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【琵琶湖キャンプ】悲しみを抱えながらも、こんなに笑える

定番となった琵琶湖キャンプ。
新たに手に入れた悲しみは自宅に持ち帰りたくない。だから琵琶湖に置きに行く。また明日から日常に戻るために、実態のない悲しみという感情を物理的に置いてきたのだというイメージを頭の中に作る。いつか悲しいことがなくなると祈ってこの習慣を続けている。

↓少し前にも来ていた。

悲しみや靄を抱えると無性に散財したくなる。とはいえ、それほど裕福なわけではない。だから、友人とアウトドアショップで待ち合わせ、お買い物をそそのかす。人が買い物をしている様を眺めるだけでもその欲は晴れる。私はナイフと手袋を買い、5千円ほどつかった。友人はランタンとランタンオイルとバーナーとOD缶燃料とシェラカップを買った。私の倍額をゆうに超えている。店員の方が金額を読み上げる声が美しい旋律のように私の鼓膜を振るわせ、すーっと悲しみの濃度が薄れていった。

5年は食べていないであろう銀だこ。最高。

ランチはショッピングモール内のフードコートで見つけた銀だこ。
ラジオで銀だこの話を聴いていたので、ここ数週間脳の一部が銀だこに置き換わっていた。てりたま的なヤツとおろしつゆにつけるヤツを頼みシェアする。たまらなくおいしい。

もう見慣れたけど特別な風景。
ダンシングフレイムというそそる名前の安ワイン。

買い出しを終えた時点でもうクタクタだった。これでは足りないのではという不安と買いすぎても使いきれないという不安の間に立たされながらの食材買い出しは頭を使うし結構疲れる。今回は事前にメニューも決めていなかったので、よりくたびれてしまった。

結局、分かってはいたことだが食材をたんまり携えていつもどおり湖岸緑地に向かう。足りないよりはめっちゃ食うを選ぶのだ。
いつも強風が吹き荒ぶ場所なので、極寒を心配していたが、風はなく、思いの外あたたかい。どんより体が重いもののなんとか設営を終え、早々に夜をはじめる。


友人のランタンに火を入れる。羨ましい。
優しい明かりに照らされて、ただの空き地が、キャンプらしい雰囲気に包まれていく。早々に日が傾きはじめ、対岸に見える建物の輪郭が闇に飲み込まれていく。気づけばもう夜だ。慌ててプルタブをプシュッと起こした。

かぶとマッシュ。シンプルにオリーブオイルと塩で。
惣菜たち。作らなくても十分しあわせだ。

前夜から自家製塩麹ににんじんときゅうりを漬け込んでおいた。しかし、保冷剤のパワーが強すぎて凍ってしまった。それでも味はシンプルにうまく、突き出しとしては悪くない。(写真消えた・・・)

惣菜の焼き鳥やレンコンサラダ、イカの唐揚げを皿に盛る。今日は料理は頑張りすぎない。寒いことを想定して、シチューを作ることにした。今日はそれだけ。イチからではなく、ルゥで作る。

かぶ、たまねぎ、マッシュルーム、ヤングコーン、シャウエッセンなどを切り揃える。心が少しでも踊ればと微妙に王道ではない食材を選んだ。新たなナイフがうれしい。マッシュルームを切るのがたのしい。ただそれだけのことでふっと心が軽くなる。

ヤングコーン。たまに食べたくなるな。

鍋を焚き火にかけ、具材を炒めていく。焚き火も友人がおこしてくれた。この間まで何もできなかったのに、もうすっかりキャンパーだ。ソロキャンプデビューも果たした彼に色々なことを任せられるので、キャンプが大幅に楽になった。

1袋ギリギリのるセリア鉄板。なんだか好き。

シチューに入りきらなかったシャウエッセンをセリアのミニ鉄板で焼く。正直これが何よりもうまい。最高の食べ物である。

マッシュルームやカブもオリーブオイルと塩で焼いていく。ヤングコーンは山椒醤油をひと垂らし。こういうシンプルがうまいんだ。

焚き火シチュー。まずいはずがない。

シチューもできた。とろりとしていてとってもおいしい。ちょっと寒さが足りないのが逆に残念だ。

友人作の油揚げピザ。トマトソースなどもないシンプルさ。

今回は友人に1品任せた。たまねぎみじん切りとさくらえびとチーズをのせたピザ風油揚げ。シンプルながら不思議な味わいでなかなかいける。

何をするでもない。食べては飲み、ポツポツとしゃべり、対岸の夜景や星を眺める。そんなこんなであっという間に夜は終わる。


翌朝は6時半頃に目覚めた。
朝はバゲットホットサンド。シンプルにチーズとハムとたまねぎを挟んで焼いただけ。それに久世福商店のフリーズドライ味噌汁と、昨夜の余ったタマネギとマッシュルームで作ったスープの2汁を堪能した。

超シンプル。潔いおいしさだ。
久世福あおさ味噌汁。とってもおいしかった。
こんなの。

次の目的があるので早々に片付けを行い、キャンプ地を後にした。冬はテントの結露が乾かないのが難点だ。


キャンプも大きな目的のひとつではあるが、鯉を釣り上げるのもまた今回の大きな目的だった。

前回は釣り堀なのにまさかのボウズ。かなり情けない結果だったのだ。釣り上げて片付けない限り前に進めない。

前回に続き、南郷水産センターを訪れる。

必ず釣り上げてやるよ。

まずは麩棒を購入し、巨鯉にやる。バキボキと鯉に麩棒を齧られた時、人はどんな顔をするか知っているだろうか。それも何もかもが順風満帆ではない、燻っている人間が。人付き合いが苦手で職場に馴染めない人間が。それがこちらだ。

もはやトイストーリーのようだ。

いかがだろうか?
とってもうれしそうだろう?人は燻っていたって、悲しみを抱えていたって、こんなに喜べるのである。辛いことがあるから笑えないということはない。別ベクトルで楽しがれる。こんなにガッツリ顔出しなんてするつもりはなかったのに・・・。もしかしたらこの喜びようをみてクスリと笑ってくれる人がいるのではと思い、のせてしまった。

そしてこんな喜んでいる瞬間をとらえてくれた友人に感謝する。落ち込む時もあるけれど、まだまだ楽勝で笑えるということがガッツリ証明されてしまった。

魚との触れ合いはいつだって不意を突かれるから、瞬発的に楽しい、嬉しいという感情が引き出されてしまう。だから、なんだか気持ちがしんどい人は釣り堀にでも出かけて欲しい。楽しい、うれしいという感情を呼び起こすきっかけになるかもしれない。

ガッツリ感情を引き出されたあとの鯉釣りがこちらだ。

躍動感あふれる鯉。

釣れた。前回のボウズが嘘のようにあっさり釣れた。うれしい。
うれしさの頂点に達すると人は踊り出す。

完全なるカンナム感。2匹釣れた。

見よ、この躍動感を。踊るように喜んでいる。
鯉のにゅるりとしたぬめりも謎の泡立ちももはや些末なことに過ぎない。とにかくうれしいのである。嵐のように喜んで鯉を池に返す。

友人も2匹釣り上げた。
どうしても釣れた時の喜びを知って欲しかったのだが、喜んでくれたようだ。私のように持ち上げたところの写真を撮りたかったのだが、はじめての鯉にびびって持ち上げられず「うわぁ」と言って池にとぽんと返してしまった。それでいい。しっかり動画にとらえた。シンプルだけどとっても面白い動画が撮れた。思わず別の友人に送ってしまった。

もうすっかり胸がいっぱいになって、南郷水産センターを後にする。練り餌と鯉と炭の入り混じった奇抜な香りを洗い流すために、「水春」へ向かう。

洗っても洗っても手の臭いは取れやしない。それが何より釣りを楽しんだことの証拠だ。


自分が楽しみたいのもそうだが、この琵琶湖キャンプは友人の感性に響く体験をお見舞いしたいというおせっかいな裏テーマを掲げている。

キャンプ、鯉と来て、いきなり急ハンドル。突如アートを目指す。

その前にランチだ。
焚き火中に発見して、どうにも頭から離れなかった狸建物のうどん屋。

ビッグな狸。
ほっぺたのわさびがなんともかわいらしい。

狸の器にうどんが盛られている。ひねくれた独特の感性を持っている風を装っている私だが、ただそれだけの事実で口角が少し上がるくらいピュアなのだ。見掛け倒しでなく、しっかりコシがあって、甘辛いタレが絡んでおいしい。朝から釣りもしてくたびれていたし、日に焼けて、なんだか冷たいものがほしかった。冷たいうどんがなんの引っ掛かりもなく胃に飛び込んできた。


本当は私が今まで食べたスイーツの中で一番おいしいと思っているチーズケーキも食べたかった。が、残念ながら定休日。またの機会に。楽しみがまだ残っているのがうれしい。

MIHO MUSEUMにやってきた。
ここは展示は像などで正直なんのこっちゃなのだが、森に囲まれた環境と建築の美しさに惹かれて結構気に入っているスポットだ。といいつつ8年ぶりとかそんなレベルの再訪だが。

紅葉もきれいだな。
私たちの未来のように光輝くトンネル出口。

車を駐車場に止め、降り立った瞬間からどこか静謐な空気が漂っている。寒さもあるかもしれないが、ピンと張り詰めた感じで、身を置いているだけでなんだかしゃんとする。

有名なトンネルなどを写真を撮りながら歩き、もう満足していたが、展示もしっかりすべてみる。しかしさすがに疲れた・・・帰ろう。

帰りは3時間の道のりである。なんだかやる気の湧いてきた私はAudibleで「嫌われる勇気」を聴きながら帰り、しっかり旅運に嫌われて渋滞に巻き込まれるのであった。

帰宅後は、鬼汚れた食器やクッカー類を根性で磨き上げ、ぐうすかと眠った。

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