本当はおめでとうと言いたい。
パーキンソン病の母と 虐待されていた私が 一緒に暮らすということ
#11 賄賂
こういう可愛くないところが母に嫌われるの要因なのだろうな、と思いながら手渡したプレゼント。
母も母で「…ふーん」。
誕生日を祝い合う。
私が実家を離れていた間、妹家族と楽しくやっていたという話を耳にする度に、私の心は掻き毟られてきました。嫉妬と憎悪と寂しさに悔しさ。醜い感情しか出てきません。
しかしそれでも、今回私は母にプレゼントを贈りました。
↓ 私が妹家族に複雑な感情を持つ理由・・・
一緒に暮らしている母と私。そして、その母の誕生日。
つまり、”子が母にプレゼントを贈る”という親子らしいことができるチャンスの到来という訳です。
しかし残念ながら私は現在収入ゼロ。大したものこそ買えませんが、それでもこの機会を無駄にはしないと、勇気を出すことにしました。
…というのは建前で、本音は、母にプレゼントを贈りさえすれば、”私も家族の一員である”という印象を植え付けられるかもしれないという思惑あってのことでした。仲間外れはもう結構。プレゼントを渡さなければ、今以上に冷遇されるに違いありません。
つまり、今回の誕生日プレゼントは私からの”賄賂”なのです。
そんな複雑な思い持ってスタートした、プレゼント選び。
それでも、「せっかく渡すのなら、喜ばれるものを」と、楽天、Amazonと見漁るのですが、一向に閃きません。
後期高齢者、しかも運動機能に難のあるパーキンソン患者が使えて、かつ貰って嬉しいと思える品物…。
むむぅと悩む私。
ついつい溢れる溜め息に重なるように、母の声が飛び込んできます。「ちょっと来てー!」脳内スクリーンに不機嫌な母の顔が表示されます。
「私は何してるんだろう…」と急速に萎えていく私の心。
「どうせ無意味。こんなことしたって…」
プレゼント探しはちっとも捗りません。
母に贈るプレゼントを見つけたのは、日用品の買い出しをするついでにショッピングモールを巡っていた時でした。
誕生日はすでに目前。しかも母は家で留守番中。
選んだ商品を店員に渡しラッピング見本を指差して、誕生日プレゼントにしたい旨を伝えます。
「母に、渡すんです」
尋ねられた訳でもないのに、余計なことを言ってしまいました。
バースデー用の飾りがついた紙袋は想像以上に大きくて重たくて、ショッピングモールの長い通路を歩くには、中々にこっぱずかしいものがありました。
帰路につき、母に見つからないように気を付けながら、自分の部屋に運び込んで
ようやく一息。どっと力が抜けます。
本当に買ってしまったという後悔と、無事に用意できたという安堵と、私からのプレゼントでも喜んでくれるのだろうかという不安。
綺麗な紙袋を目の前にして、ひっちゃかめっちゃかな私の心。しかし、その心の奥底、ほんの僅かですが、「楽しみな気持ち」も混じっていたように思います。
後はマンガで描いた通りです。
ツンデレ台詞を添えて母に渡しました。
母は、私がプレゼントを用意していたとは思っていなかったようで、唖然としていました。私以上にリアクションに困っていたのかもしれません。
でも最後の最後にボソリとひと言、私は聞き逃しませんでした。
「ありがと」
賄賂の効果はあったのかもしれません。
「パーキンソン病の母と 虐待されていた私が 一緒に暮らすということ」今回で11話目です。
始めた当初は、どこまでやれるか不安しかありませんでしたが、何とかここまで投稿し続けることができました。
マガジンの使い方がイマイチわかっていないのですが、#1〜10 をまとめてみました。よければご覧ください!
まだもう少しだけストックがありますので、これからも続けていきたいと思っています!(可能であれば、ハッピーエンドを目指して・・・)。
今後とも応援よろしくお願いいたします。
いつか母と仲良くなれたら、母と私と猫さんで旅行に行きたいと思っています。 野っ原をのんびりと散歩。 母との生活は始まったばかり。 夢は大きく、まだまだ諦めません^^