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現代人は「共感疲労」にご用心

column vol.714

当社では毎週火曜日の朝、「イマジナス」という時流分析会議を行っているのですが、参加するスタッフから「共感疲労」というキーワードが出され、皆の共感を集めていました

●イマジナスとは?

「共感疲労」とは、辛い状況にいる人の苦しい気持ちに共感し過ぎて、自分自身の心が疲れてしまう状態を指します。

具体的な症状としては、無気力になる気分が沈みがちになるイライラしがちになるなどが挙げられます。

〈COSMOPOLITAN / 2022年6月23日〉

確かに、コロナ、ウクライナ侵攻、物価高、円安など、今日は社会不安で溢れている

その上、マスメディアだけではなく、SNSYouTubeなどでも大量の情報が溢れる現代において、ネガティブな刺激を大量に浴びてしまうことは避けられません。

たくさん同情し、心が暗闇に覆われる…。

情報過多の時代は、心が疲れやすい時代とも言えますね。

当社の社員がこの話題に興味を示す気持ちもよく分かります。

惨事報道が引き起こす「心の疲労」

災害時における支援者のメンタルヘルスケアなどにも取り組んできた桜美林大学准教授の池田美樹先生によると、たとえ自分の身に起こっていないことであっても、「自分がもしそこにいたら…」と恐怖心を感じるなど、間接的な体験だけで、心に大きな負担を与えるようです。

例えば、「今起こっている出来事に対して助けになれない」「世の中で大変なことが起こっているのに、自分は普通に日常を送っていて良いのだろうか」と無力感や自責感を覚える人もいらっしゃいます。

また、まるでその出来事の当事者であるかのように「自分ごと化」して受け止める共感疲労によって、精神的に疲れてしまう場合も。

自分の子供と同じ年頃の子が被害を受けているなど、自分と共通点がある状況に対しては、特に感情移入しやすい傾向にあります。

実際、ウクライナ侵攻では、自分がいる場所から物理的に離れている異国の出来事であっても、被害の様子や都市が破壊される衝撃的な映像・情報を見て、不安や恐怖だけではなく、人や故郷など大切なものに対する喪失感を抱くケースもあるとのこと。

これは意外と無自覚な場合も多く

●寝つきが悪い、寝ても疲れがとれない
●ちょっとしたことでイライラする
●仕事にやりがいを感じられない
●気分が落ち込む、悲しくなる
●気力がわかない
●注意力が下がってミスが増える
●朝仕事に行くのがとてもしんどい
●慢性的な疲労感がある

上記の項目に当てはまるようですと要注意です。

共感疲労を起こした時の「心の柔軟体操」

もしも、共感疲労を抱えてしまった時は以下の5つの対処法を試していただくことがオススメです。

〈mazrica times / 2022年5月13日〉

ポジティブなことを書きだす

「お昼に食べたラーメンがおいしかった」「通勤途中ですれ違った犬が可愛かった」「良い天気だったので洗濯物がすっきり乾いた」のように、ほんの些細な出来事でOK。大切なのは、日常で起きている良いことを意識的に探し出す思考に変えていきます。

デジタルデトックスをする

情報過多の原因です。

SNSは特に剥き出しの感情(言葉)が溢れているので、見る量を意図的に少なくすることは大切。

特に、衝撃的な映像や情報を、繰り返し長時間見ることは避けた方が良いとのことです。

慣れてくると、情報から遮断される心地良さや、脳が休まる感覚を味わえるはず。

私は特に寝る前はデジタルデトックスを心がけています。

身近な人に辛い気持ちを話す

個人的には人に頼ることが一番効果的だと思います。

人は悩みを打ち明けられたり、頼られることを嬉しく思う部分もあるので、相手にとってもプラスになります。

ただし、ネガティブな話は相手の共感疲労を引き起こしてしまうことも忘れてはいけませんね。

あまり垂れ流しにならないこと…(汗)

そして、最後はポジティブに話で締めるなど、相手への気遣いは忘れたくないものです。

ただ、全て吐き出したい場合は、日記など書き出すことが効果的で、そこで思う存分吐き出すとスッキリします。

翌日など気分が晴れてから見直すと、時に「こんなことを気にしていたんだ」と、前向きに捉えられることも多く、日常のメタ認知能力(客観性)が磨かれます

相手と自分を切り離して考える

「相手は相手、自分は自分」のように相手と自分を切り分けることで、共感し過ぎることを減らせます。

実際、相手の悩みや苦しみに寄り添う時、寄り添い過ぎると、相手がネガティブスパイラルから抜け出せなくなってしまう場合があります。

そこは適度に見極め、適切な距離感を保つことが肝要でしょう。

睡眠時間を確保する

寝不足の状態が続くと、ネガティブ思考になりやすく、共感疲労になる恐れがあります。

日常的に十分な睡眠時間を確保してしっかり心と体を休めることが大切です。

寝る前の時間に脳に刺激を与えるような行動も控えた方が良いですね。

「体」から心をポジティブにする

最後は「禅」の教えから学びたいと思います。

仏教の「不動心」を磨く上で禅僧の南直哉さんは、「体」を使って心の疲れをとる方法もオススメしています。

〈DIAMOND online / 2022年7月11日〉

不動心とは、放下や落ち着き、つまり、"何事にも動じない精神"、"何事にも動じない心"を現しています。

頭の中で渦巻いている感情や思考は、自分の意志で食い止めようと思って止まるものではない。

感情や思考の動きを鎮静化させ、意識の方向を切り替えるためには、「体の方から感情をコントロールするテクニックが効果的だ」と南さんは語るのです。

いわゆる「クールダウン」

禅で言えば、その象徴となるのが「坐禅」です。

日常生活で挙げると、散歩読書お茶などがそうですね。

食事をひとりで味わって食べる、肌の感覚に意識を向けながらお風呂に入るといったことも良いそうです。

また、草むしり雪かきなどの単純労働も◎

単調な運動を繰り返すことで感情の起伏が収まり、クールダウンしやすくなるそうです。

確かに私もモヤモヤした時はランニングなど軽めの運動をして、気分が前向きにしています。

これは、科学的にも脳内で高揚感幸福感を得られるエンドルフィンや、向精神作用のあるフェネチルアミンなど脳内物質が生み出されていることが証明されているのです。

いずれにせよ、現代の生活は想像以上に心に負担がかかっています。

体だけではなく「心の疲労回復」にも意識を向けたいところですね。



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