「光る君へ」のための平安準備情報⑯
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=39879
「光る君へ」で打毬の収録を行ったということが記事なりました。
打毬ってなに?
打毬とは、『日本国語大辞典』(小学館)によると、以下のようなもののようです。
大陸伝来の、集団で毬(まり)を打つ競技。騎馬打毬と徒歩打毬がある。騎馬は二組に分かれて紅白の毬を打毬杖ですくい取り、自分の組の毬門に早く投げ入れた方を勝ちとするもの。平安末期には中絶し、江戸時代に復活した。徒歩は簡易のために庶民にも広く行なわれ、年初の行事とされた。まりうち。
正直に言うと、「打毬…ってなんだっけ……」という気分でした。
それもそのはず。
たとえば平安時代の主要な文学作品をおさめている小学館新編日本古典文学全集で検索すると、「打毬」のヒット数は『万葉集』に1例、『源氏物語』に「打毬楽」(打毬の際に行われる唐楽)1例しか見られません。
『万葉集』の例は、春日野(現在の奈良公園です)あたりで皇族や臣下の人々が集まって打毬を行ったというものです。
歴史は古いのですね…
では歴史資料ではどうかと見ると、かなり長大な貴族日記である『小右記』(ロバート秋山さんですね、公任のいとこです)にも1例みられるのみ。
しかも目録にあるだけです。
道長のおじいさん、九条流の始祖とされる藤原師輔の残した日記である『九暦』のなかに1例、源高明の残した記録である『西宮記』の中には、帝が打毬を見物なさったという記述があります。
(ちなみに歴史資料については、
東京大学史料編纂所 https://www.hi.u-tokyo.ac.jp/
のデータベースで調べることができます)
結論から言うと…
打毬…されてはいただろうけれど、すごくされていたかというとクエスチョンがつくものだった、といえそうです。
(あと、さくっと調べただけなので、本当はもっと資料があるのかもしれません)
もちろん私は、だから打毬をやった設定にするなんてけしからん、と言いたいのではありません。
むしろ、、
めっちゃ楽しい!
と思いました。
記録にきちんとあるものを、ふくらませていく…
楽しい。
貴族達が馬に載って打毬をする映像…
楽しい。見たいに決まってる。
それを主人公が見る…
楽しい。好きになったりするの?物語が広がりそう…
「光る君へ」
きちんと史料をおさえつつ、エンターテインメントとしても楽しめそうですし、へー、平安時代にはこんなことをしていたんだ、とシンプルに平安時代への知識が広がりそうです。
楽しみーーー!