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“思い出”は消費のトリガー
column vol.1234
皆さん、「メローイエロー」というジュースをご存知ですか?
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アメリカで1979年に発売され、日本には1983年に上陸。
私が「世の中に、こんなウマいものがあるんだ!」と初めて好きになったジュースがメローイエローでした。
しかしその後、惜しまれつつも2000年に販売終了。
その後、復刻→終了を繰り返しながら2021年を最後に見かけていませんでしたが、今年の5月にローソン限定で復活。
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メローイエローを見かけるたびに、50歳近くになった今も尚、テンションが上がります〜
この感覚は、恐らくアラフィフ世代の少数の人にしか共有いただけないとは思っていますが(笑)、
誰しも自分だけの「思い出」が詰まった商品の1つや2つはあるはずです。
そして今、ビジネスの現場ではこうした情緒的価値について注目が高まっています。
数十円で得られる「安心」と「元気」
思い出の美味しさということでいえば、ベビースターもそうかと思います。
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あれ??パッケージ違くない?
と思った方、正解です!
上のパッケージは私が子どもの頃のバージョン。
今はこちらですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1719818484780-56EtTewAsV.jpg?width=1200)
そんなベビースターを手がけている「おやつカンパニー」では、こうした情緒的価値を十二分と捉えていると感じます。
〈Web担当者Forum / 2024年2月29日〉
その一端が垣間見えるのが同社の顧客調査。
グループインタビューや、1対1のデプスインタビューなどを通じてお客さまがベビースターにどのような価値を感じているかをヒアリングしています。
マーケティング戦略1部 ブランド2課の田中雅洋さんは
「30代のお客さまにベビースターの魅力をお伺いしたところ「ベビースターにちょっとした元気をもらえている」と話されたんです。疲れて家に帰った時に、缶ビールをあけてベビースターを食べると、昔の懐かしさをじんわりと思い出して「明日も頑張ろう」という気持ちになれると。
その話を聞くまで、私はベビースターの価値の中心が「パリポリ食感でおいしい」という機能的な部分だと考えていました。しかし、ベビースターの本質は幼少期の原体験があることで、お客さまが安心した気持ちで食べ、ちょっとした元気を得られる存在なのだと気づきました」
食べるシーンや食べ方は変われど、幼少期の原体験が商品を楽しむ上での土台となっている。
つまり、大人になってからは得られないような強い親近感を商品は内包しているのです。
これは相当貴重な付加価値と言えるでしょう。
「体験設計」をいかに築けるか
こうした幼少期の原体験をさらに意図的にアプローチしていると感じるのがカゴメです。
営業本部 健康直送事業部 企画グループ 担当課長の細川和紀さんは、現状のカゴメに対して、このように分析しております。
「カゴメというブランドは「いいやつだけど仲がよい友達じゃない」という感じなんです。これは、日常の中の接点の問題なのでは、と思っています。日常で必ず使う食品や調味料などと違って、必ずしも接点があるとは限らない。だから「好き」にならないという意味です」。
そのため同社ではファンに育てていくための3つの要素を大事にしております。
●原体験
●商品体験
●企業体験
一般的には商品体験は購入で企業体験は工場見学などが挙がりますが、細川さんは
「ライフステージのどのタイミングでカゴメと出会い、記憶に残るか」
が重要だと考えていらっしゃいます。
例えば、商品体験でいえば「離乳食」です。
「何を食べさせれば良いか分からない」を解決することで印象的な体験価値として親御さんの記憶に残ります。
そして原体験については、細川さんはあるお客さんのエピソードをもとに解説してくださっています。
「たとえば、子どものころに家で食べたオムライスとカゴメのトマトケチャップが記憶に残っていて、自身が家庭をもった際、昔食べたオムライスを思い出してつくってみようとカゴメのケチャップを購入したというお客さまがいらっしゃいました。
その方にとって家庭の味をつくるためにはカゴメのケチャップが必要ということです」。
なるほど、なるほど〜
確かにこれは、いいやつではなく「大親友」、つまり唯一無二の存在になれていると言えますね。
こうしたライフステージの出来事と商品をリンクさせて「体験設計」を図っていく。
こうした観点のもと最近では「健康を贈る」というコンセプトでギフト商品にも力を注いでいるそうです。
思い出というその人にとって掛け替えのない瞬間に徹底的に寄り添う姿勢が感じられますね😊
子どもから社会の常識を変える
「ライフステージに寄り添う」+「ギフト」ということで最近ヒントになったのが「日傘」についてです。
男性の皆さん、日傘を差していますか?
最近は「日傘男子」が増えており、年々暑さが増す夏に欠かせないアイテムになりつつありますが、「日傘おじさん」デビューできない同世代や先輩方は多いのではないでしょうか…?
そんな中、日傘を差す男性が一気に増えそうなある取り組みに出会いました。
実は愛知県の豊田市内では4年前から、熱中症対策に加えてコロナ禍で密を避ける取り組みとして、日傘を差しての登下校が行われるようになったそうです。
〈CBC news / 2024年6月14日〉
しかも、浄水小学校では入学祝いにPTAから雨天兼用の日傘をプレゼントされるそうですよ。
恐らく可愛い息子さんから「パパも日傘を差そうよ〜!」と言われて日傘デビューしたお父さんも多いのではないでしょうか?
そうなのです、幼少期の原体験はその影響が強い分、なかなかマインドを変えられないという負の部分もあります。
しかし、子どもが促すことで凝り固まった考えや習慣が変わることも多々あるでしょう。
例えば、花王では小学生向けに「はみがき教室」を開いているのですが、正しい磨き方を子どもに教えることで、子どもが家で親御さんに伝え、家族みんなの習慣を変えることにつながっているそうです。
このように、子どもから親が変わり、社会が変わることって結構多いと思っています。
「改善」というと重苦しさがありますが、変えたいことを愛しい家族との時間の中で楽しく変えていく。
そんなストーリーを企業の顧客接点・体験の中で取り入れていけると良いのかもしれませんね😊
〜ということで本日は「思い出」についてマーケティング視点でお話しさせていただきました。
何か皆さんにとって記憶に残る話だと嬉しいです〜
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
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