をもたらしているそうです。
はぜるには農家さんなど地域の方が多く出入りしていることもあり、園の子たちは外部の人と接するハードルが下がっていることもあり、週単位で新しく来る子供たちに対して歓迎ムードのようです。
「どうやって新しく来た子たちと遊ぶのか?」
こうして、主体性や創造力、コミュニケーション能力が育まれていく。
訪れる子も、迎い入れる子も共に成長していっているそうです。
だからこそ、保育園留学を選んだ保護者たちは満足する。
その証拠に、今まで受け入れた600組の家族のうち、リピート率は90%という驚異的な数字なのです。
新しいワーケーションの形として定着してきそうです。
「変化先取り力」を持つコンビニ界の鏡
他にも「最先端のビジネス」という本日のタイトルにふさわしい取り組みが北海道には溢れています。
今回は私の専門分野、小売業の好事例を2つほどご紹介したいと思います。
1つは、セイコーマートです。
北海道に行ったことがある方の多くは「オレンジの看板」で認識しているのではないでしょうか?
〈現代ビジネス / 2022年8月22日〉
コンビニの雄、セブンイレブンは競合するコンビニチェーンとの比較において別次元の存在として君臨しています。
2021年2月期の全店売上高4兆8706億円、平均日販(1日1店当たりの売上高)64万2000円。
対して、2位のファミリーマートはそれぞれ2兆7643億円、49万3000円。
この状況を築けているのが、セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文さんが掲げてきた「顧客第一の変化対応力」にあるでしょう。
そのセブンイレブンをもってしても北海道ではセイコーマートからトップの座は奪えない。
道内の店舗数はセブンイレブン1000店に対し、セイコーマート1083店(22年5月末現在)。
さらに、サービス産業生産性協議会の顧客満足度調査では、2022年度までの12年間で11回、セイコーマートがコンビニ部門の日本一に輝いています。
ちなみに残り1回はセブンイレブンとなっております。
セイコーマートは地元では「セコマ」と呼ばれ、その「変化対応力」の上をいく「変化先取り力」に注目が集まっているのです。
例えば、18年に起きた北海道胆振東部地震の時の迅速で柔軟な対応は有名な話です。
他のコンビニチェーンは契約上、全ての食材が揃わないと商品を出せない。
例えば、幕内弁当は漬物が無いだけで、商品を出せないのです。
一方、セコマはガス釜のある約500店で従業員が急いで米を炊き、ある具材でおにぎりを提供。
具が底をつけば、余ったご飯で塩むすびを提供するなど、地域のライフラインとして存在感を発揮しました。
しかもこの時、丸谷智保社長(現会長)は東京出張中。
つまり、現場の皆さんが状況を見据えて判断し、自主的に進めたというわけです。
そして、コンビニ業界でいち早くプライベートブランドに挑戦したのもセイコーマート。
会社全体で「先取る意識」を育めていることが強みですし、非常に見習いたいところです。
北海道で続々と「IT人材」を育成
「先取り」ということで言えば、ニトリの新たな取り組みにも注目が集まっています。
一昨日の日経新聞に【ニトリ、新人年収1300万円も 札幌のデジタル人材2倍に】という記事がありましたが、通販サイトやアプリの企画・開発を強化することを目的に、札幌のデジタル人材を10年後に現在の約2倍の400人規模に増強しようとしているのです。
道内には北海道大学や室蘭工業大学など優秀な大学もある。
そして、札幌はとても住みやすい街で離れたくない人もいる。
だからこそ、首都圏の企業が出会えていない人財を仲間に引き込めると、今回の取り組みに着手したわけです。
そして、話題となっているのが、札幌のデジタル拠点拡充で重要な役割を果たすことになる、今年4月に設立したばかりの子会社「ニトリデジタルベース」です。
ニトリ本体と異なる待遇で優秀な人材を集めようとしているのです。
例えば、通販サイトやアプリの企画・開発を手がける「プロダクトマネジャー」の場合、入社時の年収は最高1300万円。
モバイルアプリなどから収集したデータを分析する「データサイエンティスト」に提示する年俸は最低でも900万円で、上限は設けていないとのこと。
これは、ニトリHDの平均年収835万円(2022年2月期)を上回る水準となります。
ニトリHD本体よりも昇給スピードを上げ、能力に応じて給与を引き上げることを目指しており、マネジャーなど管理職になれば年収2000万~3000万円に達することもあるそうです。
さらには、高度なIT人材の育成を目的に、ニトリHDは19年から札幌市や北大と連携協定を締結。
30年にはIT人材が最大で約79万人不足する可能性があるという経済産業省の予測に対して「先取り」で対応しているのです。
このように北海道は今、夏よりアツい取り組みが溢れています。
そんなことに刺激を受けながら、私も先取りで学び、経営に活かしていきたいと改めて感じました。
…ただ…、本日、実は夏休みをいただいております。
…ということで努力はまた明日から(…笑)
今日はこの後、ゆっくり休みたいと思います〜。
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