藤沢あかり/編集・執筆

編集者・ライター。わかりやすい言葉で、わたしにしか書けない視点を紡ぎたい。たまご好き。行きたい店はだいたい臨時休業です。執筆媒体は「北欧、暮らしの道具店」「天然生活」「暮しの手帖」など。企業サイトのライティングも。http://akarifujisawa.com

藤沢あかり/編集・執筆

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    やりたかったことを、やってみる

    「いつか」「また今度」。そう思っていることがたくさんある。 小さなことから大きなことまで、たとえば先日通りがかった駅向こうのカフェに行ってみたいとか、魔女の宅急便を全巻読みたいとか、ペーパードライバー講習を受けたいとか、デンマークに行ってみたいとか。 泳げるようになりたい、というのもそのひとつだった。 今年の春ごろ、小学4年生の娘を水泳教室に通わせた。最近は小さいうちからスイミングに通う子が多い。けれどそうではなかった娘は、気づけばクラスの中でも「ほとんど泳げない子」のカ

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      • 建つ予定のないマンションの名前

        道を歩きながら、自転車を漕ぎながら、車の助手席やタクシーの後部座席で揺られながら。 かなりの割合で考えていることがある。それは、自分がマンションやハイツを建てるなら、名前は何がいいか、ということだ。 歩いていると、さまざまな文字に出会う。店の看板、交差点名、政党のポスターや地域のお知らせ。そういうのを自然と目で追いながら、特に見てしまうのがマンション名。気づくと、「自分だったら」を延々と考えている。 学生さんがメインで暮らすマンションなら、「ゆずり葉」なんてどうだろう。

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        • わたしはコアラ

          先日、取材で「わたしはコアラなんです」という人に出会った。 「コアラって、ごく一部の場所にしかいないしユーカリしか食べられません。反対に、なんでも食べられて、どこでも生きていける動物もいるでしょう? だからといって、コアラが怠けているわけでもないし、がんばっていないわけでもない。そもそも生き方が違うんです」 コアラはオーストラリアの限られた地域にのみ生息している。ユーカリを食べることで知られるが、食用となるのは数百種あると言われるうちの、ごく一部。そのうえ好みが個体によっ

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          • バターもジャムもかたまりで

            トーストを食べるときは、いつも真剣勝負だ。 限られたこの1枚を、どう構成するか。バターか、ジャムかはちみつか。チョコもいいし、メープルも捨てがたい。そうだクリームチーズもある。とにかく熱々の1枚を前に、私は真剣に考える。 今日はバターといちごジャム。 そう決めたら、バターもジャムも、ぼってりとかたまりのようにのせる。 味が濃いところをがぶりとやって、バターやジャムの味を存分にたのしむ。そうして口の中に余韻があるうちに、今度はなにも塗っていないところをがぶり。そのメリハ

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          • 藤日記
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          • 春からはじまる冬眠日記
            藤沢あかり/編集・執筆

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            サイゼリアに行ってはいけない日

            家族で外出し、あちこちをはしごしながら気づけばすっかり夕方。朝から公園で走り回り、そのあとは家族みんなそれぞれに洋服を買い、気になっていたベーカリーにも立ち寄った。おいしそうなパンや焼き菓子は、楽しみのぶんだけずっしりと重い。心は満たされたけれど、体はクタクタだ。 夫とわたし、どちらともなく「あ〜ごはんどうしよう、食べて帰る? でもどこで……」とつぶやいた。この時点で、家で作る気はゼロだ。 大人2人なら、どこでも目についた店に入ればいい。でも、子どもが一緒となるとそうもい

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            田植えというセラピー

            5月のある日曜日、埼玉の荒川沿いにある農園で田植えをさせてもらった。わたしはもちろん、夫も子どもたちも初めての経験である。 大人も子どもも素足になり、青空のもと、畦道を一列に並んで歩く。この時点で、もう非日常だ。想像以上にひんやりとした土や、草についた小さな水の粒。地球を足裏に感じながら、歩く、歩く。 いよいよ泥に足を突っ込むときがきた。みな、「ひゃー」とか「きゃー」とか言いながら、順番に田んぼに入っていく。はい次、はい次、と流れ作業のようにほかの人たちが入るのを目で追い

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            青いカーネーション

            「かあか、いつもありがとう」 そう言って子どもたちが手渡してくれた、青いカーネーション。 「すっごくかっこいい!」と息子が選んだその色は、ギョッとするほどのブルーで、元の花の色がところどころにアクセントのように残っている。 自分では絶対に選ばないし、無理やり青く染めた花なんて、と普段のわたしなら思うだろう。もしこれが付き合いたての恋人からのギフトだったなら、内心「センス……」と思ったに違いない。 それなのに、この花を受け取ったとき、ただただ素直に、「あぁかわいい、きれい」

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            マグカップのいいわけ

            新しいマグカップを買った。 ずっと欲しかった陶芸家の作品で、淡いブルーとピンクが混じり合った釉薬は、少し霞んだ春の空と桜が溶け合う景色を思わせる。まだ冷たさが残る冬の終わり、わたしはそれを画面越しに見ながら、もうすぐ来る春を思い、なんて素敵だろうとうっとりとした。 人気の作家だ、もしかしたらすぐに在庫がなくなってしまうかもしれないし、そうなれば海外から再入荷の機会は、ずいぶんと先になるだろう。実店舗に行けば見られるのはわかっているけれど、今すぐ買いに行く時間はない。けれど

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            わたしの理想は、わたしが決める

            先日、家族で朝ごはんを食べながらふと思った。 「あぁわたし、いま理想の暮らしのなかにいる」と。 蒸篭で蒸したパンと目玉焼き、野菜たっぷりのスープ、ヨーグルトと手作りのグラノーラ、フルーツ。パンにはバターと作ったばかりのいちごジャム。挽きたてのコーヒー。 こんな朝ごはんを家族で囲むことは、わたしの理想のひとつだった。でも、何年も前からこんなふうに過ごしていた気もする。なのに、いまさらどうして。 目玉焼きの黄身はカチカチだし、盛り付けもひどいものだ。コーヒーを淹れるのはあい

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            主観だらけのおいしさ。『神林先生の浅草案内(未完)』神林桂一

            その人の嗜好や思考、人柄が表れた、うんと偏(かたよ)った感想が好きだ。食べ物、映画や音楽、本。偏っていればいるほど、いい。 偏っているというのはつまり、書き手の人柄が伝わる主観たっぷりのもの。一般的な情報誌であれば「実家の母の味に似ている」「これまで食べたなかで一番」などと書くと、即座に編集部からの指摘が入るけれど、主観ならお構いなしである(媒体にもよるかもしれないけど)。その人を心をどれだけ揺らしたかがダイレクトに伝わると、自分だったらどうだろうかと俄然興味が湧く。そして

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            わたしだけの赤い傘

            娘がまだ小さく、抱っこ紐が手放せずにいたころ、1本の赤い傘を買った。色や柄だけでなく、持ち手の素材やかたち、露先と呼ばれる金具などのパーツひとつにいたるまで、すべて自分で選ぶ、オーダーメイドの傘の受注会。 赤ちゃんとのお出かけは、荷物が多い。慣れない子育てが始まったばかりのわたしは、その場に出かけるのも大仕事だった。 この先、もっと大変になるのだろうか。だとしたら、ちょっとでもお出かけが楽しくなる傘だといいな。大きめの方が、子どもと一緒でも濡れずに歩けるだろうか。ハンドル

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            帰り道のサンドイッチ

            保育園からの帰り道、ときどき子どもたちとするゲームがある。 「サンドイッチ」とわたしがお題を出すと、息子が「チョコ、バナナ」と答える。わたしが「あぁ〜いいねえ間違いないねえ」と答えながら、続いて「チーズ、生ハム、柿」と言うと、今度は娘から「あまじょっぱ〜」と返ってくる。 「いちご、生クリーム、あんこ」「きたーー」 「ツナ、マヨネーズ、きゅうり」「そうそう」 「チョコ、生クリーム、イチゴジャム」「アリやな!」 「たまご、焼き鳥、マヨネーズ」「絶対おいしい!」 「チョコ、生ク

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            わたしたちは文化をつくっている

            育児用品メーカーpigeonのサイト「コモドライフ」で、子育てのコラムを書かせていただいている。その原稿を送った際、編集長からこんなコメントをいただいた。 藤沢さんのこだわりであり、ご家庭の文化であり、 家族としての証というか、個性を伝えていることなんだな、 と感じました。赤ちゃんだからわからない、ではなく、 そうやって、家族になっていき、なんというか、親から子への 文化のプレゼントなんだなー、としみじみと感じました。 離乳食時期に使っていたお気に入りのうつわや調理器具に

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            母の梅干し

            母から届いた小包に、手製の梅干しが入っていた。 こう書くと、手仕事が好きで、いわゆる「ていねい」に暮らす母だと思われるかもしれない。でも、わたしの記憶のなかに、母が梅干しを浸けていた姿はない。 手作り上手な母をもつ人を、ずっとうらやましく思っていた。保存食や焼き菓子を熱心にこしらえたり、編み物や洋裁に時間を割いたり。そういう家というのは、インテリアもセンス良く整えられ、玄関や居間には花を絶やさず、幸田文や向田邦子のエッセイが料理本とともに本棚に並んでいるのだとも思っていた

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            「墨汁350円」、レシートが教えてくれること

            仕事を終えた夕方5時55分。18時タイムリミットの学童に娘を迎えに行き、その足で文房具屋にいった。このあと息子のお迎えもある。早く早くと急きたて買ったのは、書道教室で使う墨汁、350円。 その前日のこと。やけに早い時間にインターホンが鳴ったと思ったら娘だった。いつもなら学童から直接、書道教室に向かうはずが「2回連続で墨汁忘れたから、もう貸してもらえませんって言われたの」と娘。あぁ、またかとがっくりうなだれるわたし。こんなことは初めてではない。 わたしが小さいときにはこんな

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            わたしの好きなバスタオルの話

            バスタオルにアイデンティティとはふかふかか、ふわふわか、さらりか。ガーゼかパイルか、薄手に厚手、コットンかリネンか。年に一度総取り替えしますとか、色は白に決めていますとか。「あ、パイル派?なるほどそちらのタイプですか…!」というような流派を感じることすらある。暮らしの品こそ上質なものを、なんていう文脈の代名詞的な存在だったりもしますよね。何の話ですかねこれ、タオルの話です。 いつからかタオル、特にバスタオルに関しては、選び方がちょっとしたアイデンティティみたいになっている気

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