「ついていきたい上司」とは?
column vol.419
45歳になりました。四捨五入すると50歳。
もちろん、50代はまだちょっと先ですが、良き50代を思い描くようにはなりました。
改めて副社長として高めたいリーダー力ですが、毎日、自己嫌悪に陥る毎日で…、皆にとって良きリーダーであることに苦心しています…(汗)
とはいえ、甘ったるいことも言ってられないので、自己研鑽を誓う今日この頃なのですが、最近、リーダーとして特に重要視していることが3つあります。
1つ目は、「情報感度(先見性)」です。
朝日新聞のGLOBE+の記事の中で経営コンサルタントの岡俊子さんは、日本経済の閉塞感は「中間層の保守性」がつくってしまっていると指摘しています。
〈朝日新聞GLOBE+ / 2021年8月17日〉
なぜ保守的な中間管理職が生まれるのか?
岡さんは各企業のCEOの方々から、こんな話を聞くそうです。
よく、メディアや経済団体などからアンケートの要請がありますが、その回答の土台を中間管理職の方々が作成すると、あまりに保守的な内容で驚くことがあるそうです。
保守的というのは時流への情報感度が低いということです。
例えば、リクルートにおいて、若者がSDGsやESGについて非常に意識が高くなっているのに、中間層がそういったことに敏感になれてない。
感度が低いと部下から「古い人だなぁ」と思われてしまい、なかなか求心力を得ることができないと思います。
最近では「レディース&ジェントルマン」というアナウンスも廃止されていますが、小売業界では未だに「レディスファッション」「メンズファッション」と躊躇もなく、大々的に訴求しています。
しかしなぜ、中間管理職がついつい時流から遅れてしまうかということに対して、先週、東京大学名誉教授・上野千鶴子さんが、小売業協会の講演でこのようにお話しされていました。
「中間管理職は業務量が多く、視線が内向き(現場寄り)になってしまう」
膨大な仕事量と、家事や育児に追われる毎日。どうしても情報感度が低くなりがちです。
ただ、一方でそれを経営者側が嘆くのではなく、情報感度を高めるためのインフラづくりをすることも非常に大切だと思います。
結局のところこの中間層が会社の命運を握っています。リテラシー向上は会社としての努めと言えるでしょう。
「登る山」を決める
よく、リーダーは「部下の能力と成果を引き出すことが大切」と言われ、任せるという選択肢をとりますが、時に「丸投げ」認定されることはないでしょうか?
ここで、私がポイントだと思うのが、モチベーションを与えられているかということが1つあると思います。
それを『INTEGRITY インテグリティ――正しく、美しい意思決定ができるリーダーの「自分軸」のつくり方』の著者である岸田雅裕さんは「登る山を決める」と表現されています。
〈東洋経済オンライン / 2021年9月8日〉
目指すものの全体像やゴールを決めて、それを共通認識させるということです。
この時に、なぜ任せるのか、何を期待しているのか、そして部下のどんな特性を活かして欲しいかを伝えきれているかということが重要になります。
この時、リーダー自身にとって大事なマインドが「自分だけの力では成し遂げられない成果をチームであげる」ということでしょう。
どんな優秀な上司でも一人でできることには限界がありますし、メンバー全員、リーダーよりも優れた点を持っています。
そのことを認識し、足し算ではなく掛け算でチーム力を考えることが肝要です。
部下の能力を的確に見抜き、活かし方を考える。好き嫌いなんか言ってられません。どこまでも一人一人の活躍どころを追求することが大切です。
そんなリーダーだったら、恐らく「丸投げ」ではなく「任せてくれている」「活かしてくれている」という印象を持たれるのではないでしょうか。
「何のために働いているか」問う
最後に1つ。これはシンプルだけど結構重要だと思うのですが、自分自身が「何のために働いているか」を語れることだと思います。
よくリクルート面接で応募者の方に聞かれるのが「池さんはこの会社でどんな働きがいを感じていますか?」「この会社に入って良かったと思える点はどんなことですか?」という質問です。
この問いの答え方次第では応募者の内定辞退もありえます。
それは、会社に入ってからも同じではないでしょうか?
リーダーが夢や理想、会社にいることでの可能性を語れなければ、部下はリーダーについていこうと思うどころか、会社にすらついていこうと思わないかもしれません。
『課長2.0』の著者であり、ソフトバンクの元敏腕マネージャーとして知られる前田鎌利さんの言葉を借りると「念い」です。
〈ダイヤモンドオンライン / 2021年9月11日〉
「思い」でもなく「想い」でもなく「念(おも)い」。「今の心」を大切にする。
そして、「今」という文字の「人」に該当する部分は、フタを意味する造形でもあります。
つまり、フタをしているから、外から変化させることができない「強い気持ち」という意味も込められているのです。
ですから、「念い」という言葉には、「全ての言動の根底に一貫している強い気持ち」という意味だと解釈することができます。
企業理念にリーダー自身の「念い」を重ねる。
自分が若手だった頃を思い出すと、何となく「生活のため(家族のため)だけにがんばる」という上司には、少なくても「ついていきたい」とは思いませんでした。
しかし、月日が経ち35歳も過ぎると、若干、事なかれ主義になっている自分がいたこともあるので…、「生活のため」と割り切る気持ちは分かります。
しかし、100年人生時代です。人生は一瞬一瞬の積み重ね。
今の心を大切にするからこそ次に繋がるわけで、やはりミッションとパッションは常に心に携帯していないと…人生後半戦が楽しくなくなるような気がします…。
ということでリーダーということを置いておいても「念い」は重要ですし、自信を持ってそれを語れる自分でありたいと思います。
まずは45歳の私は、44歳の時の私よりも、良きリーダー、良きプロフェッショナルでいられるようにしていきたいです。
これからも何卒よろしくお願いいたします。
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