「地球にやさしい」身近な話
column vol.55
もう見られた方もいらっしゃるかもしれませんが、ナチュラルローソンが「洗剤の量り売り」のテスト販売を始めました。直営店の東京・芝浦海岸通店、神宮外苑西店を皮切りに、今月、病院内に展開する店舗への導入も予定しているそうです。
先月からのレジ袋有料化もそうですが、「持続可能な社会」に向けての取り組みが小売の現場でも今まで以上に密接に感じるようになりました。
ということで、今回はサスティナビリティにおける身近に起こっているトピックスについてご紹介いたします。
「競合」同士が、地球を守るために「協業」
花王は10日、フィルム容器のリサイクルに関してライオンと協業することを発表。両社はプラスチック包装容器資源循環型社会の実現を目指し、リサイクルのための回収の基盤となる仕組みの構築とリサイクル技術の開発において、企業の枠を超えて連携するそうです。
〈WWD JAPAN / 2020年9月11日〉
花王を始め日用品メーカーは1990年代から包装容器プラスチック使用量の削減を進めてきて、2018年時点では全製品出荷量の80%が詰め替え・付け替え用製品に。しかし、詰め替え容器に使われているフィルム素材が複合材料からなるため、リサイクルが困難な状況にあったとのことです。
地球の未来のために業界内外の企業が手を結ぶ。その傾向はますます強まっていくでしょう。
大手コーヒーチェーン「大豆ミート」の新商品
ドトールコーヒーショップから、9月17日に「全粒粉サンド 大豆ミート ~和風トマトのソース~」が発売されます。
〈Forbes JAPAN / 2020年9月6日〉
肉や魚も食べるけれど、野菜中心の食生活というフレキシブルな菜食主義「フレキシタリアン」向けの商品。新しいニーズの掘り起こしのために開発されました。
代替肉と環境保全の結びつきについて、イマイチよく知らないという方のために解説すると、食肉に比べて水の利用や温室効果ガスの排出を圧倒的に抑えることができます。
代替肉メーカーの大手であるビヨンド・ミートは、代替肉の製造過程における水の利用は食肉の生産よりも99%少なく、温室効果ガスの排出も90%少なくて済むと指摘。動物飼育に使う水の多さが環境負荷を招いていると語っています。
2050年には世界の人口は現在の74億人から96億人に増加すると言われ、将来の食料不足への懸念が高まる中で、動物由来の食材を使わない代替肉は「食料問題」の観点からも有望とみられています。
ちなみに、今年は食品業界では「代替肉元年」とも呼ばれている年。コロナの影響もあり、ニュースが埋没しがちですが、目の離せないテーマであることは間違いありません。
「繊維製品」に求められるファクターとは?
オーストリアの繊維大手レンチング・グループが「ファッションおよび家庭用繊維製品の原材料に関する消費者の意識調査」を実施。世界9ヵ国、9000人を対象に行いました。
〈WWD JAPAN / 2020年9月7日〉
ちなみに、9ヵ国とは中国、日本、韓国、インド、インドネシア、トルコ、ドイツ、イギリス、アメリカ。対象年齢は18~64歳となります。
この調査から導かれた答えは「消費者の信頼と信用を得る鍵は“透明性”」。
回答者が特に好印象を持つ言葉として「環境に優しい」、「生分解性」、「天然素材」、「リサイクル可能」を挙げ、製品にこうした言葉が使用されていればより購入意欲が高まると80%以上が回答したそうです。
さらにほとんどの回答者は、サステナビリティを反映した表示のあるファッションや家庭用繊維製品に平均で40%上乗せして対価を払ってもいいと回答。ファッション業界のこれからの商品企画において見逃せない結果となりました。
世界では「持続可能な社会の実現」に向けて急激に加速していると感じます。ちなみに、冒頭の有料レジ袋についてですが、イングランドではプラスチック製のレジ袋の料金を1枚7円から14円に値上げしたそうです。
今回はなるべく身近な企業や商品の事例を紹介することで、その実感をお届けしたいと考えました。ぜひ、あなたの周りにある事象に向けて、変化の速度を体感していただければと思います。
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