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ミュージックボックス

当時ブログに書いた文章をnoteに載せてみたくなりました。
※シュンヤ1才のころのお話

=2007.09.29の記事=
「ミュージックボックス」

テレビやラジオから流れる歌を口ずさむことがあります。
昔よく聴いた歌。意識しなくても自然と歌詞が出てきます。

私にとっては当たり前のことでも、我が息子にとってはそれがとても不思議なことに思えるみたいです。テレビから流れる音と同じものが、どうして私の口から出てくるのか。不思議そうにテレビと私を交互に見る1才児。歌とはどんなものかさえ、まだ分からないのかもしれません。テレビの歌と私の歌。ステレオのように同時に耳に飛び込んでくるから、それがこの子には不思議に感じるのです。

妻とこの間こんな話をしました。
なんで昔の歌ってこんなに覚えてるんだろうねって。

まだ頭が柔らかい頃だったから?昔の歌は今みたいに多様化してなかったから、ヒット曲はみんなが知ってて、いつでもどこでも流れてたから?理由はいろいろあるけど、どれも正解のような気がします。何度も聞いたヒット曲や、何度も口ずさんだ好きな歌は、頭のどこか片隅に残っていて、ちょっとしたきっかけで無意識に出てくるのかもしれません。

大切な記憶を年とともに薄れてなくしてしまっても、歌だけは自分の記憶の片隅にちゃんといてくれるような、そんな気がします。昔のヒット曲は自分が生きてきた時代の証しであり、自分の好きな歌は自分を形作る大切なもの。それならば年を重ねた結果、自分の体がたとえ音楽を奏でる存在だけになったとしても、少なくとも本人にとっては幸せなことかもしれません。

こんな夢想をしました。自分がおじいちゃんになった未来を。

孫が生まれて抱っこしてあやしていると、どこからか昔の歌が流れてきたりして。そしてその歌を口ずさむ自分がいたりして。それを不思議そうに眺める自分の孫がいたりして・・。時をひと巡りしてまたこんな愉快な出来事に出合えたらいいな。ぼんやりとそんな未来を夢想しました。


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