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「大阪にいってきました」-エッセイ

 猛暑日が続いている日本列島からお送りいたします。
 "夏らしいことなんにもしないまま、今年も秋に向かうってコト?!"でお馴染みの旬なゲストを紹介する。タ・ラ・ランド本家の人気風連載インタビューコーナー『モウ…一歩モ動ケナクッテェ』。
 今回登場してくれたのは、チーム空洞電池のたららんどさん。


 夏といえば海水浴、入道雲の下でアウトドア。花火大会で夜空を焦がす音を肴にビールと焼き鳥。蚊取り線香臭い縁側でスイカの志村食い等々、様々なイベントがありますが、たららんどさんは普段と変わらずの毎日を過ごしている様子。「仕事と自宅の往復でつまんない」「なんか良いことないかなあ」が口癖だと伺っておりますが、今回大阪へ旅行に出かけられたということで、何か心境の変化があったのでしょうか。


《生まれて初めて作った曲が『半年後の君』》
「心境の変化……ですか。うーん、なんだろう。嘘っぽく聞こえるかも知れないんですけど、高校一年の頃でしたね。友人の勧めでギターを弾き始めたんですよ。なんか良いことないかなぁって友人に溢したら、『じゃあギターやってみない? 俺が教えるよ』って。
 あの頃は伊予も僕もまだ十六歳でした。悶々としていた。燻って、行き場のないエネルギーを持て余していたんです。
『俺はこのままでいいのか? なんか夏らしいことしなくていいのか?!』そんな若者特有の、漠然とした焦りを感じていたので、『じゃあ、やる? すごい新人が現れたもんだなって言わせてみる?』って一念発起してね。アコースティックギターを手に取ったんです。
 ところがですよ。これが本当に難しい(苦笑)『俺、音楽全然向いてないじゃん……』って思いました。だって『たらちゃん、Fのコード弾くとき情熱顔で誤魔化してるけど音ひとつも鳴ってない。あとその表情やめて、ゲロ吐く手前の人っぽい』って(笑)。
 ええ、ショックでしたよ。というよりも、まったく意味がわからなかった。『ゲロ吐く手前の人ってなに? そんなことある?』とそう思ったその日の夜、シャワーを浴びながらお風呂場の鏡の前でF顔を作ってみたんです。
『……大丈夫? 話聞こうか?』
 思わず口説いてしまって(福笑)それから訳もわからず泣けてきて、浴室でこんな風に泣いたのはこれが最初で昨日が最後。泣き虫なんですよ、僕。(照)
『なにくそ、負けてたまるか』『やーいお前んちおっばけ屋敷……ぐらい暗いのになんで電気つけないの?』
 そんな気持ちを歌詞に込めて、生まれて初めて作った曲が『半年後の君』。
 この記事を読んでくれて、まだこの曲に出合えていない人は、三分ぐらいの歌ですから、ぜひ聴いてみてほしいですね」


 何よりも人付き合いが難しいと語ってくれるたららんどさん。都会への憧れが人一倍強いことも、本人曰く対人スキルの偏りが原因だそうで、格好悪いことがとにかく嫌いなのだとか。


《さすがに公共の場ですから服は脱ぎませんでしたが(笑)》
「ええ、そうです。格好悪いことっていうよりも、格好悪いことをカッコいいと思ってる人の格好悪さが心底苦手というか(苦笑)。
 例えばスマートボールニュースターというゲーム。この旅の目的がそれでした。なんて、今回初めて存在を知ったんですけどね。そしたら、なんか、しっくりきちゃって(笑)『これだ! これが俺の探し求めてたサンクチュアリ、つまり聖域だ!』そう思ったんですよ。アメリカンピンボールというか、ヨーロッパ系のフォーチュナとでもいうのか。とにかく昂りました。『俺はこれで食ってく』そんな風に意気込んで、武器を持たず、体一つで正々堂々と戦う意思の表明を塵手水で表しましたね。アルコールの勢いも多分にあったんでしょう。さすがに公共の場ですから服は脱ぎませんでしたが(笑)何故命の選択時にも関わらず土俵に女性を禁ずるのか。千代の富士の時代にタブーを破った八百長問題。そんな内容を、今のこのご時世で放送できるんだな、すごいなって(笑)
 まぁ、まだ見てないんですけど、機会があればって、そう思ってます」
 


 そんなたららんどさんは今春、東京にも旅行に行ったのだとか。都会の絵の具に染まらずに帰れたことを誰に報告したのでしょうか。何よりの宝物だと語るその瞳が見据える今後の展望をお聞かせください。


《『久保谷にはもうお金貸したらあかんで』》
「それは内緒です(笑)でも、それじゃあ記事にならないですよね。じゃあ、少しだけ。ほんのちょっとだけですよ(苦笑)
 日本酒が好きで、毎晩のように飲んでるんです。あとはビール。ビールはやっぱり文字に直す際カタカナよりも【麦酒】って読みたい派なんですよ。これは【真理】かも知れません。薄皮齧りの発泡酒も好きです。というのも、お酒に酔ってしまった状態だと、もはや味なんてどうでもいいっていうか(汗)
 だから東京でも浴びるほど飲んだし、大阪でも、ね。たらふく飲んで、たらふく食べました。串カツでビール、特に紅生姜は絶品で、本当においしくて。たこ焼きも食べたし、大阪城にも登ったしで、楽しかったですよ大阪。お目当ての電気科学館は感動しましたね。あの有名な、千九百三十七年三月、日本で最初のプラネタリウムが設置された大阪市立電気科学館です。直径十八メートルのドーム天井に、地球上のいつ、どこから見た星空でも再現できるというシステムは当時の最先端だと聞いていたので、余計にテンション上がっちゃって、感動したなぁ。ああ、そうそう。宇宙の深淵に浸ったその後ですよ。お昼時だったのもあって立ち寄った蕎麦屋で小腹を満たしたときのことです。地元のサラリーマン達の会話が耳に届いてきて(笑)
『久保谷にはもうお金貸したらあかんで』って言ってました。
『おーい久保谷、見てるか? って見てねーか、ハハッ。もし会えたら奢ってやるよ金貸してくれ』そう言ってあげたいですね」



 独特の世界観で男女の営みを鈍臭く描く文章が特徴のたららんどさん。この記事を読んだ読者に伝えたいメッセージがあればお願いします。


「メッセージか……。ふふ、なあんか照れますね。僕みたいなもんがお前らみたいなもんに伝わる言葉を持ってるのかどうか。って。ああ、これは僕の悪い癖なんです。人に嫌われる、僕の悪い癖ですね。うん。うん。例えば、『麦芽』これはなんて読むと思います? そうです。正解はそう、『ばくが』です。でもね、僕は『むぎめ』。そう読んじゃう人のことを、ラブリーだなってそう思うんです。ラブリーでセンシティブでむぎめ、むぎめ。声に出して見てください。エロさを感じませんか? さあ、さあ。『むぎめ』。声に出してむぎめ。うん、いいですナイスです。続いて、むぎめ、むぎめ100パーセント。うん、焦らないで、大丈夫。あなたは大丈夫。むぎめ100のパーセントだ。なあんにも心配いらないんだから。ね、ちょっとこっちおいで。寝てればいい。うん、服は脱ごうね。寝てればいいよ。苦しくない? ほら、脱ぐ? 脱ぎ脱ぎしようねほらバンザイ。ほらもう大丈夫バンザーイしよう。辛い? わ、首引っかかるよねごめんね。うんうん、辛いよねわかる。よーしおっけー。下も脱ぐ? 脱がないのそうなの。え、今日も無視された? うんうん、大丈夫。お腹すいてない? アイスノンいる? 頭痛くなるもんね、うん。ゆっくりしよう。明日起こしてあげるよ。うん、うん。何? えーそれって、ちいかわじゃないじゃん! ダメだよダメダメ、デビ婦人? 知らない人だそれ、キューウ李夫人? 太え野郎だ。そいつきっと今頃自己啓発本とか読んでるよ。ああ、うん。わかるそれ。ロミオ怖いよね、うん、ね、うん。そうなの。アイス食べたいの。わかった待ってて買ってくる。え、何、いらないの。買ってくるよ? ああ、何もうかわいい。オッケーわかったそばにいてあげる。頭撫でさせてよ。うん。いい子だよ、いいこー


ヘアメイク:五十嵐吾郎 スタイリング:ティッシュ斎藤 衣装協力:腕時計三万五千円(ツェッペリン)インタビュー時ドリンク二万四千円(菊姫)その他スタイリスト私物

 


お肉かお酒買いたいです