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哲学のかけら

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哲学も少しはかじっています。なにもそんなこと考えなくてもいいんじゃない、と言われるところも、でもさ、と考えてみる、それが哲学。独断と懐疑に終わらずに常に自分の至らなさを認めるあた…
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#多様性

完全さについての序論

完全さについての序論

この世界に、完全なものを想定するかどうか、人の思い描く世界観は、その問いに対する答えにより、大きく変わってきたように思う。
 
完全なもの、それは神であると言ってもよいだろう。だが、「完全なものは存在するはず。神は完全なものである。従って神は存在する」という素朴な三段論法は、カントが徹底的に叩いているし、他の哲学者もこぞってその路線で論を固めている。確かにその通りであろう。
 
キリスト教は、完全

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データの危険性

データの危険性

ネットでいろいろ調べていると、不思議な見出しによく出会う。次のようなものはぎょっとする。「日本人の三人に一人は離婚している」
 
そんなはずがない。ほかのを見ると、「日本人の離婚率は30%」あるいは「○○県の離婚率は45%」などとなる。
 
離婚率。なんだそれは。
 
開いてみると、どうやらそれは、その年の「離婚した人」÷「結婚した人」であるらしい。たとえば離婚件数が20万組で、結婚件数が50万組

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本当にそれでいいのか

本当にそれでいいのか

「民主主義」は絶対的な善である。
「分断」は悪である。
 
本当にそれがすべてなのか。そこから何か間違った道に水が流れていくようなことにはならないか。こうした眼差しで、世を見張ることにも、キリスト者は神から期待されているものだと考えている。
 
たとえば「民主主義」は、古代ギリシアのプラトンからみれば、衆愚政治であり、人間社会を滅ぼすものと見られていた。もちろん時代背景や政治状況がいまとは異なる。

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