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「執念」をどう育むのか?

column vol.1107

本日は美容業界の経営者向け勉強会「アリミノ スクランブルクラブ」にて講演を行いました。

〈アリミノ スクランブルクラブ/ Webサイト〉

昨年9月から講師を務めるようになったので、ちょうど一年経ちました😊

2ヵ月に1回の勉強会なのですが、毎回登壇されるゲストスピーカーはビジネスの第一線で活躍する経営者ばかりなので、非常に刺激になっております。

今回もスキルのシェアサービス(家事代行サービス)を手がけるエニタイムズ代表取締役、角田千佳さんから多くの学びをいただきました。

〈エニタイムズ / Webサイト〉

角田さんの座右の銘は「愚公移山」

何事も根気よく努力を続ければ、最後には成功する。

そういう意味なのですが、角田さんは実際、さまざまなピンチを地道な努力で乗り越え、会社を成長させています。


「顧客満足」への執念

…と、本来ならば今日お話しいただいたことを共有させていただきたいのですが…、あいにく…有料の勉強会ですので…、代わりに最新のインタビュー記事をご紹介させていただきます。

〈Hint-Pot / 2023年5月26日〉

〈Hint-Pot / 2023年5月28日〉

幼い頃、国連難民高等弁務官緒方貞子さんに憧れ、「大人になったら、貧困や紛争など、世界のさまざまな課題を解決したい」と心に誓った角田さん。

非常に大きなビジョンを描いていらっしゃる方なのですが、インタビュー記事を読んだり、ご本人のお話を伺っていると、「目の前の人を喜ばせたい」という想いの強さをヒシヒシと感じます。

私の好きなエピソードの1つに、野村証券時代の話があります。

配属された資産管理部で営業をされていた時のこと。

角田さんがお客さんの家に訪問すると、「家事」についての相談やお願いをされることがよくあったそうです。

共働きの方単身者の方ご年配の方が増えている時代。

昔なら、地域内や大家族内で助け合えたことが、人間関係の希薄化が進んだことでできなくなってしまっていることを痛感したそうです。

とはいえ、証券会社の営業さんは「投資話」を売っているわけで、家事を手伝う義理はありません

それでも、角田さんは家事を手伝うことでお客さんが喜んでいる姿がたまらなく嬉しかったとのこと。

この時の経験がヒントになって、家事代行のスキルシェアビジネスを思いついたというのは、後の話。

「顧客満足の執念」みたいな感覚をこのエピソードから感じことができました。

…とはいえ、「そういう方だからこそ、起業して成功しているのでは?普通の従業員では…」という声が聞こえてきそうですが…、全社一丸「顧客満足の執念」を持って仕事をしている会社もあるようです。

その1つが、富山県を拠点に、ダンボール商品パッケージ製造販売を行うサクラパックス株式会社です。

「所詮はダンボール」という意識を改革

サクラパックスは、現社長である橋本淳さんの就任以降、売上100億円、経常利益7〜8%、自己資本率83%と(2023年7月期時点)約15年で売上を倍増させ進化し続けています。

〈PHPオンライン衆知 / 2023年9月11日〉

…では、橋本さんが就任する前はというと…、前社長はワンマンタイプだったようで…、社員は皆「受け身化」しており、社長から求められていることだけに取り組んでいたそうです。

さらに、ダンボール製造は原紙2枚の間に波型に加工された段ボール原紙を挟み込み糊付けして生産するという比較的シンプルなもの

原料や製造工程ともに高い技術力は求められず、その技術も成熟しきっており、改良の余地はほとんどないそうです…

…そうなると…、重要視されるのは質よりも納期と価格

…典型的なコモディティ型商品と言えます…

そういうこともあり、橋本さんが社長に就任したばかりの時は、社内に「所詮、ダンボール…」というムードが漂っていたそうです…

そこで、まずは「所詮…」という考え方を変えるべく

誰かの笑顔のために生きていく、世の中を笑顔にしていく

という橋本さんの想いを軸にして、50人以上の管理職と共に100年後の会社を考えながら、皆で進むべき方向について意見を出し合う2泊3日の合宿を実施。

そこで、会社の理念を完成させています。

次に、理念に基づく経営方針と行動様式をまとめた冊子『サクライズムブック』を作成。

会議やミーティングのたびに繰り返し内容に触れ理念を腹落ちさせる取り組みを実施したのです。

社員の主体性を引き出す仕掛けづくり

一方、理念を掲げても、それを捉えて「自ら考え、行動する」というステップがなければ、仕事(成果)に結びつくことはありません。

そこで、その体質を磨くためのトレーニング清掃活動を通して実施。

各課のグループで年間の計画を立て、そこから逆算し1ヵ月、1週間の行動計画に落とし込み1週間単位で、できたかどうか、何が足りなかったか、次はどうするか、話し合いながらPDCAを回すことにしたのです。

なぜ、通常業務ではなく清掃活動で行ったのか?

私はここに大きなポイントがあると思います。

通常業務だと新しいやり方に変えようとしても、反発も起きやすいでしょうし、これまでの習慣が色濃く残り一進一退を繰り返すことになるでしょう…

つまり、かなりのエネルギーが必要になります。

一方で、今までになかった取り組みで新しいやり方を試せば、これまでがない分、浸透しやすく進められる。

そうして、この「考える力」をベースに各部署のマネージャーが会社の基本経営方針に基づいた向こう半期の方針を作り実施する「ミッション活動」、モノづくりの現場では、品質と生産性の改善を図り収益の向上につなげる「KAIZEN(改善)活動」を展開。

これら3つの活動も全て1ヵ月単位ではなく、1週間単位でPDCAを回したそうです。

短いスパンで回すことで迅速に細かい活動が実施でき、加えて活動方針が間違っていればすぐに修正できます。

これにより、より深く行動に移せる仕組みがつくれるというわけです。

さらに評価制度も見直し、「納得性」「やりがい向上」を重視。

例えば、半年間に1回の評価を1ヵ月に1回に変えることで、上司と部下の評価のギャップを解消していったとのこと。

そうしたさまざまな改革を通して、社員の意識が変わっていきます。

「顧客満足への執念」を育み世界一の企業に

理念を明らかにし、自ら考え行動する力を手に入れた社員たちは躍動し始めます。

"顧客第一" の考えのもと試行錯誤と改善を繰り返すことで設計技術が向上.

大幅な成長を実現したのです。

その結果、世界包装機構の「ワールドスターコンテスト」日用品部門で最高賞を受賞。

世界一の称号まで獲得したのです。

さらには、お客さんから「もっとウチの会社の商品が売れて欲しい」という声を聞けば、その商品(北陸ならではの食品や工芸品)を販売するセレクトショップをオープンさせる。

ダンボール製造会社という概念を超えて、顧客満足製造会社に変わっていったのです。

実際に、お得意様の社長からは

お宅の営業マンは凄い、とにかくこちらの考えを聞いてきて、こちらの要望や課題に真摯に向き合い、なんとか答えようとする。あの執念のような気合いが凄い!

と絶賛されたそうです。

そうした評価も相まって、気がつくと、売上高50%UP、利益4倍という脅威の成長を果たしていたとのこと。

非常に心が震える話です…

成熟し切った産業でも、社員の気持ちが変わるだけでこれだけの成果と成長を上げることができる。

私が生きるマーケティング業界も成熟し切っていると思っていたので、非常に希望が持てました。

当社は手前味噌ながら、良い人財が集まってくれているので、あとは「より高い理想」「より強い顧客満足への執着」を上手に育んでいくことが大切だなと改めて感じました。

下期からは、その一歩を踏み出せるように。

全社ミーティングでのメッセージにもそんな想いを込めていきたいと思っています。

…やっぱり…、リーダーの質が経営を左右すると感じる今日この頃です😅

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