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谷郁雄の詩のノート9

少しだけ暑さが和らいできたような気がします。夏の終盤に鳴き始めるツクツクボウシの声が木の上から聞こえてくる今日この頃。やっと気持ちにゆとりが生まれてきました。さて、今回は、高円寺駅前で撮った写真と3つの詩を投稿しました。皆さんに楽しんでいただけるといいのですが。感想やコメントを寄せていただけると嬉しいです。スキやフォローも大歓迎です! では皆さん、すてきな一日をお過ごしください。(詩集「詩を読みたくなる日」も読んでいただけると嬉しいです)


「国旗」

戦争は
遠い他国の出来事
けれど それは
たまたま
そうだっただけ

君の暮らす
平和な国が
戦場だった
こともある

それも
たまたま
そうだっただけ

そのときも
太陽は輝き
青空さえ
広がっていた

平和な国の
一日と
同じように

国旗が
風にはためいて


「花」

鳥のウンコに
隠れていた
花のタネ

ウンコの中から
芽を出して
緑の茎のてっぺんで
黄色い小さな花を
咲かせています

そして
空を見上げて
思い出しています

鳥に食べられ
知らない街へと
運ばれてきた
一生一度の
大冒険の日のことを


「好きなバンド」

たくさんの
制限の中で
生きること

義務や
役割や
約束に
縛られる毎日

ときどき
疲れて
人間を
脱ぎ捨てて
木とか草とかに
なりたいと思うときがある

人間とは
何ですかと
神様に聞きたい

でも
ほんとの答えは
好きなバンドの
歌の中に
あるような気がする


©Ikuo  Tani  2022


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