見出し画像

腹を立てるだけ損!他人に期待するのをやめましょう

第1章 ビジネス現場は精神科病棟!?

 この記事は、ビジネススキルの中でも「ヒューマンスキル(対人関係能力)」に注目してお話いたします。怒りの感情について、精神科の看護師さんが扱いが上手、というお話です。

1. アンガーマネジメントとよく言うけれど

 対人関係、難しいですよね。特に、怒ってばかりいる人、昨今では良い印象が持たれません。パワハラに繋がりかねない、怒っているだけで何も解決していない、など。

 そこでアンガーマネジメントやアンガーコントロールをしましょう、とよく言われます。科学的に6秒待ってみると怒りが去っていくから、実践してみましょう、など。

 だけど、6秒待つばかりじゃあ、あんまり気持ち的にスッキリしない方もいらっしゃるのではないでしょうか?もっと画期的な方法はないの?って。

 では、ひとつ提案させていただいてもよろしいですか?…ありがとうございます。そもそも怒ることがなかったら、楽じゃありませんか?私だったら、楽で嬉しいです。実際、精神科に入院した時、腹が立って立ってどうしようもない時、ありましたもん。…えっ?どういうこと?

 これからのお話は、会社の現場でのお話ではありません。私が、精神科病院に入院した際のお話です。えっ?どういうこと?仕事で役立つと思ってこの記事を手に取ってみたのに…。戸惑うのも無理はありません。まずは一旦落ち着いて、次で詳しくお話させてください。

2. 精神科に入院している人がビジネス部門で語るワケ

 改めまして、こんにちは。この記事を手に取ってくださり、ありがとうございます。私はたななこんぶ/発達障害ASDと申します。

 なんだ、障害のある人か。まあまあ、待ってください。大卒の就活もやり、無職にもなり、一般企業への就職も経験しました。もっと言えば、その後障害者雇用枠で働かせていただきました。経験は20代後半にしていろいろしてきたつもりです。

 その間、今の精神科病院へ通うことになり、正式に発達障害ASD(自閉症スペクトラム、広汎性発達障害)と診断が下りたものですから、きちんとお伝えした方が良いと考えたわけです。

 いや、お伝えしないとお話が進みませんね笑先ほどからの疑問にお答えしなければなりません。正式に発達障害とわかってから、通算7回、通っている精神科病院に入院しました。理由は、生きづらさから自暴自棄に何度かなったためです。

 でも、無駄な時間・経験を積み重ねてきたとは思っていません。回を重ねるごとに、入院の目的・意義を明確にして毎日トレーニングのように生活してきました。例えば。1回目の入院の時はビビりすぎて「わけわかんない!」のまま、早く退院しなきゃ、とただ焦っているだけでした。7回目の時は、1か月後に退院できるように、主治医の先生の変更というイベント事に戸惑いをなくす、と宣言し、1か月半で退院しました。

 7回も入院生活をしていると、それなりに気づくものがあります。それは、精神科の入院生活=社会の縮図です。相部屋の人に迷惑かけないようにする、逆に迷惑をかけられてフラストレーションが溜まる、それに対応できる方法はないか考える…とか。気の合う看護師さんもいれば、合わない看護師さんもいる、じゃあ合わない看護師さんが出勤の時、どうやって過ごそうか?とか。いろいろあるんですよ。

 精神科で入院して、ある程度入院目的が達成できたら、一般社会へ戻ります。言い換えれば、一般社会の練習場所として精神科への入院があります。…一般社会で四苦八苦している方が本を読んで適応しようとするのと、一般社会への適応がすんなりいかなくて入院する。なんだか似ていませんか?本を読んで適応する方を独学型とすれば、入院して適応する方は合宿型と言えそうではないですか?合宿型にはコーチがいて、それは看護師さんです。

 私は入院中、看護師さんからたくさんのアドバイスをいただいてきました。本で読むより、うんとわかりやすいこともありました。それが世間一般の人には知られていないこと、そもそも精神科の看護師さんが世間一般には縁のないことだとされていること、もったいないと思っています。だから、精神科の看護師さんがヒューマンスキル、特に怒りの扱い方について詳しいよと知っていただけたらと思い、書くことにしました。これが疑問に対する答えです。

 次は、精神科の看護師さんが自分の感情の扱い方を訓練して身につけていることについて、お話させていただきます。

3. 精神科の看護師さんはビジネスのプロ

 私が入院してきた病棟は、閉鎖病棟と言って、そのフロアの玄関口が施錠されており、看護師さんが鍵を開けてくれないと出入りできない病棟でした。(閉鎖病棟は珍しいものではなく、精神科ではあるあるです。)つまり、他の診療科よりも、患者と看護師の関係性が近いといえます。人にもよりますが、患者さんと看護師さんでよくお話します。

 精神科の患者さんは入院していますから、気持ちになんらかの波があったりします。看護師さん(あるいは他の患者さん)へ向かって怒る人、悲しくてつらくて泣く人、調子が良くて笑顔の人、さまざまです。その日の様子をチェックしてくれているのが、精神科の看護師さんです。

 そんな感情バラエティ豊かな人々をコーチする役目を看護師さんは時として担います。つまり、時にはその患者さんのためを思って厳しいことを伝えなくてはならない係でもあります。会社に置き換えてみましょう。看護師さんは言うまでもなく上司患者さんは新入社員です。

 精神科看護師という上司には、さらなる条件が加わります。それは、どんなに自分が疲れていてイライラしていても、それを患者にぶつけてはならない、という条件です。50回に1回くらいは人間ですから人間味ある行動を見せるかも知れませんが、基本、平静を保って中立でいなければならない立場です。たとえ理不尽な言葉を言われたり、行動を示されたりしたとしてもです。(深夜明けに「眠いわ笑」と漏らすぐらいは患者も共感していいと思います。)

 つまり、精神科病棟の看護師さんは、ストレスフルな環境にいたとしても、自力で対応するスキルが求められており、日々実践されておられる方々です。ちょっとやそっとで怒ったり泣いたりしていては仕事になりません。そういう意味で、精神科病棟の看護師さんは、広義のビジネスのプロといえるでしょう。狭義で言えば、ヒューマンスキル(対人関係能力)が高いということです。

 そんな精神科病棟の看護師さんとコミュニケーションをとる中で学んだことを、次章からお話させていただきます。

第2章 上手い立ち振る舞い方

 精神科病棟の看護師さんと一口に言っても男性/女性、ガッチリ体型/ヒョロヒョロ体型、謎に満ちた人、など、いろんな方がいらっしゃいます。その中から強調すれば、「この人なら信頼できる」と尊敬できる看護師さんもいらっしゃったのも事実です。この章は、そんな看護師さんたちと私のやりとり集です。

1. 「感情がたかぶっている時は話を聴きません」

 偶然かどうかはわかりませんが、男性看護師Iさんと女性看護師Oさんは同じことを私に話してくれました。ずばり、「怒っていようと泣いていようと、その時は俺(私)は話し相手になりません。」です。理由は簡単、「話にならないから」。

 看護師さんが解決策を提案したところで、患者さんが逆上したり、余計に喚いたりするだけ。問題解決にはなりません。

 それに、そこは入院生活の場。他にも患者さんがいて、何かしら影響を与えてしまい、不調になる人続出の可能性が大です。

 「感情がたかぶっている時は話を聴きません」は、まわりの人を考慮した考え方、ひいては自分のためになる考え方、だと捉えています。つまり、巡り巡って自分に損または得が返ってくる、ということです。

2. 「省エネ運転でいきましょう」

 続いて、女性看護師Nさんは、近くで見たらポーカーフェイスの人、と多くの患者さんが思うはずです。それもそのはず、Nさん本人が食べることと寝ること以外、注視していないと(私に)公言しているくらいだからです。

 私が看護師Nさんに「〜でイライラしている」と相談に行くと、「イライラするだけ無駄なエネルギーを消費してもったいないですよ」と言われました。続けて「省エネ運転でいきましょう、省エネ。」とも。

 「省エネ運転でいきましょう」は、怒ることを自分から放棄する、わかりやすい合言葉です。怒っても疲れるだけです。

3. 「他人に期待するのをやめましょう」

 最後に、M看護師長から頂戴した言葉です。あなたならわかるよね?と前置きした上で、紙に「他人に期待するのをやめましょう」と書いてくれました。

 前置きの意味は、信頼できる人には時々期待してしまう時もあるかもしれないけど、それに値しない人に期待するのはもったいないよ、と書くのは長いので、キャッチーな言葉にしたからね、ということです。

 書いていただく以前から言われていたことは、「他人を変えることはできない」。変えられるのは、自分だけだから、じゃあ、どう動く?という思考を私はインストールしました。

 「他人に期待するのをやめましょう」は、相手にこうしてほしい、ああしてほしいとこちらから勝手に要求して、そのお返しがないためにへこむことを避ける言葉、と考えています。

第3章 職場で腹が立ったら

 最後に、精神科病棟の看護師さんとのやりとりから得たものを、会社勤めに置き換える作業をします。

1. 私の一般企業で働いていた時と照らし合わせて

 一般企業で勤めていた頃というのは、大学の一部署で事務補助をしていました。先生方の会計処理をすることが多く、先生ごとに、処理方法の好みがあり、別々で覚えなければなりませんでした。中には、あまり接点を持ちたくないという先生もいらっしゃり、覚えられない頃は大変不快な気持ちにさせられたものです。

 この例を、第2章に当てはめてみましょう。まずは、腹が立っているのに、上司にその先生の不満を言いに行くのは違うことがわかります。下手したら、私が感情的になっていることをマイナス評価されるかも知れません。

 次に、そもそも「腹を立てるのにはエネルギーを消費する」ことを忘れてはなりません。疲れて他にやらなければならない仕事が手につかなくなったり、残業になったりしたら、コスパ・タイバが悪いです。

 最後に、私の考えをその先生に押し付けているから、腹が立ってしんどくなることに気付けるかどうかもポイントです。その先生の会計処理方法は変わりません。その先生と会うたびに腹を立てていては精神衛生上良くないのは目に見えています。

2. 腹を立てる前で手を打つこと

 巷で言われていることは、腹が立った時にどうするか、が多いです。そりゃあ人間ですから、腹が立たないことをゼロにするわけにはいきません。

 しかしながら、精神科の看護師さんの実践を見てみると、腹を立てる回数を減らしているのも感じ取れる内容でした。ポイントは、「腹を立てる前に手を打つこと」。腹が立ってからどうする以前に、腹を立てていること自体にデメリットがあります。疲れること、無駄な時間やエネルギーを使うこと、まわりに悪影響を及ぼしそれが自分に返ってくること、です。

 もし、あなたがよく腹を立ててしんどい思いをしたり、後悔したりしているのならば、一度精神科病棟の看護師さんを先生に見習ってはいかがでしょうか?「近くにいないよー」が会社勤めの方だと思うので、代わりに書いてみました。この文章が、精神科病棟の看護師さんのような役目をもち、お悩みの手助けになれるほど嬉しいことはありません。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




#創作大賞2024 #ビジネス部門

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?