「光る君へ」のための平安準備情報⑭

これはもう間違いのない、ということ

「光る君へ」の時代考証が発表になりました!
きましたーーー、きーまーしーたーーーー!という人選、倉本一宏先生です。
倉本先生…。寝ないの?先生の1日は30時間なの?という量の主に平安時代に関わる歴史の書籍を本当に多く出されています。
しかも、それらすべてが前人未踏、これがあることでどれほど助かる人がいるか…というものばかりです。
たとえば、藤原実資(ロバート秋山さんの演じる役です)が残した長大な記録である『小右記』の現代語訳!神ーー、神の所業ーーー!!
藤原道長(柄本佑さん)が残した記録『御堂関白記』の現代語訳!神ーー、神の所業ーーー!!
…というもののオンパレードです。
間違いなく、世界中で一番平安時代の歴史資料に精通されている方です。

たとえば今の「どうする家康」だったら、なんとなく、家康は人質で、桶狭間があって、三方原で負けて、本能寺があって、秀吉に仕えたあと、江戸幕府、、みたいな大きな流れを知っている人が多いと思います。
さらにそれぞれについてちょっとしたエピソードもなんとなく知っている、テレビなどで見たことがある…ということも多いと思います。
たとえば桶狭間なら多勢に無勢で、天気が崩れて…とか。
本能寺だったら「是非に及ばず」と信長が言った…とか。
一家言ある人の率も多いと思います。

でも、平安時代ってそういうの全然ないという人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
全然ないor平安クラスタ、中間はいない、みたいなかんじではないかと…。
ですから、変な言い方ですが、今の大河はよくも悪くもやいのやいの言う人も多いと思いますが、平安時代でやいのやいの言う人はクラスタだけ、みたいな感じになると思うのです。
しかし。
倉本先生がGOを出したら、もうそれについて誰も何も言えない、受け止めざるを得ない、みたいな人、という気がします。
その意味で、倉本先生がかかわっているなら「考えるな、感じろ」の体制が整っている、ということで、安心して大船にのってフィクションの世界に身をゆだねたいと思います!

鮮明になった「歴史ドラマ」としての在り方

そして、倉本先生が時代考証ということでいよいよ、あぁ、「大河ドラマ」としての「光る君へ」なのだな、ということが改めて明確になったなと思います。紫式部が主人公で、タイトルが「光る君へ」ということで、文学に寄せていくのかな?というように見せて、全然違うよ、という宣言といえそうです。
『紫式部日記』関連の文学の先生を時代考証にするのかな、とも予測していたのですが、そうではない、ないどころか、倉本先生ということで、ゴリゴリの歴史ドラマにするのだな、という方向性が明らかになりました。
間違いなく空前絶後のドラマになりそうです。
楽しみがすぎる!!

注目の一条天皇

そして今回のキャスト発表の大きなところはやはり一条天皇でしょう。
オーディション!まずこれにとってもびっくり!
このドラマの一条天皇に対する期待値と、キーマンぶりが伝わります。

美。
美で殴ってくる系帝ですね。
一条天皇は6歳で即位しています。
記憶にあるかぎりずっと帝だった、というかんじだったでしょう。
そして。
31歳で亡くなります。在位期間は25年。
基本的にはとっても病弱だったみたいです(これも倉本先生の『一条天皇』に詳しく書かれています)。
数えで11歳のとき、3歳年上の定子(高畑充希さん)と結婚し、非常に定子を愛していたらしいことは、『枕草子』などを見ても明らかです。
しかし、定子の家の没落に伴い、定子が手ずから出家するという事態が出来。出家者と男女の仲を持つのは相当な仏教的な罪として、現代人には計り知れない恐れがあったと思いますが、それでも定子を愛し続けた、まさに仏罰をも恐れぬ、命を懸けた恋をした人です。

一方で政治的には道長の娘の彰子とも結婚し大事にしています。(ほかにも奥さんはいます)
塩野さんのコメントを見ると「定子への想いや彰子との関係性」と明確に言い分けていることから、愛する定子、立場から大事にする彰子、という形で描き分けていくのかもしれません。
(個人的には彰子が気の毒なので、定子亡きあと、ある意味でバディとして政治的な課題に取り組んでいくうちに、彰子も愛していた、という落としどころになるといいな、という願望はあります)

紫式部は、彰子の教育係のような立場だったのですが、彰子は漢文を紫式部から習っていたことが『紫式部日記』に描かれています。漢文は男のもの、しかも硬派な漢文を習っていたようなので、一条天皇との心の回路を求めたものだ、という読み方もできてなかなか切ないです。
女のものである物語(『源氏物語』)を読んできちんと評価してくれる帝でもありました。

病弱で、美しく、命を懸けた恋をする若く賢い帝、笛の名手……

楽しみは尽きません。

なお、帝の結婚については以下もよろしければご参照ください。




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