たららんど

なにかしら細々と活動してます。小説を投稿します。犬を触ったあと手を洗うことが得意。猫も…

たららんど

なにかしら細々と活動してます。小説を投稿します。犬を触ったあと手を洗うことが得意。猫もそうでした。

マガジン

  • 99日目の魚

    板前と魚と彼女の話

  • ショートショート

    動かない風車と砂の町の心象スケッチ

  • 変なことを言って変な空気を楽しむ会

    変なことを言って変な空気を楽しむ会です

  • ハルニ

    ハルニ

  • もうまいっちゃうシリーズ

    もうまいっちゃうやつをまとめるシリーズ

最近の記事

  • 固定された記事

ママになりたい

 仙台駅の西側二階、ステンドグラス前は綺麗に飾り付けられていた。北陸物産展と称したイベントが開催されており、のどぐろラーメン、ほたるイカのいしり干し等が作業台に陳列されていた。  軽くお酒でも飲んで帰ろうかと考えていたが、並べられている物珍しい珍味を目で追っていると、わざわざ安くない金を払い、慣れ親しんだ海産物や、質の悪く汚れた油で揚げられた唐揚げなどで胃を痛めつける結末を迎えようとしていた自分が、途端に馬鹿馬鹿しく思えてくる。  今夜は久しぶりに真っ直ぐアパートに帰ろうと早

有料
100
    • 能登半島地震のことを書いてるんですけど、でも結局書き上げてもなに一つ伝わらないんじゃないかなって気がするんですよね

      • 九十九日めの魚

         魚は恐怖を感じるんかな。痛覚はどうなんやろ。たぶんやけどないんやろうな、あったら都合が悪いし、それにあったとしてもぼくが思うのとはきっと違うんやろう。  分厚いガラスの水槽のなか、泳ぐというよりこれは浮遊。ただただエネルギーを消費しないように懸命に務めている気がする。そんな一匹の鯛がこちらを見ている。 あ、いま目があった。かと思えばその焦点はぼくを捉えないまま、おそらく目線の先はぼくを通り過ぎて、そうして特異点もなにもない銀色の冷蔵庫に着地した。  奇しくも三枚に降ろされ

        • 夏の写真を撮る人がいて-1

           副鼻腔炎を患っている彼女の鼻を啜る音が好きなんだよね。  水滴に滲んだ塗り絵の味の缶ビールを傾けながら僕が言うと、スピーカーの向こうの友人たちは笑ったり相槌を打ったり、増幅した咀嚼音に似た筆音を対象に殴り付け、思い想いの作業の途中、息継ぎを数えるかのように句読点を打ち続ける。   「確かにそう」「まったくもってその通り」「お弁当作ってて偉いよなぁ」「そそそそ」「あ、なんだ今食べる分か」「そそそそ」「言ってもハイボールよりウイスキーソーダって言い方の方が良くない?」「わかる

        • 固定された記事

        ママになりたい

        マガジン

        • 99日目の魚
          1本
        • ショートショート
          10本
        • 変なことを言って変な空気を楽しむ会
          5本
        • ハルニ
          8本
        • もうまいっちゃうシリーズ
          1本
        • 短編小説「わびらしーとひねくらしー」
          0本

        記事

          「東京にいってきました(カラカラorベトベト)」-エッセイ

           レイザーと聞くとラモンではなく14人の悪魔が浮かぶことが癖になってんだ音殺して歩くの。でお馴染みのターラ・ランドと申します。  ランドのラはラッシャー板前ではなく井出らっきょのラでドはドーナツのドです。タとンは牛タンですね。焼肉食べてビールとか温泉入ってビールとか最高に良くて、ついついウキウキでお尻振りがちなところがかわいいですよね。うんすごくいい。ちゃんとしてますね。すごくいいよ。うんうんいいよ。唆るぜこれは。いいからちょっとだけだから、いいからいいから。疲れたでしょ? 

          「東京にいってきました(カラカラorベトベト)」-エッセイ

          「大阪にいってきました」-エッセイ

           猛暑日が続いている日本列島からお送りいたします。  "夏らしいことなんにもしないまま、今年も秋に向かうってコト?!"でお馴染みの旬なゲストを紹介する。タ・ラ・ランド本家の人気風連載インタビューコーナー『モウ…一歩モ動ケナクッテェ』。  今回登場してくれたのは、チーム空洞電池のたららんどさん。  夏といえば海水浴、入道雲の下でアウトドア。花火大会で夜空を焦がす音を肴にビールと焼き鳥。蚊取り線香臭い縁側でスイカの志村食い等々、様々なイベントがありますが、たららんどさんは普段と

          「大阪にいってきました」-エッセイ

          シーグラス-3

           不意に手を引かれ、慌てて振り返ると藍くんが私を見上げていた。  母の姿はなく、ぽつんと取り残された藍くんが不安そうに私を見つめている。 「どうしたのー」と抱っこして、「よしよし甘えんぼさんかー?」と体を揺すると笑いながらジタバタと振り解こうと抵抗してくる。  しばらくして戻ってきた母は、「はい、線香と蝋燭。花はそこら中に咲いとるから綺麗なの選んで持っていきまっし」とビニールバックを手渡してくれる。 「それじゃ、まあ。行ってくる」私は藍くんに手招きをした。「海、行くよ」 「

          シーグラス-3

          シーグラス-2

             谷川照一様へ    ねぇ、お兄ちゃん。私はちょっと怒っているよ。ずいぶん冷たいんじゃない? この前、私が手紙で書いたじゃん。『バイト先の先輩に告白されて困ってるって』って。そりゃアレだよ。私も書きながらなんか、なんっかこう! ふわふわして浮かれて匂わせクソ女みたいかなーとは思ったよ?   でもアレはない。あの返事はない。完璧に、徹頭徹尾、みっちり、完膚なきまでに、無いんだよ! ちょっとは浸らせてくれてもいいじゃん。心配してくれてもいいじゃん。生まれて初めての告白されたん

          シーグラス-2

          シーグラス-1

          #創作大賞2023 #漫画原作部門  あらすじ  シングルマザーとして五歳の子供を持つ主人公、斎藤杏奈は十年ぶりに故郷に向かう。それは思い出を巡る旅であり、約束を守るための帰郷でもあった。自身が前を向くための儀式を置き去りにしたまま、成長できないまま大人になった杏奈には、かつて想いを寄せた人がいた。初恋とも呼べない歪な関係は、彼の妹に起因するものだった。    二十歳の髪を櫛で梳いた。  成人式当日のことだ。あの頃は何もかもが輝いていた、と十年前を振り返ってみてそう思う

          シーグラス-1

          「パチンコにいきました」-エッセイ

           先日、「なぜタラオだけ家族LINEに入らんのか」と、なんだかおかんむりらしい父と、常日頃から父の愚痴を浴び続けるうちにうっかり絶を修得してしまった母に諭され、不本意ながらしぶしぶグループLINEの承認ボタンをタップしたのですが、時折届く父からの満足げな自撮りや動画などにせっせと非表示操作を繰り返していたところ。 「…既…未…遅…! 何故…?! 既読無視…? 不具合……!? ……許……否……死……!」  "白の賢人"と化した父親から長文お叱りLINEを頂くはめになってしま

          「パチンコにいきました」-エッセイ

          さよーなら、ハルニ。

           首を下に向けるときにだけ、LINEが届く間にだけ、うまく呼吸ができていた気がする。潜水時間は返事がくるまでの間中。朝に簡素な連絡がきて、昼間にも何通か届く。寝起きのおはようがくるタイミングはバラバラで、出勤前の「いってくるね」に置き換えられる場合もある。昼休憩の一時間はずっと連絡を取り合うこともあれば、そうではないこともあった。 「休憩だよ」からしばらく間を置いた「午後もがんばる」  そうなるとやっぱり僕は息が苦しい。 「仕事終わり」からの「私なでなで待ち」 「今日はスンド

          さよーなら、ハルニ。

          なんにも書いてない日々です。 文字習慣付としてエッセイでも書こうかと思います。

          なんにも書いてない日々です。 文字習慣付としてエッセイでも書こうかと思います。

          消えないで消えないでって祈るけど、今日晴れてるし、飲むウーロン茶

           春の日に桜を見たからなんだと言うのか。  紫がかった細い雲が浮かび、茹でたオレンジ色の空に父を焼いた煙が溶けた日から数えて二ヶ月になる。 「孫を見るまでは死なん」などと、顔を合わせるたびにくだを巻いていたことを思い出す。一升瓶から直接グラスに注がれた冷酒を煽りながら、時折ふかしたタバコを根元まで吸っていた。結果的に孫の顔を見せることができ、小ぢんまりとはしていたものの、立派に葬式をあげることができたのだから親孝行も一区切りだろう。   「じーじのとこで遊びたい」   「じー

          消えないで消えないでって祈るけど、今日晴れてるし、飲むウーロン茶

          君の孤独が長いから-前編

           真冬の海の風のようなしゃがれた声でセンちゃんは「うまく生きれん」と涙を空気に含ませた。唇の跡を残したテカテカのグラスを手にしたまま「ぐうう」という不快な音を鼻奥から絞り出し、もう泡も残っていないビールの水面を揺らし続けている。油でギトギトの畳の上にあるペラペラのサブトンに胡座をかいて、何度拭いても油脂を薄く伸ばしただけのテーブルに空いている左手の肘を乗せたセンちゃんは、茶色く濁ったおしぼりの表面のように汚くて荒い呼吸を繰り返していた。 「うちはどうしてこうなんやろう」

          君の孤独が長いから-前編

          『敏感少女』

           竹川が大人になって、もしも僕に会いにきてくれたとしたらと仮定する。今の僕を見てどんな風に思うだろう。カッコよくなったと褒めてくれるかもしれないし、なんか落ち着きなくなったねとそんな風にガッカリすることもあるかもしれない。それはきっとシチュエーションに依存するものだろうとそう思う。  例えばこうだ。公園のベンチを独占するべくコンビニコーヒーカップを横に置いたまま文庫本を読んでいたとして、木漏れ日の下で話しかけられた僕は陽の光に飛ばされた目の下のクマを気にすることもなく笑顔を向

          『敏感少女』

          アカウント名の「たららんど」変えよっかなってなんかふと思いました。アカウント自体消しちまおうかナァ!!!とか最近ずっと考えてたんですけどね、変えますね。どんな名前にしようかな、なんかダサいやつ考えときます

          アカウント名の「たららんど」変えよっかなってなんかふと思いました。アカウント自体消しちまおうかナァ!!!とか最近ずっと考えてたんですけどね、変えますね。どんな名前にしようかな、なんかダサいやつ考えときます