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谷郁雄の詩のノート49

高円寺の駅前に活気のある八百屋さんがあります。ときどき、そのお店の前を通ります。何も買わないのですが、店先に並べられた季節ごとの果物や野菜を眺めるのが好きです。なんだか元気が出ます。先日は美味しそうなスイカを発見。もう夏なんですね。皆さん、もうスイカを食べましたか? インスタにも詩を投稿中です。(詩集「詩を読みたくなる日」他、発売中)



「おつかれさま」

道具も
人も
使い捨て

人は
道具じゃないのに

心を
持っているのに

愛された
思い出もあるのに

たった一言
一日の終わりに
おつかれさまと
言ってほしいだけなのに



「となりに」

見ているようで
見ていない
聞いていても
聞いていない
さわれるのに
さわろうとしない

ああ
そうだったなと
気づく日が
来るといい

その日が
今日だと
もっといい

あなたの
となりに
誰がいますか?



「ポケットティッシュ」

坂道の
てっぺんとか
道の
曲がり角とか
駅の
トイレの中とか
公園の
ブランコの上とかで

悲しみに
出会って
しまったとき

サガンの
遺してくれた
素敵な
挨拶の言葉を
思い出してほしい

 悲しみよ
 こんにちは

念のため
ポケットティッシュも
持って出かけよう

©Ikuo  Tani  2024


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