弁護士 青木志帆

難病(小児がん)×法律×福祉の谷間から。 福祉と保健に偏りがちな元自治体内弁護士。 事…

弁護士 青木志帆

難病(小児がん)×法律×福祉の谷間から。 福祉と保健に偏りがちな元自治体内弁護士。 事例が出てきても私自身の話か、だいぶ要素を改変したものです。

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3本目のブログ~別に伝わらなくてもいいものを書くために~

身柄を隠す必要もないと思うのですが、とりあえずペンネームで書き始めてみます。 今、これを病室から書いているあたり、私らしいというかなんというか。 初代にぶんのいち、二代目にぶんのいち×2を経て、使い勝手の関係からnoteを使ってみることにしました。でも、職業柄お金はいただけないので、基本的に書き流すスタイルは今までどおり。 ちなみに、初代は「法科大学院1期生が、紆余曲折を経て三振目で合格する物語」として希少価値があるような気がします。。 しきり直しの2つのきっかけ『書

    • 【読書メモ】「能力」の生きづらさをほぐす

      なんとなく、「能力」について原稿を書かなければならなくなっている気がしてきたところ(曖昧)、「ほしいものリスト積読」(※)になっていた本書をポチっと購読しました。 いや~、市役所で管理職していた時に読みたかった。 やっぱり要らなかった「クリエイティブな人材」本書は、大手企業の終活の際には役員面接時に「君はすばらしい」と称揚されまくったのに、入社2年で「役立たず」扱いされた24歳の息子に対し、数年前にがんで亡くなったはずの”組織開発コンサルタント”にして教育社会学を修めた母親

      • 2024年の目標ーかくことー

        カニを食べる新年、あけましておめでとうございます🎍 年末、夫に「今年の我々の反省は?」と聞くと、「カニを食べに行かなかったこと」と言い、「じゃ、じゃあ来年の我々の目標は?」と聞くと、「カニを食べに行くこと」と言うので、とりあえず全力でカニを食べに行くことを考えます。 そうこう言っているうちに、カニのメッカ、北陸地方で、元日からえらいことになってしまいました。なんなら宇奈月温泉で権利濫用のご神体でも拝んでこようかと思っていたのにえらいことです。 まだ奥能登の方は、電波どころか支

        • 法律相談に行こう

          「弁護士に相談したいけれど、どこへ行けばいいかわからない」 「市政だよりに『無料法律相談』と載っているから、ここへ行けば解決するんだ」 などなど、法律相談と一口に言っても、その窓口は様々ですし、役割やできることもそれぞれです。 受けている弁護士としても、「そんなことしかできないのか」とがっかりされることもしばしば。そこで、どういうときに、どこへ相談に行けばいいのか、簡単にまとめておきます。 個人として法律相談へ行こうかな、と考えている場合はもちろん、対人援助職として、「この人

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        • 読書メモ
          14本
        • 処法箋
          10本

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          8年前の世界からこんにちは

          「浦島太郎」感がすごい 公務員を辞めて、法律事務所に移籍してそろそろ半年になります。 今回の移籍は、手持ち事件がゼロで立ち上げる点で通常の独立とは異なり、退職金があるわけではないので公務員の早期退職とも異なります。要は、思ってたよりシビアだ・・・ということ。任官10年前後で裁判官や検察官を辞めて弁護士へ転身する人と状況的には近いと思うんですが、ああいう方々はどうやって開業当初の数年間を過ごしておられるのか、急に興味がわいてきました。 また、私の体調はステロイドを足せばよい、

          8年前の世界からこんにちは

          処「法」箋にぶらさがって生きる

          生きています退職して1か月たちました。 なんとか生きています。 体調は、悪いです。環境の変化に弱い疾患ですから。主治医も心配して、受診間隔を狭くしてくれるくらいです。通勤ははるかに楽になりましたし、朝もまるまる1時間遅くなったし、身体にかかる負荷は落ちているはずなのに、1か月ずーっと消化器の調子が悪いです。副腎がつかれているとこうなるので、GWに整えなければ。 「私」の有効活用前回、退職のごあいさつでも書いた通り、在野に戻ると決めた理由のひとつが、「相談支援の処「法」箋」が

          処「法」箋にぶらさがって生きる

          退職のごあいさつ

          かねてより、小出しにお知らせしているところではありますが、私は、本日(2023年3月31日)をもって明石市役所を退職します。明日投稿すると、「え、エイプリルフール?」などといった無用のノイズが入るためw、今日書きました。 2015年1月5日に入庁してから、約8年3か月勤めました。これまでで一番長い経歴が「司法試験受験生」の7年、その次が「小学生」の6年ですので、それを上回る期間、お世話になっていたことになります。おもえば、「お前に公務員は絶対に無理だ」と言われながら始まった

          退職のごあいさつ

          「権利擁護」の意味(後半)

          権利擁護について久しぶりに考えてみた話の後半です。 前半は、こちら。 権利擁護の本来の意味 「権利擁護」ってそもそも英語のAdvocacy(アドボカシー)の訳です。そして、アドボカシーが何かというと、「本人の身上面に関する利益の主張を補助し、又は本人の身上面に関する利益を代弁すること」だと言われています。実は私は、「権利擁護」の単語よりも「アドボカシー」の単語の方に先に触れていた珍しい弁護士なのです(司法修習中にお世話になった先生の事務所名に「アドボカシー」とあり、「これ

          「権利擁護」の意味(後半)

          「権利擁護」の意味(前半)

          機種変のおかげで高い本をがんばって買った話 現在の部署に異動してからというもの、権利擁護という単語に正面からぶつかることが少なくなっていたのですが、ちょっと野暮用でまた関わりそうな気配になってきました。実務から離れると、とたんに自信がなくなってきたもので、さんざん悩みながら買ってしまいました。 たっ、高い。高すぎる。大人のお年玉価格ではないか。。サラリーマンは、書籍を購入しても経費にできないんだぞ… 一度は購入を諦め、どこかの大規模図書館にでも入荷されないかなーと待つヘタ

          「権利擁護」の意味(前半)

          【読書メモ】15歳からの社会保障

          15歳からの社会保障 本書の筆者には、2020年にSocial Change Agencyの研修プログラムを受講した際に、大変お世話になりました。 その時から、社会保障制度の申請主義、つまり、何らかの事情で生活に困り果てていても、自分で制度を調べて窓口へ行って「(自分はこれこれの条件に当てはまると思うので)利用させてください」と言わなければ一つも制度の利益を享受できない、という性質に対する問題意識を感じていました。そこへきての、『15歳からの社会保障』。もう、成人で申請主

          【読書メモ】15歳からの社会保障

          下垂体前葉機能低下症患者が新型コロナに感染してみた話

          夜、救急車の音が聞こえると、「どうか望む行先にたどりつけますように」と祈ってしまうようになりました。2022年7月19日、新型コロナウイルスに感染したとわかって以降、自宅近くを救急車が走る回数が増えているような気がします。気のせいだと思いますが。 感染が判明してから今日まで約10日ほど。おりしも第7波の序盤にやらかしてしまった私の闘病の様を残しておこうと思います。 0日目:夜に発熱したら落ち着いて下げようコロナ0日目、つまり、PCR検査で陽性が確定する前日のこと。外出先から

          下垂体前葉機能低下症患者が新型コロナに感染してみた話

          ブックカバーでもパニックを起こす話

          見て、この記事のサムネイル。名古屋旅行に行った時、リニア・鉄道博物館のお土産屋で買ったんですけどね。この初代新幹線の丸いフォルムが可愛くて、買ってしまったんですよ、へへへ。 ていうか、ブックカバーを見てもパニック起こしながらついつい買ってしまいます。 しかし、ほら、これの前のエントリで書きましたよね。 文庫本は基本的にKindleにする、って決めましたよな、私。ブックカバー買ってどうするんですか、私。 どうするんですか、私!! これ、まだごくごく一部ですし、新書やらソフト

          ブックカバーでもパニックを起こす話

          本屋で毎回パニックを起こす話

          本屋が好き 本屋が好きです。 自宅が神戸のど真ん中ゆえに、いつでも県下最大の本屋に行けてしまう環境なのが災い幸いして、週末のたびに本屋に行ってしまいます。2年前、1回目の緊急事態宣言の時、飲食店からデパートから何から何まで閉まってしまいましたが、一番きつかったのが本屋でした。失って気づく、存在の大切さ。平日は19時までとかで仕事帰りに間に合わず、週末は完全に閉めてしまうのでマジでいけませんでした。あの時は辛かった・・・ 本屋って、用事がなくても気がついたらお金が無くなって

          本屋で毎回パニックを起こす話

          【読書メモ】〈弱さ〉を〈強み〉にー突然複数の障がいをもった僕ができること

          「難病とはたらく」をテーマにしたオンラインセミナーで、天畠大輔さんが登壇されていた。 四肢は麻痺し、視力も文字を読めない程度には低下している重度身体障害のある天畠さんに対し、ヘルパーが「あかさたなはまや・・・」と並べ、途中から五十音を「ちつてと・・・」と下に降りていく。これをヘルパーが繰り返し、3~4文字そろったところで文章として表現しなおし、天畠さんに確認する。かなり迫力のあるコミュニケーション方法を取られているのに、プレゼンは、自らのヘルプ(介助)のためのヘルパー事業所の

          【読書メモ】〈弱さ〉を〈強み〉にー突然複数の障がいをもった僕ができること

          「私、民法で仕事できないんですよ、憲法で仕事するしかないんですよ」

          おかげさまで 昨年、すったもんだして発行した拙著ですが、おかげさまで書店に並んでから1年を迎えました。この間、1回の重版を経て・・・そのあとどんだけ売れているのかわかりませんが、私の観測範囲におられる福祉職の方々は結構「買ったよ!」とおっしゃっていただけることに感動しております。多さ地裁の書籍売店にも、発売当初から3冊置いていただき、これも感動です。つい先日おそるおそる見にいったら1冊きちんと並んでいました! でも、初版本でした!(つまり・・・最初の3冊のうちの1冊なんでし

          「私、民法で仕事できないんですよ、憲法で仕事するしかないんですよ」

          私もやってる、他己決定する自己決定

          「人はどこまで一人で成り立っているのか?」 問いだけ読むと、何を聞かれているのかわかりません。でも、最後まで読むと、「自分の意思」はどこまで自分一人で形成されているのか、自分と他者との響きあいの中で決まっていくのが「意思」なんだろうなぁということに気づきます。たまたま、話すことも書くこともできない天畠大輔さんの研究のありようとして紹介されるので「すげー」と思いますが、これって誰でも大なり小なり経験していることでは・・・なんて思います。 上記の記事は、幼少期の医療ミスで話すこと

          私もやってる、他己決定する自己決定