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農業の新たな一歩

column vol.489

実家が鎌倉ということもあり、定期的に若宮大路通り(鶴岡八幡宮の通り)に面している農協連即売所で野菜を買います。

妻が料理好きということもあり、連売に行った夜から次の日にかけて、これぞ命の恵と思えるような料理が食卓に並び、毎度胸が踊ります。

一方、連売で触れ合う農家の方々はシニア世代の方ばかり。この国の課題も同時に感じています。

「外者」の力で起こすイノベーション

農林水産省によると、日本の基幹的農業従事者の平均年齢は2020年67.8歳となり、10年前より高年齢化が進行。

また、従事者数136万3,000人と10年前に比べ33.6%減少し、後継者問題担い手不足耕作放棄地など、さまざまな課題を抱えています。

そんな中、元銀行員による農業への挑戦の記事が興味深いと思いましたので、共有させていただきます。

〈ツギノジダイ / 2021年11月24日〉

関澤征史郎さんは、甘さ濃さが売りの「朝恋トマト」を栽培する「浅小井農園」2代目に就任。37歳で一念発起し、40歳で新たな人生のスタートラインにつくことができました。

朝恋トマトの質を高めるため、日射センサーでハウスの屋根の遮光カーテンを自動開閉し、ハウス内の太陽光温度二酸化炭素の濃度を調整。

植物の光合成に最適の数値になるよう、コンピューターで自動制御するなど海外の農業先進国のノウハウを取り入れ、イノベーションを起こしているのです。

さらに今後は、農業の「金融面」を強化させたいと考えいらっしゃるそうで、金融のプロだった経験を活かし、就農支援のNPO法人で、事業計画書の作り方資金調達支援などの指導を計画。

農園の存続のため、「第三者承継」をメジャーな選択肢にしようと努力されています。

農業だけではなく、さまざまな業界でイノベーションが求められる中、「外者」の力を活用することは有益な選択肢です。

最近、フジテレビの早期退職に関するニュースが話題になりましたが、特にミドルエイジの人材活用は大きなポイントになってくるはずです。

と、ちょっと話が逸れそうなので、農業の話に戻すと40歳の関澤さんですら農業界では超若手

命のすぐそばにある一次産業は非常に大切な産業であるだけに、新規参入や、参入してからの企業成長を高めることは食料自給率の低い日本では喫緊の課題として、もっと社会全体で考えないといけませんね。

旅行会社大手が農ビジネスに参入

個人レベルでの新規参入と同時に企業の参入も見られています。

HISは今月、「農業プロジェクト」としてミニトマト栽培の実証実験マーケティングを始めると発表。プロジェクトの第一弾として埼玉県蓮田市ミニトマトを栽培するそうです。

〈ITmediaビジネスオンライン / 2021年11月16日〉

就農人口が減る中、長期的に農作物を安定供給し、地域農業の活性化雇用の創出に繋がる事業の実現を目指すとしています。

今回のミニトマト栽培では、協力企業の技術検証支援のもと、健康成分を豊富に含んだミニトマトを栽培し、生産技術知識の習得市場流通の動向把握などのマーケティングを含め検証を実施。

3年後をめどに規模を拡大させ、自社農場の運営と取り扱い品目の拡大を目指すそうです。

ちなみに、ミニトマトは21年12月に定植を開始し、22年2月中旬に収穫を予定。約600坪の敷地に6,000本定植し、年間24.3トンの収穫を計画しています。

同社では

「生産、加工、流通、販売まで行う6次産業化の形態で効率化を図り、食料の安定確保栄養状態の改善を図るとともに、最新技術データを活用し持続可能な農業の実現に向けた取り組みを進めたい」

とコメントしています。

地球温暖化対策の一手

「持続可能」と言えば、気候変動対策として「メタンガス」に厳しい視線が注がれています。

温暖化の原因となる温室効果ガスで、最も排出量が多い二酸化炭素に次ぐのが、メタンガス

国連食糧農業機関によると、人為的に排出される温室効果ガス14.5%家畜に由来し、そのうち62%が占めると言われています。

〈AMP / 2021年11月26日〉

牛など胃袋が4つある反芻(はんすう)動物は、消化の過程でメタンを発生。げっぷやおなら、糞尿を排出することで、メタンが大気に放出されているのです。

そこで、牛の糞尿から再生可能エネルギーを生産する技術を、アメリカで燃料電池技術を提供するBloom Energyが発表。

アメリカ・カリフォルニア州ケアマンの酪農場「Bar 20 Dairy Farms」1メガワット燃料電池を配備し、牛の糞尿に含まれるメタンをバイオガスに変えるようです。

酪農が盛んなカルフォルニア州では、農場経営者にメタンガス排出量の削減を義務づける法案が登場するなど、牛の排出するメタンを減らす取り組みが盛んです。

例えば、餌に「藻」を利用することでメタンの排出量を大幅に削減できることも話題になりました。

農業はさまざまな観点で課題山積ですが、今まさに知恵の出しどころです。

SDGsの観点からも認識を深めないといけないテーマだけに、私ももう少し深堀して勉強していかなければならないなと感じる今日この頃です。

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