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「光る君へ」のための平安準備情報㉑

光る君へ、おもしろいです! 「光る君へ」ここまで非常におもしろく見ております。 もちろんドラマですからフィクションも織り込まれ、それこそがおもしろいのですが、『源氏物語』ほどの作品が生まれるには、確かにこのくらいの苦悩や悲しみを経ているのかもしれない、と思わせる説得力があるように思います。 病や出産と祈禱、憑坐(よりまし)、物の怪 平安時代、もちろん薬湯などはありましたが、現代の医学を考えれば比べものにならない状態であったことは間違いありません。 そうなると出番は僧によ

    • 「光る君へ」のための平安準備情報 最終号?

      ずっと先にはじまる「光る君へ」のために、個人的なたぎりを書き散らしてきたこのブログ… 気づけばもうあと1週間で本編を見られるようになりました。 楽しみすぎる!! 楽しみなこと① 神々の学識が提供される まず、関連情報(書籍、インターネット、監修等)に平安クラスタからすれば神レベルの方々が降臨し、その学識がふんだんに提供されています。 このレベルの情報提供がなされるのは空前絶後のことと思われます。 誇張なく、平安時代の知識の総レベルアップ状態です。 楽しみなこと② 平安

      • 「光る君へ」のための平安準備情報⑳

        いよいよ放映まで1ヶ月半。 前回も書いたように、道長以外の人はみんな道長を恨んでる、以上!で 前情報は十分だと思っているのですが、それでもせっかくだからこの機会に 詳しくなりたいなぁ、という方のために、オススメ図書を書いてみようと思います。 今、平安関連の新書が爆発的に出ていて、いいものがたくさんあるのですが、でもまずは小説から世界観を一気に理解するっていいよね、と思い、小説からです。 オススメ1 『むかし・あけぼの』(田辺聖子) 一番のオススメです!主人公は清少納言。

        • 「光る君へ」のための平安準備情報⑲

          キャスト出そろう? 本日の発表をもっておおよそキャストはひとまず出そろったかんじでしょうか。系図もびっしりうまっていますね。 何が何やら…となるのが普通ですので、ものすごくざっくりしたくくりを以下記したいと思います。 原則的に帝はみんな藤原道長とその一族に恨みを抱えている まずくくり①です。 そもそも帝たちにとって、その親政をさまたげる藤原氏はおもしろからぬ人たちでした。しかも当時の政治は婚姻とこどもの誕生に主軸があるので、帝には「愛する人」と「愛さなければならない人」

        「光る君へ」のための平安準備情報㉑

          「光る君へ」のための平安準備情報⑱

          いよいよあと開始まで2ヶ月…思えば一番大切なことを書いてなかった気がします。それは。 未来人がタイムリープしたと言われたら納得できる なんのこと? 紫式部のことです。 『源氏物語』の作者として知られる紫式部ですが、 いろいろすごすぎて、未来人がタイムリープしたと言われない限り 信じられない、、みたいなところがあります。 登場人物はどうやって動かしていたの? 『源氏物語』の登場人物は数え方にもよるのですが、名前や台詞があるような人物だけでも3桁を越えると言われます。 3

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          「光る君へ」のための平安準備情報⑰

          …としつつ、今日は光る君へにダイレクトに関わるわけでもない笑、『竹取物語』について少し書きたいと思います。 『竹取物語』=かぐや姫という形でなじみ深い古典のひとつです。 「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」からはじまる一節を暗唱させられたなぁ、という方も多いのではないでしょうか。 あとはauのCMのかぐちゃん。 高畑勲監督の『竹取物語』。 市川崑監督の『竹取物語』。 かぐや姫がUFOに乗って月に帰るというぶっとんだ設定ながら、 雰囲気があって私は好きです。 貴公子の話は

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          「光る君へ」のための平安準備情報⑯

          https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=39879 「光る君へ」で打毬の収録を行ったということが記事なりました。 打毬ってなに? 打毬とは、『日本国語大辞典』(小学館)によると、以下のようなもののようです。 大陸伝来の、集団で毬(まり)を打つ競技。騎馬打毬と徒歩打毬がある。騎馬は二組に分かれて紅白の毬を打毬杖ですくい取り、自分の組の毬門に早く投げ入れた方を勝ちとするもの。平安末期には中絶し、江戸時代に復活した

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          「光る君へ」のための平安準備情報⑮

          暑い、暑いですね…暑い。それしか言えない日々なので、 いっそ平安時代の夏の生活について少しだけ。 有名な夏の描写は、『枕草子』の以下の場面でしょうか。   夏は夜。月のころはさらなり。闇もなほ、螢のおほく飛びちがひたる。     また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降     るもをかし。(新編日本古典文学全集『枕草子』P25) 春はあけぼの=日の出直前のとき。 秋は夕暮れ=そのものずばり夕暮れ。 冬はつとめて=日の出すぐあたりの早朝。 その

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          「光る君へ」のための平安準備情報⑭

          これはもう間違いのない、ということ 「光る君へ」の時代考証が発表になりました! きましたーーー、きーまーしーたーーーー!という人選、倉本一宏先生です。 倉本先生…。寝ないの?先生の1日は30時間なの?という量の主に平安時代に関わる歴史の書籍を本当に多く出されています。 しかも、それらすべてが前人未踏、これがあることでどれほど助かる人がいるか…というものばかりです。 たとえば、藤原実資(ロバート秋山さんの演じる役です)が残した長大な記録である『小右記』の現代語訳!神ーー、神の

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          「光る君へ」のための平安準備情報⑬

          七夕は秋 今日は七夕ですね…。 平安時代に既に七夕は親しまれていました。 万葉集にも七夕の歌はたくさんあるので、もっと言うと奈良時代に既に親しまれていたということになります。 古典の世界は季節区分がはっきりしており、 1~3月は春、4~6月は夏、7~9月は秋、10~12月は冬と暦によって 季節が決まっていました。 したがって七夕は秋の行事、景物になります。 月の運行で暦が決まる太陰暦なので、現在より1ヶ月くらいあとにはなるものの、現在なら8月初旬。昨今の猛暑ではとても秋とは

          「光る君へ」のための平安準備情報⑬

          「光る君へ」のための平安準備情報⑫

          気づけばほかのことばかり書いていて、平安準備情報は1ヶ月以上あいていました。 今日は「お誕生日」をテーマに少しだけ書いてみようと思います。 0歳はない まず、平安時代、というか、近代にいたるまでの誕生日の考え方の前提として、「0歳はない」ということがあげられます。 生まれた瞬間から1歳がはじまります。 ですから、昔の人の年齢表記はマイナス1歳、場合によってはマイナス2歳して考える必要があります。マイナス2歳とは…? お正月に一斉に年を取る 近代あたりまでの年の取り方は

          「光る君へ」のための平安準備情報⑫

          『ミライの源氏物語』を読んで

          山崎ナオコーラさんの『ミライの源氏物語』を読みました。 「現代を生きる私は、平安時代の読者に近づく努力をするよりも、現代人としての読書の楽しい方を極める方向にシフトした方がいいんじゃないか」 「平安時代に近づく、という行為ではなく、今だからこそできる、という行為をやってみよう」(P16) というコンセプトの元書かれたものです。 私も現在、古典を読むことには、現代とかわらない部分、差異などの、現代との距離感のなかで読むことには大賛成、かつ、そこにおもしろさがある、と思って

          『ミライの源氏物語』を読んで

          『トビウオが飛ぶとき 「舞いあがれ!」アンソロジー』がすごすぎました

          『舞いあがれ!』の中で歌を詠んでいた人、 たかしくん、秋月さん、こどもたち、八木のおっちゃん(詩を含む)、そして、ドラマの中では歌は詠んではいなかったものの、リュー北條(北條龍之介)は歌人であったのだ、という前提の元、そのリュー北條が詠んだ歌ということに仮託して、桑原亮子先生が詠まれた歌を掲載したものとなります。 まず…。 まさか作品終了後2ヶ月たってから、まさか「短歌」という媒体によって、登場人物の解像度が爆上がりする、なんてことがあることに、シンプルに驚きました。 桑

          『トビウオが飛ぶとき 「舞いあがれ!」アンソロジー』がすごすぎました

          氷室冴子先生の「藤花忌」に参加させていただいたこと

          主にコバルト文庫で活躍されていた氷室冴子先生をご存知の方もいらっしゃるでしょうか。 私は、小学生のときから熱烈な、まず、「コバルト文庫」のファンでした。 コバルト文庫… 今でも手放せずに手元にある作品がいくつもあります。 その中でも私の人生を変えた出会い、それが、氷室冴子先生の 『なんて素敵にジャパネスク』と『銀の海金の大地』です。 https://cobalt.shueisha.co.jp/contents/japanesque/ なんて素敵に…は平安時代を舞台に、銀の

          氷室冴子先生の「藤花忌」に参加させていただいたこと

          「光る君へ」のための平安準備情報⑪

          新たなTwitterが開設され、少しずつ期待が高まって参りました! 明日、新たなキャストが発表されるようです。 明日のキャスト、「定子、彰子」は「光る君へ」のなかでも核となる物語を織りなす人物だと思われるので、大変楽しみです。 そして、てっきり一条天皇も発表になるのだと思い込んでいたら、 明日は一条天皇の発表はないのですね…。 満を持して、ということなのでしょうか。楽しみです。 そのようなキャスト発表のなかで、ドラマの雰囲気を予測できるのでは?という人物がいるので、そのことに

          「光る君へ」のための平安準備情報⑪

          「光る君へ」のための平安準備情報⑩

          前回が大変暑苦しかったので、 今回はライトに。 平安時代の女性のたしなみ(?)など書いてみたいと思います。 楽器は弾けるといい! まず女性のたしなみは楽器です。 楽器とは具体的に「琴」「琵琶」などの「絃」を使った楽器です。 吹く楽器は扱いません。 (ちなみに雅楽で使う「笙」を始めた方から、ものすごい腹筋、肺活量が必要で、始めてから体重は5キロ近く減り、お腹は割れた、平安時代の女性にはとてもムリ。と教えてもらいました。説得力!) 「琴」といっても、「琴(きん)の琴(こと)

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