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「働く場所」の新しいモデル

column vol.635

GWに差し掛かると思い出すのが一回目の緊急事態宣言です。

それまでの生活が一変し、戸惑ってばかりの日々でしたが、あれから2年。

すっかり新しい働き方が定着してきたのではないでしょうか。

NEWSポストセブン「転職研究室」が今年3月に行った「テレワークへの意識」についてのアンケート結果によると、「現在の職場でテレワークを取り入れている人」の割合は33%(551人中184人)。

テレワークをすでに行っている184人のうち、「今後もテレワークを継続したい」との回答は実に8割(146人)を超えており、場所を選ばない働き方が一気に拡大しています。

一方で課題も顕在化しており、三菱地所が昨年6月に行った調査でも、働く人の約4割が同僚などとのコミュニケーションの低下を指摘。

会社への帰属意識事業推進力低下を危惧する声も目立っています。

〈産経新聞 / 2022年4月16日〉

ということで、本日は「働く場所」の現在地についてお話ししたいと思います。

職場は「交流」「創造」「集中」がキーワードに

上述のように、リモートワークのインフラや制度がこの2年で発達し、職種によってはオフィスは必要としなくなりましたが、一方でコミュニケーション不足や帰属意識の低下などの課題を抱える企業も増えています。

オフィスの存在意義を高めるために、最近では「交流」「創造」「集中」というキーワードで機能を見直す傾向が見られます。

例えば、文具大手コクヨの東京品川オフィスでは、広い机や個室を用意した「はかどる」をテーマにしたフロアなど、フロアごとにテーマを変えており、社員は目的気分に合わせて、働く場所が選べるようになっているそうです。

米大手IT企業ではオフィスに自然環境を再現

視界の10~15%が入り込むようにオフィスに植物を配置することで、集中力や発想力が向上する効果が期待できるそうで、居心地の良い空間に変える動きが高まっています。

また、IT企業のアステリアは昨年10月にオフィスを移転・縮小した際、バーカウンターを設置。

2人以上でAIカメラの前に立つと、社長の〝おごり〟でワインが飲める仕掛けを導入しており、担当者は「オフィスでしかできない対面での会話を生み出す工夫で、新ビジネスの創出や、社員の交流に繋がれば」と話しています。

リモートワークの向上を目指して

オフィスに行く意味を強化していくという事例もあれば、よりリモートワークしやすい環境づくりを行う事例もあります。

例えば昨年、転勤や単身赴任の段階的な廃止を発表をし、世間に衝撃を与えたNTTグループでは、誰もがリモートワークで仕事ができるようIT環境を整備し、23年度中に「Work From Anywhere(場所に縛られない働き方)」を完成させようとしています。

自宅で作業が困難な社員向けに全国でサテライトオフィスの整備を進め、21年9月では約60拠点でしたが、今年度は4倍強の260拠点に増やすそうです。

ヤフーでも、2013年から実施している制限付きのテレワーク制度「どこでもオフィス」を拡充。

〈ITmedia NEWS / 2022年4月15日〉

居住地制限の撤廃フレックスタイム制のコアタイム廃止に踏み切りました。

コロナ禍以前からテレワークに注力していたKDDIウェブコミュニケーションズでも、場所に縛られない利点を生かして地方採用を積極的に行い、人材確保に成功。社員の1割以上が地方に住んでいるそうです。

「在宅ワーク」へのサポート施策

また、在宅ワークに対してのサポート事例も多く見られています。

例えば、家事子育てを支援するサービスや健康を維持するフィットネスサービスを導入したり。

他にも通勤手当をテレワーク手当に変えたり、リフレッシュ休暇を設けるなど、さまざまな取り組みが見られます。

特にコロナ禍で健康意識が高まったので、定期的な体調チェックストレス分析を行うサービスも数多登場しています。

また、それを実現する上で、さまざまなITソリューションを導入する企業も見られます。

健康意識という観点で言えば、NTTドコモが提供する「dヘルスケア for Biz」です。

これはゲーム健康管理を掛け合わせたサービスで、専用のスマホアプリを通して「高血圧改善」「メタボ改善」「健康維持」に繋がる健康増進ミッションを配信。ミッションの達成でdポイントが貯まる仕組みとなっています。

また、個人的に注目しているのがMicrosoft「Microsoft Viva」です。

これは「Microsoft 365」をベースにしたサービスで、従業員の繋がり学習ウェルビーイング知識発見のためのツールを提供し、従業員の成長を支援するプラットフォーム。

このようなITソリューションを取り入れながら従業員満足の高めていこうとする企業の動きが見られています。

働く場所の「サードプレイス」を促進

サテライトオフィスまでつくれなくても、家で集中して業務ができない人のために、「社員一人につきいくらまで」といったサードプレイスへの利用サポートを検討することも社員としては助かるでしょう。

最近では、テレワーク個室ボックスなども充実してきています。

〈FNNプライムオンライン / 2022年4月22日〉

さらに、テレワーク個室ボックスを通した新たなオンライン相談サービスへの試みが見られます。

ショッピングモールや駅に展開しているテレワーク個室ボックス「CocoDesk」を運営する富士フイルムビジネスイノベーションでは、スタートアップ企業と協業して、今月22日から実証実験を開始。

このオンライン相談サービスでは不動産法律保険の相談に加え、占いもできるそうです。

今まで、結婚保険住まいなど、会社の先輩に相談していたプライベートな問題などを、こうしたサービスを社員に利用してもらうことで補うという新しい形が増えていくでしょう。

一方でオフィス勤務で昭和スタイルを維持する企業もあるでしょうし、ワーキングスタイルはますます多様化していくことが予想されます。

当社はマーケティング・コンサルティング会社ですので、さまざまな企業とお付き合いしています。

どの企業のスタイルとも柔軟に合わせていきながら、そこで得たマネジメントについての知見を自社にも活かしていきたいと思います。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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