「メンタルヘルス」の最前線
column vol.613
新年度初の休日。
今日は散歩がてら、満開の桜を楽しみました。
心休まるひと時。
しかし、それは休日だけではなく、仕事の中でもつくることが企業の務めとなる時代です。
今や「メンタルヘルス」は各社にとって喫緊の課題。
その最前線を追いたいと思います。
「心理的安全性」重視が加速
まずは最近の最重要キーワードの一つとなっている「心理的安全性」の話題から。
日本最大級の人事ポータルサイト「HRpro」が、2月に転職者を対象に実施した「転職における心理的安全性」の調査結果を先日発表しました。
〈HRpro / 2022年3月31日〉
調査結果によると、転職者の4割は前職の職場で「オープンに話す雰囲気がなかった」と回答。
また、6割近くの人が、前職では上司と部下の間で、「込み入った話ができていなかった」と実感しているそうです。
総論として、7割近くの人が「前職において心理的安全性が高ければ転職しなかった」と感じているのです。
とは言え…、リモートシフトやハラスメント対策で、マネジメント職の気持ちとしては「そんなに踏み込めないよ…」というのが本音なのではないでしょうか?
踏み込んだら、ぶつかるし、ぶつかったら何らかのハラスメント認定をされてしまう可能性がある。
その解決となる一つが「質問力」でしょう。
技術的には「コーチング」。問いかけによって導いていく。
あと、組織的な点で言えば「ティール組織」を実現できることが理想だと感じています。
ティール組織とは、個々の社員に意思決定権があり、社員の意思によって目的の実現を図ることができる組織形態です。
つまり、組織の中でヒエラルキーをつくらず、リーダーは流動的に役割として担っていく。
これからの時代、いろいろな意味で「職位=権威」という方程式は成り立たなくなってくると感じています。
つまり、序列をつくらない組織構造が未来型となっていくでしょう。
「でも、組織をフラット化して、どうやって評価しているの??」と思う型は、一例としてコチラをご覧くださいませ。
〈マネジメントクラブ/ 2019年4月10日〉
いずれにせよ、5割以上の人が前職では「心理的安全性を上げる取り組みを行っていなかった」と回答しています。
まだまだ途上なだけに、心理的安全性に取り組む企業は、転職者に対する大きな求心力を持つことは間違いないでしょう。
御社に「サウナ部」はありますか?
最近、ビジネスパーソンの間で心整えると言えば「サウナ」ではないでしょうか?
昨年の新語・流行語大賞にサウナ用語の「ととのう」がノミネートされたことは記憶に新しいところです。
そんな中、3月20日の日経新聞の記事【御社は「サウナ部」ありますか? 企業連合、3年で100社】を読んで、多くの企業がサウナを使ってヘルスケアやイノベーションを図ろうとしているのが見てとれます。
今、サウナ部をつくる企業が増えていますが、一社の取り組みに留まらなくなっているのです。
そして、今では「JAPAN SAUNA-BU ALLIANCE(サウナ部アライアンス)」という企業連合があるそうです。
文具大手コクヨのサウナ部・部長の川田直樹さんと、日本航空(JAL)のサウナ部・幹事長の岡本昂之さんが共同代表を務め、発足から3年で約100社が集まっています。
ちなみに参加企業はヤマハ発動機、EY Japan(監査法人グループ)、ビズリーチ、ADK(広告代理店)、ドワンゴ、TBS、JTB、ローソン、三越伊勢丹、東急など、幅広い業種の企業が名を連ねているのです。
各会員の社員が交流したり、一緒にイベントを企画したり、会社の組織運営や、商品開発のアイデアなどを交換し合う場となっています。
企業が連盟に加わることについて川田さんは
「組織を活気づけたり健康を促進したりと、会社にメリットをもたらせる」
と語っております。
企業コラボの一例としては、ニュー・オータニと映像制作のネイキッドは21年9~10月、ホテルニューオータニのプールにテント型サウナを置くイベントを実施。
ネイキッドが監修したプロジェクションマッピングで、プールを「アートな水風呂」に見立てる演出をしています。
最近では、コワーキングサウナも増えてきていることから、今後はサウナを通した異業種交流はますます増えていくのではないでしょうか?
異業種交流によって企業一社の閉塞感からも解放され、仕事に一層の充実が生まれる。
それも一つのメンタルヘルスに繋がりますね。
福利厚生に「瞑想」がある時代
それから、サウナよりも前からビジネスパーソンのメンタルヘルスで注目されていたのが「マインドフルネス(瞑想)」ではないでしょうか?
三菱地所が生み出した没入体験型メディテーションスタジオ「Medicha(メディーチャ)」がコロナ禍で活況のようです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2022年3月27日〉
Medichaはメディテーション(瞑想)にアートと煎茶文化を融合した80分のプログラム。
2019年6月にオープンして客足を伸ばしましたが、コロナ禍の緊急事態宣言により20年4月から約2ヵ月は休館に。
同年6月に営業を再開すると、利用者は昨対比で2倍以上増える月が続いているそうです。
面白いのが個人だけではなく法人利用が急激に増加していること。
企業研修や経営合宿の他、チームビルディングなど多種多様に活用されているそうです。
Medicha共同代表の長嶋彩加さんは
「スタジオをオープンすると経営者やクリエイティブ職の方から『頭の中が整理された』『アイデアが思いついた』といった反響やSNSの投稿が多くあり、それがチームや団体利用に繋がっていきました」
と人気の理由を話します。
実際、欧米ではグーグルやインテル、ナイキを始めメディテーションを企業研修に取り入れる企業が多いことから、専用スタジオも増えているとのこと。
ちなみに、前向きな気分に整える「MY CORE(マイコア)」と体も心も脱力する「Feel the Sound(フィールザサウンド)」など、なりたい心に導く6種類のガイダンスがあるのですが、その中の1つ「VISUALISE(ビジュアライズ)」の利用が圧倒的に多いそうです。
VISUALISEでは、「過去の成功体験を思い返す」「次のプロジェクトにどう取り組むか」など、プロセスに目を向けるプログラム。
人間は他人から言われると反発してしまう傾向にあるので、やはり、内発動機で自発的に解決したいところ。
いかに自分のマインドを整理し、自己内対話で改善・解決に繋げていけるかがポイントですね。
自分を知ることで心を整えていく。とても大切なことです。
というように、各社、さまざまなメンタルヘルスに関する取り組みを見せてくれていますね。
こういった事例は会社経営において、非常に勉強になります。
明日はクライアント企業(商業施設)でトークショーの運営があります。
今期初の休日出勤となりますが、楽しんでいきたいと思います。
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