自省
いつも痛みだった。始まりはいつも痛みだった。そして終わりは始まりの再現で、それゆえ痛みは、終始俺とともにあるのだった。
無くしたものの痛みだった。いつも、無くしたものばかり痛んでいた。どんな傷口も、取り戻すには遅すぎた。
自壊すればするほど至高のために震えた。病んだ身体が拍動するごとに血を吐いた。重々しい喀血が、軽々とした身体のために、冴え渡った。
より低くおのれを恃むのは、ただ深い光に、心惹かれたためだ。
この四汁にまみれた口内が、対話のために語彙を吐く。痛みだけは正直だった。痛みでなければ、この言葉はすべて無意味でしかありえない。
感傷ではなく深い痛みが夜を慎ましくする。
だが一体誰が助けて欲しいと願わずに文を編むのだろうか。いや、俺は切実に助けて欲しいと願っている。しかし、今回も手遅れだろう。
痛みを覚えている。それが皮膚に凹凸を作り、俺の人格にひびを入れた。
痛みのなかで、より深い痛みを求めること。陰惨だが、その悲惨さは見飽きた悲惨さでもある。
「深きところより主よ、俺は阿呆だ」。ランボーの痛みが四肢をうがつ。「俺なんてくそ食らえ」。「救いはない、ただ己を鍛えろ」…………讃美歌はない。
痛みが俺を世界に産み落とした……
誰もこの痛みから逃れることは出来ないだろう。