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岐路に立つ「PTA」とその未来

column vol.792

先ほど明日の講演資料が完成し、今、ホッとひと息ついています。

仕事部屋でボーッとしてみる。

聞こえてくるのは、野球少年・少女たちの掛け声です。

我が家は小学校の近く。

日曜日は練習に勤しむ子どもたちの声に励まされています。

ということもありまして、本日は久しぶりに「学校」をテーマに書きたいと思います。

その中でもテーマをもう少し絞るならば、「PTA」についてはいかがでしょうか?

鹿児島市の伊敷小学校のPTA活動が今、話題になっているからです。

〈南日本新聞 / 2022年9月30日〉

同校のPTAは2023年度以降は、上位団体の市PTA連合会の活動に参加しないことを決定。

背景には、少子化一人親世帯の増加で人員を出すのが難しくなり、負担軽減を図りたいという思いがあります。

「PTAで非効率だと思うこと」1位は?

そもそもPTAの活動は今どのように思われているのしょうか?

LINE WORKSを提供するワークスモバイルジャパンPTA役員経験者435人を対象に実施した意識調査では、PTA業務の大変さが感じられます。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年9月30日〉

「PTAで非効率だと思うこと」という問いに対し、ワースト5位〜2位は以下の通りになっております。

5位「PTA役員・委員どうしのコミュニケーション」(34.7%)
4位「会議やPTA活動の日程調整」(35.2%)
3位「お便りや議事録などの紙資料の作成・印刷」(35.6%)
2位「PTA一般会員への連絡・通達(情報共有)」(35.9%)

そして、1位が

「会議のために学校に行くこと」(48.0%)

つまりは、PTAにもDX(オンライン化)して効率化が求められるほど大変であるということでしょう。

共働き世帯も増えていますし、やはり皆、時間が無い…。

請け負うならば、なるべく効率的に行いたいというわけです。

ちなみに、6位が

「次期PTAへの引き継ぎ」(34.3%)

恐らく、その前の次期PTAメンバーを決めるのも一苦労なのではないでしょうか?

よく子育て中の知人たちから、その苦労話を聞きます。

「人間関係のいざこざに巻き込まれたくない」
「共働きなので忙しい。できれば参加したくない」
「体質が古い。新しいことをやろうと思っても、『前例がない』と言われてしまう」

実際に、お悩み解決メディアを運営する「SNAPLACE」の調査(PTAに参加したことがある男女100人)によると、「PTA活動に参加したいですか?」という問いに「参加したくない(絶対に+できれば)」(82%)と答えた人は8割を超えているのです…(汗)

なかなか成り手が見つからないのが現状なのではないでしょうか?

PTA業務もアウトソーシングする時代??

そんな中、それをビジネスチャンスと捉えている企業もあるようです。

その企業とは旅行会社の「近畿日本ツーリスト」

PTA業務アウトソーシングサービスを8月25日からスタートしたのです。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年9月24日〉

実は、近畿日本ツーリストは予想不能はVUCA時代を生き残るため、旅行業1本を脱し、コオロギのスナック菓子をつくったり、九州ワインを販売するなど、二刀流どころか、多刀流経営に乗り出していたのです。

その中の1つが、このPTA代行業務

SNS上では

「PTAのあり方が大きく変わりそうだな」
「面白い取り組みかもしれない。やってみる価値はある」

といった前向きなコメントが多く寄せられたそうで、アナウンスしてから半月で30件ほどの問い合わせがあったとのこと。

一方で、「丸投げ」は受けないようにしているとのこと。

その心を同社担当の中村達也さんはこのように語っております。

PTAの是非をめぐっての議論がありますが、当社として『これは良い、これは悪い』といったことは考えていません。先生の働き方が変化している、共働きの世帯が増えてきた。こうした状況の中で、負担が大きいところを軽減させることはできないか。そのような形で始めたので、全てを代行することは考えていません。

学校と親御さんで「子ども達のための良き学校づくり(運営)」を行っていくという理念は残しながら、なるべく負担をアウトソーシングし、運営しやすくしていく。

これからの時代のバランス感なのかもしれませんね。

立候補者が殺到!?校長先生の改革

一方で、PTA役員の立候補者が殺到している小学校があるそうです。

我が横浜市にある「山内小学校」です。

〈ABEMA TIMES / 2022年9月16日〉

立候補者の数、定員に対し1.7倍

この状況をつくり出したのが校長先生の佐藤正淳さん。

佐藤校長は、Instagramを通して毎日、学校の様子を発信。先生の頑張り生徒のキラキラと過ごすその姿を親御さんに伝えています。

実際、このInstagramアカウントにより、親御さんからの学校への関心は高まり、夫婦の会話が増えているそうです。

●雨の日の運動会を少しでも楽しくするために準備する先生の姿。
●成績表を1つ1つ丁寧に説明しながら子ども達に渡す先生の姿。

そうした先生たちの努力を佐藤校長は少しでも知ってもらいたいからです。

PTAについてもその様子を隠すことなく発信しているから、業務のイメージが伝わり「あっ、これなら私が支えられるかも」という親御さんが増えているのでしょう。

学校行事と先生の努力を見える化することで、学校を支えたいという応援団が増えていく

そして、佐藤校長のインタビューはこのように締めくくられています。

力を貸してくれる人たちの姿を子どもたちは必ず見ている。あの子たちが高校生・大学生になったときに、誰かのために何かをするという原体験・原風景になってくれると思っている。学校だけでは出会えない、経験できないようなことが保護者や地域の人の力を借りると実現する。学校で今やっていることが社会とつながっているといった学びは、保護者や地域の力を借りることによって、より大きな形となって現れる。

胸にジーンときます。

こういった佐藤校長の想いと行動は、ビジネスの現場にも大切なことを教えてくれているような気がしますね。

非常に勉強になる本日の事例でした。


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