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記事一覧
【読書メモ】「能力」の生きづらさをほぐす
なんとなく、「能力」について原稿を書かなければならなくなっている気がしてきたところ(曖昧)、「ほしいものリスト積読」(※)になっていた本書をポチっと購読しました。
いや~、市役所で管理職していた時に読みたかった。
やっぱり要らなかった「クリエイティブな人材」本書は、大手企業の終活の際には役員面接時に「君はすばらしい」と称揚されまくったのに、入社2年で「役立たず」扱いされた24歳の息子に対し、数年
「権利擁護」の意味(後半)
権利擁護について久しぶりに考えてみた話の後半です。
前半は、こちら。
権利擁護の本来の意味
「権利擁護」ってそもそも英語のAdvocacy(アドボカシー)の訳です。そして、アドボカシーが何かというと、「本人の身上面に関する利益の主張を補助し、又は本人の身上面に関する利益を代弁すること」だと言われています。実は私は、「権利擁護」の単語よりも「アドボカシー」の単語の方に先に触れていた珍しい弁護士な
ブックカバーでもパニックを起こす話
見て、この記事のサムネイル。名古屋旅行に行った時、リニア・鉄道博物館のお土産屋で買ったんですけどね。この初代新幹線の丸いフォルムが可愛くて、買ってしまったんですよ、へへへ。
ていうか、ブックカバーを見てもパニック起こしながらついつい買ってしまいます。
しかし、ほら、これの前のエントリで書きましたよね。
文庫本は基本的にKindleにする、って決めましたよな、私。ブックカバー買ってどうするんですか
【読書メモ】〈弱さ〉を〈強み〉にー突然複数の障がいをもった僕ができること
「難病とはたらく」をテーマにしたオンラインセミナーで、天畠大輔さんが登壇されていた。
四肢は麻痺し、視力も文字を読めない程度には低下している重度身体障害のある天畠さんに対し、ヘルパーが「あかさたなはまや・・・」と並べ、途中から五十音を「ちつてと・・・」と下に降りていく。これをヘルパーが繰り返し、3~4文字そろったところで文章として表現しなおし、天畠さんに確認する。かなり迫力のあるコミュニケーション
【読書メモ】弁護士の私の使い方ー社会的排除と法システムー
私は、本をポチることも多いけど、できたら一面の本棚に囲まれて買いたいタイプ。それほど大きくない本屋でも、放っておいたら1時間くらいうろうろできる。本棚をぼーっと見ていると、「なんじゃそりゃ」みたいな偶然の出会いがある。Amazonも、次から次から興味のありそうな本を勧めてきてくれるけど、本棚を回るのとは全然違うの、なんでだろう。
そうやって見つけたのがこれ。社会保障法の棚を見ていたら、隣の基礎法
【読書メモ】法律家の責任・患者の期待ーハンセン病検証会議の記録ー
以前、こんな本を読んだ関係で、ハンセン病の歴史にきちんと触れてみたいと思った。
そこで、↑の本の参考書籍をあたりながら見つけたのが
ハンセン病検証会議副座長でもある内田博文先生が、検証会議の経験をもとに記された本なのでたぶん間違いはないと思う・・・けど、思いっきり絶版になっていて、確実に入手するには古本屋からプレミア価格で買うしかない、という。。 本に諭吉をささげたことは今までなかったので、ま
【読書メモ】もうあかんわ日記
父は他界、弟はダウン症、母は車いすユーザー、からのコロナ禍に生死をさまよう大手術。間に祖父の葬式が挟まって、ついには祖母がタイムスリップ。-残された長女(作家)にすべてのタスクは託された。
人生はひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ
という帯の一節がすべてを表しており、とにかく身に降りかかった困難ごとをひとつ残らずとりあえず笑い飛ばしておこう、という気合いに満ちた一冊。
こ
【読書メモ】脱「いい子」のためのソーシャルワーク
すべての人が、この本に書かれていることの5%でも実践に移せたら、日本も少しはマシになるかもしれない、そんな本です。
「いい子」ってどんな子そもそも、「いい子」ってなんや、という話ですよね。ここを、「いい子」と表現したおかげで、妙な皮肉と揶揄が生まれてしまっていますが、この本は、AOP(Anti-Oppressive Practice=反抑圧的ソーシャルワーク)を日本に紹介するものです。
上記の「
【読書メモ】医療の外れでー看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のことー
だまされたジャケ買い…という死語があるけど、本書はまさにそんな感じだった。
本書の表紙には、
若手看護師が描く、医療と社会の現実。(本書帯より)
医療に携わる人間は、こうした社会や医療から排除されやすい人々と対峙するとき、どのようなケア的態度で臨むべきなのか。(本書表紙裏)
…と紹介されている通り、「看護師が、職業人として日々接する患者を通じて感じ、考えた社会的排除の話」…ではない。全然な
【読書メモ】病と障害と、傍にあった本ーこのどうしようもない「積読メーカー」ー
Facebookというものは、それだけでかなりの「積読メーカー」だ。つまり、いい本の紹介が流れてくる上に、スマホで眺めていることが多いのでそのままぽちってしまうので、気がついたら家の中は新着の本だらけになる。最近、活字中毒が深刻さを深めているので、相当気をつけないと月末のカードの請求が本代で ( ゚Д゚) ということも。
なのに、こんな本が。。
何がヤバいって、「病」や「障害」の当事者だったり
【読書メモ】HIV/AIDSソーシャルワーク
こんな社会情勢なので、「感染症つながり」でこんな本を読んでみた。
そもそも、「権利擁護」と名の付く本を漁っていた中で、本書の編著者である小西加保留先生の「ソーシャルワークとアドボカシー」を手にしたことがきっかけで本書を知った。法学で「権利擁護」というと、必ず成年後見制度を通してしか扱われないところ、「ソーシャルワークとアドボカシー」は、HIV/AIDS支援を端緒とした考察となっていた点に非常に興
【読書メモ】高齢者のための法的支援
この連休前に、初めて参加したZoom勉強会で紹介されていた本。
全人口の28%を65歳以上が占める中、これまで司法アクセス研究において焦点をあてられることが少なかった「高齢者」という属性に焦点をあてた法社会学の研究である。何より注目したのは、その研究対象である。高齢者の司法アクセスを分析するため、「高齢者」「法専門家」に加え、「行政・福祉関係機関」の三者を対象としたアンケート及びインタビュー調査
【読書メモ】だからもう、眠らせてほしい
緩和ケアと安楽死と
「だらかもう、眠らせてほしい」
私が平日の毎朝6時30分頃に必ず考えていることだが、当然、そういう意味ではない。
本書は、川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンターの腫瘍内科/緩和ケア内科医長をされている西智弘先生が、先生のもとを訪れた2人の末期のがん患者ーひとりは出会いから安楽死を望み、緩和ケア病棟で眠りながら最期を迎えた吉田ユカ、もうひとりは最初は『もう無理、ってなった
【読書メモ】在野研究ビギナーズ
ここ数年、私は自分がどういう方向に行ったらいいのかよくわからない(いや、「ウソつけ」とかいろいろツッコミが聞こえてきそうだけど)。ただなんとなく、弁護士で公務員になって対人援助の部署ばっかりぐるぐるしているという、他にそんなにたくさんの人が経験したわけではない仕事から見えているものを形にして伝えたい、という気持ちはなくはない。これを指して「研究」と呼べるのかどうかはさておき、どう具体化するかが全然
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