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レミアの翼 紹介文

はじめに

 『レミアの翼』は私が中学生の頃から構想を練り、19歳の頃に完成までこぎつけた記念すべき最初の作品で、利他的行動が巡り巡って自分に還ってくるという児童文学的な、まるで絵本のような物語です。子供も安心して読めることを目指した62,000文字の中編小説で、人が死ぬ描写は一切無く、恋愛要素も全くありません。当時、中学生向けの新聞に連載する予定の物語として創られたもののお蔵入りになった作品でしたが、紆余曲折を経て電子書籍として出版し、今ではスペインの出版社 SEKAI Editorial からスペイン語版『Las alas de Remia』も出版されています。
 このnote記事では、そんな『レミアの翼』の魅力を、作者視点で大いに語りたいと思います。


利他的行動が巡り巡って自分に還ってくる、児童文学的なショートストーリー
大気と水と光と土。それらが揃ってさえいれば、森の木々は正常に育つはずである。しかし、なぜか地上の緑は、少しずつ失われつつあった。それを不思議に思ったレミアは、ラムダ老にその疑問をぶつけてみる。すると老から、驚くべき話を聞かされた。地上には『人間』という種族が生息し、大自然の営みを蝕んでいると言うのだ。『人間』に興味を持ったレミアは、老から三日間の時間を与えられ、地上の世界に舞い降りた。他を想う心で成り立つ世界を描いた、児童文学的な中編ファンタジー小説。
(6.2万文字 文庫本121ページ相当)

救われなかった人達へ

 小説が、著者の願望を映し出す鏡だとすれば、この『レミアの翼』も例外ではありません。私は「なろう系」と呼ばれる作品群について、著者の願望を書き綴っただけの作品だと揶揄し、蔑む声には同意できません。なぜなら創作に作者の願望が反映されるのは、極自然な事だからです。

 しかし、私が『レミアの翼』に込めた願望は、決して人から褒め称えられる事でも、複数の異性から言い寄られる事でも、ましてや強大な敵を倒して英雄になることでもありませんでした。この頃の私は、誰かから大切にして欲しかった。誰かに愛して欲しかった。誰かに助けて欲しかったのです。

 想像してみて下さい。今まさに力によって、あなたの尊厳が踏み躙られようとしているとします。抵抗は一切出来ません。多くの物語では、誰かが助けに来てくれそうな場面ですが、しかし現実には誰も助けに来てくれませんでした。私は誰かに助けて欲しかった。そして救いを求めていたのです。

 『レミアの翼』は、そんな境遇に居た私が、毎日少しずつ書き綴った物語です。誰かの事を思って行動し、そして誰かから大切にして貰う。互いに相手を尊重し合える世界になれば、みんな幸せになれるはずなのに、なぜ人は自分のことばかり考えるの? そんな純粋な思いが、私に『レミアの翼』を書かせました。

 当時、私は朝から晩まで、厳しい農作業に駆り出されていました。休日はありません。創作も禁止されていましたが、寝るとき布団に入って、廊下の灯りを頼りに書きました。人の気配がしたら、原稿を布団の中に隠しました。 1日10分しか時間が無くても書き続け、19歳の夏『レミアの翼』が完成したのです。

 そんな『レミアの翼』が、約30年の時を経て蘇り、今ではスペイン語圏でも広く読まれています。その喜びは計り知れません! 私はようやく、救われたのかもしれません。その救いの手が、巡り巡ってあなたの元に届く日は、もう間近に迫っています。私は『レミアの翼』をスペイン語圏の読者に届けられた事を、本当に嬉しく思います。この美しい物語には、あなたが幸福になる方法が書き記されています。この作品づくりに関わった全てのスタッフの皆様と、この作品をこれから読む全ての読者の皆様に、私の最大限の感謝を込めて! 『レミアの翼』、是非ご一読下さい!

こんな時代だからこそ「利他的行動」の意味を見直したい


 『レミアの翼』は、利他的行動が巡り巡って自分に還ってくる、という美しさを描いた物語です。この物語は約30年前、私が中学生の頃に考えたものですが、しかし今の時代だからこそ、利他的行動の重要性が問われてる気がします。それは、ただの綺麗事ではありません。

 そもそも、なぜ困っている人を、利他的行動で助ける必要があるのでしょうか? 人間の歴史を振り返ってみると、強者が弱者を虐げるという行為は、今までずっと当たり前に行われてきました。

 しかし一方で、世界の覇権をとった王が、今も世界を統べている訳ではありません。そう、強者が弱者を虐げる社会は、決して長続きしないのです。人間は個では非力で弱い存在が故に、集団で力を合わせて文明を発展させてきました。困っている人を助ける行為は、集団の為であり、巡り巡って自分の為にもなる。実はそれこそが、人間の生存戦略です。

 逆に、弱者を蔑ろにして放置し続けると、その報いも巡り巡って必ず自分に跳ね返ってきます。一握りの権力者に虐げられ、子供を産み育てる気力と経済力の両方を失った若い世代が増加した影響で、日本では少子化が加速。人口減少のみならず、目に見えて経済全体が衰退してきてます。数年前までこの事実を認めたがらない層も一定数いましたが、今では日本人の多くが、我が国の衰退を実感しているのではないでしょうか?

 利他的行動は決して綺麗事ではありません。むしろ人間が生きていく為の生存戦略です。「自分さえ良ければ良い」の精神では、社会は長く続きません。持続可能な社会を構築する為にも、利他的行動はなくてはならない要素ではないでしょうか? こんな時代だからこそ、見直すべき価値観といえるでしょう。

 人の欲望に限りはありません。しかし、人はそれを追求した結果、時に虚しさを感じてしまいます。人の心は、一体どうすれば幸福に満たされるのでしょうか? 彼女は言いました。
「幸福とは、自分以外の誰かのことを想って行動し、そして誰かからも自分のことを大切に想って貰うこと」

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