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ブランショほど精密な作家が、死の影を追いかけるにあたって焼尽する(=自己供儀に奔る)エリクチュールを用いらざるを得なかったとするなら、『謎の男トマ』ほど興味深いテクストはありえまい。
『謎の男トマ』は死への漸近を反復するエリクチュールであり、そして死の不可能性に達することで至高性を得る(=聖変化する)エリクチュールの体験である。トマが「不在の不在の不在……」と呟く時、そこにはエリクチュールの極北が口を開けているのだ。
市川沙央『ハンチバック』
この本に対して「よう分からんかったわ」と言った友人がいた。
彼の気持ちは分からないわけではない。
この物語では、主人公が欲するところの中絶が行われるわけではない。
この物語では、主人公の「障碍」ゆえに衝突が発生するわけではない。
この物語では、主人公が現世から脱して涅槃へと達するわけではない。
この物語は「摩擦」を回避する。「障碍者と健常者とが衝突し、やがては互いを認め合うと、和解
色んな事について書いてみる
クリストファー・ノーラン曰く、「映画は映画館で観るものだ」 今ハリウッドでは、映画のストリーミング・サーヴィスによる報酬の減少やAIによる俳優の肖像権保護の問題を巡って、大規模なストライキが起こっている。
当然、両者の間で話し合いの場は幾度となく持たれはしたのだが、労働組合は「希望を十分に満たしていない」として、労働争議は目下継続中である。
その煽りを受けて日本でも、名立たる映画スターたちが来
生き残ったのは俺たちだけだ
Conversation with noises おまえはノイズまみれの電話に耳を澄ませながら、「生き残ったのは俺たちだけだ」と言う。周りの奴らは全員死んだ。俺たちだけが生き残った。俺たちは最後の生き残りだ。
電話先の男はそれを聞いている。手には美味くもないタバコの紫煙が立ち上っている。かれは静かに吟味するなり、じゃあこれからどうすればいい、と、呟くように言った。
ノイズから応答を受け取ったお
死の恐怖は主を弑せよと私に命じた
「死の恐怖を取り戻せ」という記述を見た時に感じたどうしようもない失望は仕舞っておこう。あまりの怒りにスマホを公園の噴水に投げ込みそうになった。その時私は、喪服を着ていたかもしれないし、着ていなかったかもしれない。どっちだっていいだろう?
さて、noteに戻ってきた。だがあんたらのためではない。ここにいない友人のためだ。非難なら好きなだけすればいい。
以上、業務連絡おわり。