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成功に導く「脳力」の高め方

column vol.327

ここ最近の本の中で目鱗だったのが、脳内科医の加藤俊徳先生が執筆した『センスは脳で磨かれる』です。

最近、体を鍛える人は増えましたが、脳を鍛えている人はあまりいないのではないでしようか?

体同様に脳も鍛えられるということは、言われてみればそうなのですが、脳トレと聞くと幼児教育やシニアになってからするものというイメージでした。

しかし、我々現役世代こそやるべきで、しかも世の中にまだ「脳を鍛える」という概念が根付いていないうちに、先取りして取り組んでおきたいとことです。

ということで、今日は体力ならぬ「脳力」の上げ方について、お話しさせていただきます。

「センス」「感性」の正体

最近、ビジネスの現場では「感覚」「センス」の重要性が説かれることが増えています。

不確実性が強まる今の世で、従来の知識や手法では対応できない場面が多く、個々人のセンスが問われるようになっているのです。

そして、このセンスというものは、脳のトレーニングによって今よりも全然高められるというのが、この本から分かります。

〈東洋経済オンライン / 2021年2月21日〉

加藤先生はこれまでアメリカや国内の大学病院などで脳の研究に従事し、MRI画像の解析をもとに、脳の活動とその領域を分析することで、「脳番地」という概念を作り出すことに成功しました。

脳番地とは同じような働きをする脳の集まりで、その神経細胞群関連している脳の機能の総称のことになります。

つまり、見たり聞いたり、記憶したり想像したりするには、それぞれの脳の得意な領域専門領域があるというわけです。

センスにかかわる脳は、「見る脳」「聞く脳」「感じる脳」「動く脳」の4つの脳番地が基本。これらの脳番地をバランスよく動かし、緊密に情報をやり取りする中で、センスが鍛え上げられていくのです。

最近で言えば、ラジオを聞くことで脳の「聴覚系脳番地」が成長することが確認されました。

大学生にラジオ番組を1日2時間聞いてもらい、それを1ヵ月続けたところ、加藤先生が開発した「加藤式・MRI画像診断法」で、明らかに脳が成長した形跡が認められたそうです。

特に右脳の記憶系の成長が著しかったのですが、これは色んなことを想像しながら話を聞くからだと考えられています。

知識、スキルだけではなく脳自体を高める

加藤先生はセンスについてこのように言及されています。

センスのある人、感覚と感性の鋭い人は、おそらく脳の対応した部分が発達した人だということができます。先天的なものもあるでしょうが、これまでの私の実験やデータ、経験から考えると、後天的な環境や訓練によってよく使う脳番地があり、そこが発達しているケースが多く見受けられます。

脳は使えば使うほど、神経細胞が触手を伸ばしてネットワークを作り、それが太く大きくなるので、鍛えれば鍛えるほど発達します。当然、職業によって鍛えられているということが大きいのです。

たとえば、盤工のベテランの職人は機械やセンサーなどで検知できない数ミクロンの歪み触っただけで分かると言います。

宇宙ロケットなどの精密機械では、最後の仕上げはそんな職人たちの鋭敏な感覚に頼っているのです。

ということで、4つの脳番地を早速鍛えたいのですが、「見る脳」を鍛えたいなら、その一例として「視覚にテーマを与える」ことが良いそうです。

「今日はセンスのいい格好をしている女性を3人探そう」とか、「高価な腕時計をしている人を3人探そう」など、何でも良いのです。

テーマを決めることで見るポイントが絞られる。すると、それだけ集中力が高まるというわけです。

さらに、「見る脳」は見た目から想像するので、推理力洞察力が鍛えられます。

電車の中の人や街行く人の顔や容姿を見て、職業や性格、生活環境を想像するというのも大変良い訓練になるとのこと。

まるで部位ごとに筋トレするように、「見る脳」「聞く脳」「感じる脳」「動く脳」それぞれの脳をトレーニングすると、「脳力」はうなぎのぼりで上昇していくでしょう。

正解のない仕事で「答え」が見つかる!?

ちなみに、最近「アート思考」という言葉が一般化しましたが、簡単にアート思考を鍛えられるドリルが開発されたそうです。

〈マイナビニュース / 2021年6月5日〉

『ぐんぐん正解がわからなくなる! アート思考ドリル」という風変わりなタイトルの本なのですが、著者は、起業家・アート思考キュレーターの若宮和男さん。

「日経COMEMO(コメモ)」で発表した記事が1冊にまとめられました。

「アート思考ドリル」の本は、一人で読んで黙々とドリルを解いているだけでも、多くの学びが得られますが、ワークショップで複数の人と行うことで、同じ問いでも人によって答えが全然違う面白さに気づきます。

つまり、正解は1つではないということが実感できるのです。

ビジネスの現場においても、正解なんてあってないようなものです。正解を導くというより、創り上げていく。それには、やはりセンスが問われます。

相手が今何を求めているか?どんな提案内容が望ましいのか?どのタイミングで契約やクロージングに持ち込むのか?それは、どんな言葉や物腰で相手に対して行うのか?

これらは全てセンスです。

よく自分磨きというと、新しい知識やスキルの獲得が想像されがちですが、脳自体の能力を高めることを忘れがちになっているような気がします。

こういったセンスが脳トレで精度が高まるのであれば、やらないわけにはいきません。体だけではなく、いや、それ以上に脳もムキムキに鍛えた方が得ですね。

筋トレブームのように、脳トレブームになる前に、一足お先にトライしたいと思います。

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