谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青…

谷郁雄

詩人。同志社大学在学中から詩作を始め、これまで40冊ほどの詩集を刊行。ホンマタカシ、青山裕企、リリー・フランキー、尾崎世界観、吉本ばななさんとのコラボ詩集なども多数ある。作品はさまざまな合唱曲になったり、中学校の教科書にも掲載されている。詩集『詩を読みたくなる日』他多数。

最近の記事

谷郁雄の詩のノート56

高円寺の駅前でパレスチナの人々の死を悼む街頭イベントをやっていました。見ると、赤い絵の具で描かれた「血の涙」でした。通りかかった人たちが手渡された筆を手に持ち、赤い「血の涙」を描いていました。写真を撮らせてもらったあとで、ぼくも「血の涙」を一つ描き加えました。争いの理由は複雑すぎて、けれど結果はいつも人々の犠牲です。どの涙がぼくの涙か、やがて誰にも分からなくなるでしょう。 「せんたくもの」 パンツとか Tシャツとか タオルとか ブラとか くつしたとか せんたくものは け

    • 谷郁雄の詩のノート55

      高円寺の名物イベントの阿波おどり。今年もまた、その日がやってきました。これから3日間、高円寺は1年でいちばん賑やかな時を迎えます。駅の北口にはたくさんの提灯をぶらさげた舞台が設営されていました。その祭りが始まる前の、まだ静かな駅前風景を思い出に1枚。「つぎのnoteの写真はこれで決まりだな」と心の中で呟きながら。インスタにも同じ日の別の写真を投稿しました✨ 「坂道」 一人で上る 坂道は 長くて きつい けれど そうじゃない 日もある 幸運が 微笑みかける日 いつもの

      • 谷郁雄の詩のノート54

        先日、高円寺の駅頭でもらったUFOのチラシ。テイッシュがセットになっていました。チラシの表側には「UFOには愛がある」という言葉が印刷され、裏側には「地球人は実験室で創られた!」という言葉。この日はUFOのイベントがあったらしく、チラシはその宣伝でした。空を見上げたらUFOも浮かんでいたかもしれません。人間界は何でもあり。高円寺は楽しい街です。noteは無料公開しているので、詩集を買っていただけると嬉しいです! 「赤ちゃん」 今朝は 女性の運転士さん だから なのか

        • 谷郁雄の詩のノート53

          先日、駅の券売機でSuicaのチャージをしたとき、おつりの中に新札の千円札が2枚混じっていました。以前のお札よりデザインがすっきりしている印象です。新たなお札の顔は北里柴三郎博士。なかなか立派な顔立ちです。でもなあ~もっと面白い人がいるだろう、たとえば漫画家の楳図かずおさんとか。そんな思いから生まれたのが「新札」という詩。もう一つの詩は、最近くよくよしがちな自分を叱咤激励するために書いた詩。では、皆様、「やったー」がたくさんある楽しい日々を! インスタも見てね! 「新札」

        谷郁雄の詩のノート56

          谷郁雄の詩のノート52

          先日、都知事選の投票に出かけたとき、投票場になっていた小学校のフェンスに見つけた「えがお」の3文字。こういうの、学校にはよくありますね。このとなりには「あいさつ」ということばもありました。学校って、昔からちっとも変わりません。大人が変わらないのです。「好きに生きなさい」とか「恋をしよう」とかあると、自然に「えがお」になれるのに。小池百合子さんの時代がしばらく続きそうです。ずっと昔、アナウンサー時代の小池さんにあげたぼくの第一詩集、まだ持っているだろうか? 「日傘」 コレ

          谷郁雄の詩のノート52

          谷郁雄の詩のノート51

          仕事が終わり、高円寺駅のホームで電車を待っていたぼくの目の前に、ふくよかな背中に「世界地図」のタトゥーを彫り込んだ女性がいました。めったに見られないタトゥーなので記念に一枚。この「世界地図」には日本は描かれていないようです。残念。でも、素敵なタトゥーでした。さて、29日夜の詩のイベント「Poetry Hour ポエ泡」が間近。ぜひ遊びにいらしてください。「文喫 六本木」のイベント情報をチェック願います。 「片思い」 おやおや そうとは 知らなかったよ 君の 片思いの

          谷郁雄の詩のノート51

          谷郁雄の詩のノート50

          高円寺の氷川神社は天気の神様としても知られています。結婚式とか、デートとか、イベントの日の晴天を願う人たちが訪れ、願い事を書いた絵馬を吊るしていきます。氷川神社の絵馬は、お天気を占う下駄の形をしています。「脱!雨女」の絵馬が気に入って写真に収めました。梅雨の季節、氷川神社の絵馬はますます人気が出そうです。イベントのお知らせです。6月29日夜に六本木の書店「文喫」にてトークと詩の朗読を行ないます。まもなく予約が始まるようです。お時間あれば、ぜひ! 「絵馬」 さまざまな 願い

          谷郁雄の詩のノート50

          谷郁雄の詩のノート49

          高円寺の駅前に活気のある八百屋さんがあります。ときどき、そのお店の前を通ります。何も買わないのですが、店先に並べられた季節ごとの果物や野菜を眺めるのが好きです。なんだか元気が出ます。先日は美味しそうなスイカを発見。もう夏なんですね。皆さん、もうスイカを食べましたか? インスタにも詩を投稿中です。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「おつかれさま」 道具も 人も 使い捨て 人は 道具じゃないのに 心を 持っているのに 愛された 思い出もあるのに たった一言 一

          谷郁雄の詩のノート49

          谷郁雄の詩のノート48

          一年のうちでいちばん好きな月が五月です。仕事に行く途中や散歩の途中で見かける若葉の美しさは格別です。特別なことがない日々でも、心が高揚します。写真は、高円寺にある高円寺というお寺の駐車場で缶コーヒーを飲みながら見上げたときの、一枚。皆さんも五月を堪能してください。インスタもときどき投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「つづれ織り」 人生は ゲームさと 言う人もいる 人生は 旅さと 言う人もいる 人生は 問いさと 言う人もいる 人生は 忍耐さと 言う人も

          谷郁雄の詩のノート48

          谷郁雄の詩のノート47

          高円寺駅構内に花屋さんがあります。花屋さんは2カ所にあるのですが、いつも季節やイベントに合わせた色とりどりの花が並びます。この日はちょうど母の日のプレゼント用のアジサイなどが並べられていました。そうか、もうすぐ母の日だったな。遠くで暮らす93歳の母の顔を思い浮かべました。父はとっくに亡くなったのに、母は令和のいまも生き続けています。どうせなら、100歳まで生きてほしいと思います。花もいいのですが、ぼくはこの季節にしか見られない木々の若葉の輝きを愛しています。インスタもやってま

          谷郁雄の詩のノート47

          谷郁雄の詩のノート46

          街は日々めまぐるしく変わり続けます。なじみの店が閉店してしまったり、新しい店がオープンしたりと、いつもどこかで工事中。街も細胞分裂をくり返しながら生きているのですね。そんな中、高円寺の高架下では、讃岐うどんの店がオープンの準備を進めています。やったー! うどん好きのぼくは、嬉しくて、ニヤニヤしてしまいました。オープンの日のランチはうどんに決まりです。うどんをすする自分を思い浮かべながら、回転寿司へと向かいます。インスタものぞいてみてください。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発

          谷郁雄の詩のノート46

          谷郁雄の詩のノート45

          ぼくも詩を書く人間なので「詩」という言葉を見ると、ふと足を止め、しばし見入ってしまいます。ここは何のお店だと思いますか? なんと、お米屋さんでした。ご主人はヴェンダースの映画が好きなのかもしれません。「ベルリン 天使の詩」からヒントを得たのでしょうか。あの映画の原題は「ベルリンの上の空」です。ぼくは元のタイトルのほうが素敵だと思います。インスタもぼちぼちやってます。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中) 「ナルコユリ」 細胞分裂 くり返し ぐんぐん 成長中の ナルコユリ

          谷郁雄の詩のノート45

          谷郁雄の詩のノート44

          先日の風の強い日に、ランチに行こうと、高円寺駅の高架下を歩いていたら、この赤いマフラーが目にとまりました。 誰か(女性)が落としていったマフラーを別の誰かが見つけて、このガードパイプに結び付けておいたのでしょう。ぼくにはそれが、たまたま結ばれた人の縁として心に映りました。マフラーがどうなったのかは知りません。春になり、マフラーの出番はなくなります。この日の出来事も、ぼくの中では、淡い色の思い出になりつつあります。インスタでも写真と詩を投稿中。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好

          谷郁雄の詩のノート44

          谷郁雄の詩のノート43

          小さな手作りのぬいぐるみをリュックにたくさんぶら下げた女子高生をよく見かけます。お守りなのか、おまじないなのか、ただの友だちなのか、よく分かりません。心の中で笑ってしまいます。女子高生は面白いいきものだと思います。柔らかな心をもって生きているようです。前回お知らせしましたが、インスタもはじめました。ぼちぼち投稿していきますので、ぼちぼちのぞきに来てください。プロフィールのインスタのアイコンから入れます。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「やさしさのリレー」 誰

          谷郁雄の詩のノート43

          谷郁雄の詩のノート42

          ある日、高円寺の裏通りで見つけた真っ赤なステッカー。えっ、パンクロッカーのための労働組合があんの? しばし、その場で感動。証拠写真を撮っとかないと。でも、あとからネット検索したら、パンクバンドの名前だと判明。かなり過激なバンドらしく、おもに高円寺を拠点に活動中とか。いかにも高円寺らしいステッカーでした。最近は、花粉症で頭がぼんやりして詩が書けずにいましたが、なんとか2つ絞り出しました。高円寺の詩もあります。instagramのアカウントも作りましたが、たぶん、何もしないと思い

          谷郁雄の詩のノート42

          谷郁雄の詩のノート41

          近所のスーパーの花のコーナーで撮影した1枚。この日が「愛妻の日」に指定されてしまったのは、いつのことだったのでしょう。いろんなことが、勝手に決められていくのは腑に落ちません。「愛妻の日」とやらがめぐってくるたびに、ぼくはまた一つ齢をとります。こうして年輪を重ねていきます。愚かなままで。郁雄くん、誕生日おめでとう🎉(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中) 「バイバイ」 母が 病室を出るとき 父はバイバイと 手をふっていたという そのあと 父は 独りで死んだ バイバイ

          谷郁雄の詩のノート41