「事業」をつくるためのAtoZ
column vol.692
当社では毎週月曜日の朝、副社長とプロデューサーメンバーで「事業創造ミーティング」を実施しています。
ここでは新規ビジネスのこと、新ビジネスのこと、そして経営企画と多岐に渡って話します。
ちなみ、noteで会社アカウントをつくって広報を始めようとなったのも、プロデューサーメンバーの一人が立案したからです。
ミーティングのタイトルにある「事業創造」には、実はコツがある。
そこで、創造力と実行力を高めるための好事例を本日はご紹介したいと思います。
「トレードオフ」に勝機あり
まずは、そもそも新しい事業を考える方法が分からない…(汗)、という方のためのヒントです。
一つの方策に「トレードオフの解決」があります。
〈東洋経済オンライン / 2022年5月25日〉
トレードオフとは一得一失。何かを得ると、別の何かを失う、相容れない関係のことにあります。
例えば
「未就学児向けの商品だけど、それだけだと市場のパイが小さいので、大人もバンバン買ってくれる商品をつくってください」
そんな風に言われたら、戸惑う人の方が多いのではないでしょうか?
なぜなら、背反する要望だからです。
しかし、よくよく考えてみると「レゴ」は大人にも人気で、最近は企業研修でもよく使われます。
子どもに大人気の戦隊モノは、イケメン俳優を起用することで、子ども以上に熱烈にヒーローを応援するお母さまもいらっしゃると聞いています。
他にもトレードオフを解決してヒットした商品やサービスは数多あります。
「歩きたい人」と「音楽を聴きたい人」を結びつけたのが「ウォークマン」。今では歩きながら音楽を聴くことは当たり前の光景になりました。
「レストランのご飯を食べたい人」と「家で食べたい人」を結びつけたのが「Uber Eats」です。
では、「日本に居ながら」「アメリカにいる人と面と向かって打ち合わせする」ための商品は何でしょう?
もうお分かりですね、「Zoom」や「Skype」などのオンラインミーティングサービスです。
つまり、自社商品に対極の要素を加えていくとイノベーションを生まれていく。
その難易度が高ければ高いほど、ビジネスチャンスは眠っているというわけです。
ですから、「トレードオフ」に遭遇した時に「そんなの無理だよ」と否定してしまわないで、一旦乗っかって考える癖をつくることがクリエイティブ思考を育む近道になりそうですね。
「良いアイデア」を実現するためのステップ
トレードオフの解決などを駆使して良いアイデアは生まれた。
しかし、ここから行動に移し、成功させるというのは発想する以上に難しく大変なことです。
そこで、頼りになるのが「ステージゲート法」です。
〈日本の人事部 / 2022年4月14日〉
ステージゲート法というのは、アイデア創出から市場投入までを複数のステージに分割し、一定の要件をクリアできていたら次のステージに移行するという事業創出のフレームワークです。
例えば、こんなイメージです。
(1)アイデア創出 →【ゲート1】→(2)初期調査 →【ゲート2】→(3)ビジネスプラン作成 →【ゲート3】→(4)開発・テスト →【ゲート4】→(5)事業化 →【ゲート5】
アイデア創出後の【ゲート1】には
「自社がその事業を行う必然性(自社らしさ)はあるか」
「他社に勝つだけの競争力や発展性が見込めるか」
「現在の市場が魅力的か」
といったゲートを予め設けておきます。
(1)で生まれたアイデアが基準を満たしていれば、(2)のステージに進めるというわけです。
アメリカの製造業では6割以上がステージゲート法を取り入れていると言われていますが、この方法のメリットは事業アイデアを効率的に絞り込めることにあります。
新規事業はすぐにはお金にならない…。とはいえ、熱意だけで漠然と進めても疲弊するだけ。
大企業は別として、中小企業は新規と既存を兼業していることが多く、ある程度効率的、かつ合理的に人的リソースを考えていかなければならない。
関門を設定することで、工程(成功までの筋道)を明らかにしつつ、時に行わなければならない勇気ある撤退も、この手法なら行いやすいというわけです。
もちろん、ビジネスは何がきっかけで跳ねるか分からない部分もありますが、こういったプロセスがある方が、社内の合意形成も得やすいと思いますので、ぜひぜひご参考までに。
アイデアはあるのに「起業できない方」へ
最後は、事業創造をもって起業されたい方のために最適な事例をご紹介して締め括りたいと思います。
起業のアイデアはあるけれど、仲間がおらず、環境も整っていないので実現できない。
そんな悩みを解決してくれるのが「NOROSIスタートアップ」です。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年6月10日〉
ベンチャー企業のアドリブワークスが立ち上げたプロジェクトで、神戸市や渋谷区を始め全国7つの自治体、東急、オカムラ、三井住友銀行など16法人、関西大学HACK-Academyといった官民の団体が参画。
NOROSI主催・全体統括責任者の山岡健人さんは、一般的なアクセラレーションプログラム(短期間で事業を成長させるためのプログラム)との違いについて、次の3点を挙げています。
(1)挑戦者の裾野を広げること
(2)一貫支援
(3)初期の資金調達
NOROSIでは一部の起業家層ではなく、その下に存在する起業のアイデアを持つ“予備軍”を支援。
つまり、事業アイデアがあるものの、踏み出せないような人たちを支えることを目的としています。
アイデアに対して共感を集めるところから、初期の資金調達、自治体や起業との連携、法人化までを一貫して支援。
上場するような優れた1社の創出ではなく“1万人の自己実現”
ここをポイントにしています。
例えば、公式ページにプロフィール、スキル、アイデアを登録すると、事務局側はブラッシュアップのための壁打ち役を務めてくれます。
私の周りでも「こんなこと考えているんだよね〜」と良いアイデアを教えてくれる人が多いのでうが、「えっ!いいじゃん、やってみたら?」と返すと、「まぁね……」で終わってしまう…。
その「もったいな〜〜」を無くすためのプロジェクトと言ったら伝わるでしょうか?
対象者は150万人ほど、初期市場規模は年間1500億円を見込んでいます。
「良いアイデアはあるけど、起業までは…」と思っている方は、一度Webサイトをノックしてみてはいかがでしょうか?
〈NOROSI STARTUP HAB / Webサイト〉
事業創造と言っても、さまざまなレイヤーがありますが、新しい挑戦を行いやすいインフラをこの国に一歩ずつ整えていくことが、この鬱屈した世の中においての光になることは間違いなさそうです。
ぜひご参考までに!
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