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ぼくがかんがえたさいきょうの 『WE Run』

評論家の宇野常寛さんが主催するオンラインサロンPLANETS CLUB。クラブ内の分科会であるランニング部の有志が、noteの共同運営マガジン『WE Run』を運営している。

“私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン”
“Write, Eat, Run”という3つのキーワードから生まれたマガジン名が象徴するように、書くことを通じて走ることについて考え、食事を楽しむように走ることを楽しもうとするメンバーが、書き手として参加しています。

今年3月1日にスタートしたこのマガジン、開始9ヶ月目に差し掛かったところで100記事を超えた。書き手は2020年12月26日現在、累計20名を数える。
これを記念して、3記事以上書いたメンバーが自薦した記事を入門編として紹介する記事が公開された。

上記の記念記事はメンバーが自薦したものが集められた。書き手が最も自信を持っている記事の集積だ。たしかにどの記事もよく書けている。しかし、私が読んだ中で最も気に入っていた記事と違うものも多々見受けられた。
ならば、私による他薦でメンバーの記事をまとめても面白いかな?とふと思いついた。自薦と他薦を比べることで、明白になることもあるかもしれない。

思い立ったが吉日、私が選定した「WE Run」メンバーの記事を以下に挙げることにする。

【選定基準】
① 上記の記事で自薦された以外のものを選ぶ。
② 「WE Run」でひとつの記事でもアップしているメンバーは全員、選定の対象とする。

では、ご覧ください!

*

- いつでも -

 ▪︎大星部長 『日常の延長線上で、ゆるやかに交わる。』

“ 合流した瞬間、誰が何キロ走ったとか、どれぐらいのスピードで走ったとか、そういった情報は一切分からない。でも、迎えられる、というあたたかさ。この日我々が体験したのは、とても豊かな「ケ」のランニングだ。それぞれの日常の延長線上で、ゆるやかに交わり、また別々に走って帰路につく。”

 ▪︎みかさん 『走り続けて考える、距離と距離感、集うこと。』

ランツーリズム始めよう、街中ランを再開だ、いつものコースの向こう側へ再び走り出してみた。散歩で行くには遠い場所、電車やバスでは味わえない道、走るだから感じる街の魅力を探してみますよ。そして、こうやって走り続けた先に、またみんなと一緒に集って走りたいのです。”

 ▪︎野中さん 『街中のマジックアワーラン~天地と人を彩るひと時

” 徐々に行き交う人が増えて賑わいが増していく中、普段の喧騒に溶け込んでいくように街のマジックアワーも終わりを告げる。そして、魔法のような時間が終わった残念さと、そして日常に戻った安心感とを抱えながら帰路につく。”

 ▪︎とくさん 『ドミネーターに排除された話』

この一件以来、1人でランニングや散歩で人気のない場所を楽しんでいたものが素直に楽しめなくなっていた。それまでは人通りや車が少なく、水辺を探すというのは自分で選んだ日々の楽しみ方だった。のはずだった。”

 ▪︎長さん 『濡れた服を着て走る重苦しさのこと』

“ 水分を吸って重たくなったパーカーは、人間関係とよく似ているなと、走りながら思う。他人からの好意や期待といった「雨粒」が体の表面に付着して徐々に身動きが取れなくなり。そして重さが限界に達すると、パーカーを脱ぎ捨てる。”

 ▪︎あやのさん 『ネコと暮らす

ネコが来てからというもの、夜はまとめて眠れた記憶がないし、逆に休日は疲れきって隙あらば寝て過ごしている。毎週欠かさず続けてきたランニングもできていない。しかし、少しずつこの生活にも慣れるだろう。ネコもきっと成長と共に手がかからなくなるはずだから、もう少しゆとりを持ってネコと暮らさなきゃな。“

 ▪︎西島さん 『Cloudflowから『WE Run』へ

” 僕はまだOn Cloudfrowを履いて走り出してはいない。
なぜか?そのことに理由をつけようと思えばつけられるけれど、そのことに意味があるとは思えない。その時が来れば走り出すだろうと思っている。"

- どこでも -

▪︎shogoさん 『川を走る。都市を走る。

ひとつの問いが浮かんできた。私は川が好きだから川で走っていたのではなく、むしろ川しか走れる場所がなかったから川で走っていたのではないか?という問いだ。

▪︎橋本さん 『ランニング落書き帳#01-地元を走る-』

「地元」でのランニングは、時間的に離れた2つの日常を接続する。日常×非日常と比べ日常×日常はほとんど新たな情報をもたらさないだろう。しかし、想起させる主観的経験の蓄積という点において後者は圧倒的に豊かかもしれない。”

▪︎こすもすさん 『「水曜日は働かない」意味を考えながら、歩く

" そのど真ん中に穴を空けると、自然界と人間界がせめぎ合う構図が消失する。耕作放棄地は野原に変わり、里山景観の一部になるかもしれない。自然を開発する思考から、自然でも人間でもない中間的なものを見出す思考が生まれ、あれこれ想像すると楽しそうだ。"

 ▪︎はくさいさん 『湖を走る』

取ってつけたような設備でも自然発生的にここにランナーが集まりだした。昔はこんな湖岸ではなかった。ランニング人口が増えたのと比例している。ただ残念なのがだれもそのランナー向けに何もしていない事だ。”

 ▪︎おろしさん 『街の歴史に接続するラン:群馬県太田市』

下の写真を見てほしい。これは国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスから拝借した1947年に撮影された写真だ。写真中の赤いラインが今回走ったコースで2020年現在も存在する現役の道路だ。“

 ▪︎東さん 『走った味』

それにしても走っていると、近所なのに知らない場所にいることが不思議だ。この交差点は通勤中にいつも通るが、朝は北から南へ、夜は南から北へ歩くと決まっている。その交差点を西から東へ走り抜けることに違和感がある。この交差点はこんな風にも見えるのかと。”

・岩崎さん 『TRAIL RUNNING HAS NINJA ECSTASY』

私も,筋肉に刺激を与えるべく屋内鍛錬所に通い,心肺の力を維持すべく,街道走破に勤しんでおります.しかし所詮,そのような鍛錬は,「塀の上を走る」行為とは縁遠いものであります.挙上重量や走破距離と云う,数字で計測可能な行為とは縁遠い,「塀の上の疾走」で得られる感覚...それを言葉にすれば...Ninja Ecstasy...

 ▪︎村上さん 『リバーサイドラン 運河と小川を抜けて-京都-

" 生活動線の間、異なる歴史の間、観光地と日常風景の間を通っていたことがわかる。日常と非日常に閉じず、はっきりと分けることができない風景からは日常と非日常の時間と空間がグラデーションを持ち、地層のように堆積しているようだ。"


- 誰とでも -

 ▪︎せおさん 『龍馬が駆ける#0』

たかが半周。されど半周。「まだだ。まだ、我慢しろ。」長男だから我慢は得意だ。正直、ペースを上げたのはしんどい。しかし、ここは我慢だ。すべては(サッカー部内で)誰よりも早くゴールするため。“

 ▪︎ユリさん 『夜の港、昼の山頂』

赤ちゃんとのランニングは、泣きだしたら中断してあやすし、暑くなってきたらすぐ帰る。でも、そうやって走り続けることが苦しくない。筋肉も衰えちゃってるし、スピードはでないけど、楽しい。赤ちゃんは、自分とランニングの距離をものすごくポジティブなものに変えてくれた。”

 ▪︎たなくらさん 『考えないために走る』

“ 東京との接続を切りたい自分。そんな中途半端な2拠点生活者ができあがってしまった。決して家族と北信州で過ごす時間に不満があったわけではない。でも、それだけでは足りなかった。以来、北信州に赴く理由を心のどこかで探す自分。そこに偶然現れたのが、第1回北信州ハーフマラソンだった。“

 ▪︎大野 『飯能で『トレラン』を走る " 旅先で『日常』を走る ~episode24 ~ 埼玉編 "』

“ 久しぶりにオフラインのイベントを経験して思うことは、親密度を増すために「たまには」オフラインも必要だということだ。雑談ができるから、それが主な理由である。”

・千代さん 『吉報のつぶて』

気づけば、私は、続けて走れるようになっていた。夏の間、必ず休んでいた休憩場所も、早く夕陽のベストポジションに行きたいという理由で通りすぎるようになっていた。上り坂も、リズムを刻んで進めるようになっていた。ペースも、いつの間にか縮んでいた。身体もかなり健康になっていた。


- どのようにでも -

 ▪︎銀次さん 『朗らかな絶望』

山田さんはお母さんと二人暮らし。妹が幼稚園の頃は自力で階段を登っていたが、じきに車椅子になり、少しずつ認知症に理性を奪われていった。挨拶も交わせなくなるくらいに。エレベーターの無い4階、聞こえてくる言い合い、騒音。正直、相当、相当に山田さんは介護を頑張っていたと思う。“

 ▪︎平松さん 『坂ランの負荷と水流の負荷』

“ オーバードーズするほどのめり込めるという事は最高ではあるのですが、そこにはそれ相応のリバウンドがあることもあります。自分にあった距離感を保てればさらに長く楽しむことができると思います。”

 ▪︎市川さん 『リモートワークで走れなくなったあなたへ  ~心の劣化を防ぐ4つのリスク管理~』

モチベーションが上がらない時に、どうやってモチベーションを上げればよいのか?というのは、難しい問いです。ここでは、プロジェクトマネジメントの理論の中にあるリスク管理の4つの対応方法を応用して考えてみたいと思います。”

▪︎中島さん 『ノルディックウォーキングというモノリスでヒトは思考を取り戻せるかもしれない

" 両手をスマホから解放して、四足歩行に戻ることで思考力を取り戻しているのではないかとすら思う。ノルディックポールは手をスマホに奪われて動物化していくヒトを再び人類に戻すために現れたモノリスなのかもしれない…. "

▪︎目黒さん 『手を伸ばして、走り出す

“ 時間を共有することは、オンライン化の加速によってこれまでよりも簡単になり、当たり前の日常になってきたけれど、その一方で空間を共有することはとても難しくなり、人と会って食事をすることはもはや非日常と化している。すれ違いでもいいから空間を共有したい ”

▪︎吉村さん 『三浦の坂道、自転車旅

" ハレの日の朝に、遅刻という日常のケを持ち込んでしまった罪とうつろな身体を乗せたバスは最寄駅に到着した。私がどんな気持ちでいても、3月の空は明るい陽射しを降り注いでいる。開催中止になってしまった三浦国際市民マラソンで走るはずだった海岸沿いを、これからみんなで走りに行くのだ。"

 ▪︎阿川コーチ 『僕たちは、走ることで繋がりなおす』

彼らの欲求は、例えば、『レースに限らず、走ることで出会える非日常』かもしれない。もしくは、『イベントを開催することで産まれる場やコミュニティ』かもしれない。あるいは、『自ら理想のレースを主催し、運営すること』かもしれない。そう、既に僕たちは走ることで、世界との関係性を繋ぎなおすことが可能だ。”


*

見事にほとんどの記事は自薦されたものと被ることなく選出できた。選定段階でふたりほど自薦記事と被るものはあったが、そのどちらも「これかこれだな」という感じで、他の候補記事も同じくらい魅力的だったので、すんなりと切り替えられた。

記事が増えれば増えるほど、DJのようにセットリストを組む楽しみが増えるのも、マガジンの面白さである。

皆さまもぜひ、お試しください!

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