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ノルディックウォーキングというモノリスでヒトは思考を取り戻せるかもしれない

まだヒトがサルだったころ、少ない資源を巡り争いは絶えなかった。
水場を巡る争いに敗れたサルの群れが偶然謎の金属板に触れたことで道具を使うことを覚え、一度は敗れた水場を占拠する群れに拾った動物の骨で相手を殴りつけて倒し、水場を得る。

超名作古典映画「2001年宇宙の旅」の冒頭シーンだ。

映画ではその後、サルが空中に投げた骨がそのまま宇宙に浮かぶ衛星にシーンが切り替わる。
そして話はコンピューターHAL9000と科学者達を乗せた宇宙船で木星探査に向かう…

映画の話はさておき、自分が手にした道具ノルディックウォーキングの話をしたい。

ノルディックウォーキングを始めたきっかけはざっくり言うと身体の危機である。
疫病のおかげで週4在宅勤務となっため、元々出不精で無職ではないがほとんど引きこもりと化していた。
最初は在宅勤務を喜んでいた僕だったが、通勤という義務づけられた運動とともに体力もまた失っていた。

そんな2021年の8月、自分が参加しているオンラインサロンのメンバーであり、ドルオタの先輩にも当たるOさんが長野に来るというので軽井沢でお会いし、街中を散策することになった…

これがまた全く付いていけない。
Oさんとこの時一緒にお会いしたMさん(こちらもまた偉大なドルオタの先輩である)の歩行速度に全くついていけず、ふらふらしながら2人に遅れること数十メートル、結局自分はショートカットをして戻るという脱落をする羽目になった。(この顛末については記事の末にリンクを載せるのでこちらを参照して欲しい)この時、Oさんがノルディックポールを駆使して快調に歩いているのを見て、これこそが運動不足を解消する銀の弾丸ではないと思ったのが僕とノルディックウォーキングとの出会いだ。

調べてみるとノルディックウォーキングとは全身の9割の筋肉を使うことができるという大変にタイパのいい運動らしいことが分かった。
さっそく近くのスポーツ用品店に向かい、ノルディックウォーク専用ポールというのを買った。

購入したノルディックポール9000円ぐらい

こうしてさっそく銀の弾丸を手にした自分は週2ぐらいのペースで歩くようになった。

元々出不精を極め尽くしたような自分ではあったが歩くととても気分が良い。汗をかく快楽とか体を動かす気持ちよさがあると思うのだが、なんと言ってもインターネットの常時接続から離脱できるのが一番心地良い。

プログラマーということもあり、仕事中はずっとインターネットに接続しつつけている。そして去年の10月に会社を辞めフリーランスエンジニアとなったことで完全フルリモート引きこもりエンジニアとなり通勤も100%失われた。

その結果、今自分の生活でインターネットから離脱できる時間は基本的にはお風呂と寝ている時だけだ。

人間は手が空いているとついスマホを見てしまうような気がする。
家で映画を見ていてもかったるいシーンが続くとついスマホに手が伸びてしまう。
そしてSNSをのぞき込めば140字に要約された他人の意見やメモアプリに書かれた長文をスクショした答えらしきものが無限に流れ混んでくる。

こうしてインターネットの海で情報という水を飲み続けるとどうも思考力すら失っている気がする。答えらしきものはあちこちに転がっているが自分で考えるという力がどうも衰えているのではないかと思うようになってきている。

ノルディックウォーキングは幸いなことに両方の手が完全に塞がるので歩きスマホの余地はない。
タイムラインを処理することから解放された脳みそは必然的に何かを考えながら歩くようになる。
それはブログのネタであったり、アイドルとの妄想チェキ会だったり、記憶の整理だったり、歩きながら聴いている曲の良い部分に気づいたり、仕事のタスク整理だったり..
色々考えはしているものの、集中力がないせいか思考があちこちに飛んでしまうし、残念ながら今のところ画期的なひらめきや答えがでてくるということは起きていない。

が、とりあえず現時点ではネットを遮断してスタンドアローン状態で脳みそを回す時間を作るという価値はある気がする。

かつてヒトは二足歩行になることで文明を発達させてきたが、インターネットの海の中で思考力が落ちていく現在、逆に両手をスマホから解放して、四足歩行に戻ることで思考力を取り戻しているのではないかとすら思う。
ノルディックポールは手をスマホに奪われて動物化していくヒトを再び人類に戻すために現れたモノリスなのかもしれない….

すさまじい猛暑の日々が続く今日この頃、早朝ノルディックウォーキングをしながらそんなことを考えていた。


参考文献

自分がノルディックウォーキングを始めるきっかけになった顛末の記録

自分が思っていたことを言語化してくれた記事

全然関係ないけどサルの歌(大変オススメのアイドルです)