藤沢あかり/編集・執筆

わかりやすい言葉で、わたしにしか書けない視点を紡ぎたい。たまご好き。行きたい店はだいた…

藤沢あかり/編集・執筆

わかりやすい言葉で、わたしにしか書けない視点を紡ぎたい。たまご好き。行きたい店はだいたい臨時休業。趣味は手紙を書くこと。著書に「レシート探訪 一枚にみる小さな生活史」。http://akarifujisawa.com

マガジン

  • 藤日記

    日々のつれづれ、日記のようなもの。「記憶のかけら日記」は、SNSに書いたことば、スマホのメモ、これまで自分が書き散らした記憶の断片、思考途中のメモ書や雑談です。あとから思い出して書く文章に比べて、その瞬間の気持ちが詰まっているような気がします。写真でいうところの撮って出し、レタッチなしのことば。日付と事実は必ずしも結びついていません。

  • 春からはじまる冬眠日記

    2020年春に始まった家族4人のおこもり生活。小さくも豊かに暮らせるようにはじめる日々の記録です。

最近の記事

記憶のかけら日記11:カフェラテ一杯分のおしゃべり

2024年3月4日(月) 続かないのではなく、続けていない ほおらね、やっぱりね。そうなのだ、やっぱりわたしは続かない。いや、続けていないのはわたしなんだけど。何の話って、この日記のことです。 できないのではなく、やっていないだけなんだろうけど。そう書くのは簡単で、実行は難しい。やれやれ。 2024年3月5日(火) 三者三様 ライターと名のつく3人で集い。喫茶店でチョコレートタルトやチーズケーキを分け合いながら、アジアン料理屋でヤムウンセンやパッタイをつつきながら。

    • 熱い風呂と、雑談と

      家族内でトラブル。朝からささくれだった気持ちをなだめようと、子どもを保育園へ送ったあと、湯船に熱めの湯を張った。 自分のせいとも、子どものせいともいえる。夫がもっと役に立っていればともいえる。誰かのせいにできるような、でも実際のところ誰も悪くないような、それぞれの正義を貫きあいながら、ボタンを掛け違っていく。家族はいちばん小さな国であり、世界は家族の集まりである。 さまざまな思いを熱い湯に溶かしきり、ほかほかのからだでパソコンに向かう。途中、夫からLINE。親戚への所用の連

      • 桃カステラの春

        桃の節句は、2月のうちの桃カステラの注文から始まる。一昨年はすっかり忘れて間に合わず、都内にある長崎の物産館やデパートの銘菓コーナーを探し回り、結果買えずに終わるという苦い思いをした。 桃カステラは長崎の銘菓で、春を招く縁起菓子として愛されている。春先になると、長崎にいくつもあるカステラ屋の店先は、愛らしいカステラで桃色に染まるという。いつかその光景を見てみたいとずっと思っている。 大阪で育ったわたしにはまったく縁のないものだったけれど、長崎出身のひとたちが教えてくれ、さら

        • 記憶のかけら日記10:蛸足ノートの妻

          2024年1月22日(月) 5時、誤字 5時、終業ギリギリのタイミングで、原稿を編集者に送る。原稿をどのタイミングで完成とするか、いつも迷うし、なかなか踏ん切りがつかない。いつも何度も読み返し、ちまちまと修正を重ねている。送った直後に誤字が見つかるのも、いつものことだ。 2024年1月23日(火) noteのタブー noteでうまくやっていくためには、読み手にメリットがあることを、「読みたい!」と思うタイトルで書くのがなにより大事だそうだ。ああ、なにもできていない。

        記憶のかけら日記11:カフェラテ一杯分のおしゃべり

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        • 春からはじまる冬眠日記
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        記事

          なんでもない1月29日のこと

          月曜日の夜は、あわただしい。 保育園に息子を、さらにそこから自転車で15分先の学童まで娘を迎えに行く。行って戻って、1時間。夕飯づくりは時間勝負になる。今日は、土曜日につくったトマト煮込みのミートボールを荒くつぶし、少し濃いめの味に整え直したあとパスタを入れて絡めた。生活クラブで売っているニューオークボの生フェットチーネは、むっちりと食べ応えがあるうえ、茹で時間も3分で済む。 副菜には、切り昆布を甘辛く炒め合わせたもの。魚売り場を歩いていたら、以前取材で「黄魚(きお)」の店

          なんでもない1月29日のこと

          記憶のかけら日記9:後ろ歩きで進む

          2024年1月15日(月) 日常に溶けてしまう 吃音が日常にあると、どもったり詰まったりしていることに、あまり気づかない。一緒にいるひとに、何度も聞き返されたり、聞き間違えたりされている様子を見て、そうか、そうなのかと考え込んでしまった。 2024年1月16日(火) 後ろ歩きで進む わたしは過去を見つめながら、後ろ歩きの状態で前に進むような生き方をしている。視線はいつも過去にあり、背にある未来は見えていない。だから、おそるおそるすべらすように足を動かす。ひとに比べて進

          記憶のかけら日記9:後ろ歩きで進む

          記憶のかけら日記8:わたしがいるのはこんな場所

          2024年1月8日(月) あたらしいふわふわ 新年だからタオルを一新、というのを見るたびに「うちよりふわふわそうなのに……!」と思う。 2024年1月9日(火) カムバックお正月 配達日をきちんと確認せずに注文したであろう、伊達巻が今朝、届いた。 2024年1月10日(水) あなたはどう思う? 共感しなくていいし、どちらかの意見に決める必要もない。ただ「私はこう思う。あなたはどう思う?」を互いに話し、知るところからはじめたい。 2024年1月11日(木) わたし

          記憶のかけら日記8:わたしがいるのはこんな場所

          記憶のかけら日記7:これで、じゅうぶん

          2024年1月1日(月) お正月を迎えたかった 年末、旅行の出発間際に作って冷凍しておいた栗きんとんと生活クラブの黒豆、31日に慌てて調達した伊達巻きを並べ、あとは白味噌のお雑煮で、なんとかそれらしい食卓をこしらえる。「正月は意識的に迎えなければやってこない、ただの休日になってしまう」と、ラジオでジェーン・スーさんが話していた。ほんとうにそうだ。 午後、酔うような長い揺れ。日本の一部がボロボロと崩れるような映像に頭の中が真っ白になったままでいる。まだそれを語ることばを持ち

          記憶のかけら日記7:これで、じゅうぶん

          記憶のかけら日記6:誕生日のハピネス

          2023年12月25日(月) 機械音痴 空港の自動チェックインカウンターで、2台続けて係員を呼ぶはめになってしまった。入れたカードが出てこない。申し訳ないと感じる一方で、「機械め…」とも思う。しかし対人だと英語を使う必要があり、それはそれで困るのであった。 2023年12月26日(火) 季節を飛び越えて 寝て起きたら、オーストラリア。夜の間に太平洋を南下し、赤道を越え、季節を飛び越え、真夏の大陸にやってきた。ブリスベン空港からシャトルに乗り込み、クイーンズランドのサン

          記憶のかけら日記6:誕生日のハピネス

          記憶のかけら日記5:あこがれのクリスマスは

          2023年12月18日(月)  のんびりいこう 年末が近づくにつれ「年末のお忙しいなか」「バタバタしますが」などという枕詞のついたメールが飛び交い、さほど忙しくないわたしまで尻がもぞもぞとする。忙しくないことが申し訳なく感じ「いや、まてよ?」と思い直した。 2023年12月19日(火) 肉まん息子 息子にとって少々がんばりのいる所用を終え、コンビニに立ち寄り「なにか特別なおいしいもの買おうか?」と持ちかけると、真っ先に肉まんを選んだ。いつもはぜったいに選ばない「特選」

          記憶のかけら日記5:あこがれのクリスマスは

          記憶のかけら日記4:大人になったらなんでもできる

          12月11日(月) 二者面談 小学校の二者面談はいつも、面倒な保護者になってはいけないな、というストッパーみたいなものが発動する。これはよろしくない。 12月12日(火) 神戸と、光って見える棚 予定が変更になり、ぽっかり空いた日。思い立って様子が気になっていたひとに声をかけ会いにいくことにした。お茶をしたのは1時間足らずだったけれど、顔を見て話せてよかったと心底思う。帰りに荻窪に寄り、本屋Titleで開催中のマメイケダさんの個展へ。「神戸」を題材にした風景画と食べ物

          記憶のかけら日記4:大人になったらなんでもできる

          記憶のかけら日記3:ていねいな暮らしとか陰謀論とか

          2023年12月4日(月) ていねいな暮らし 若いころは「きれいごと」だと思っていたことや、手垢がつきすぎてむしろ避けていたようなことばが、年々実感として染みわたり、身体中を駆け巡っていく。「ていねいな暮らし」なんて、まさにその筆頭だ。 2023年12月5日(火) 北欧には住めない 夕方17時半。お迎えのときに真っ暗で寒いだけで、つらくて悲しくて困難なことに思えるの不思議。反対に19時くらいまで明るい夏は、まだまだなんでもできそうな気がする。 2023年12月6日(

          記憶のかけら日記3:ていねいな暮らしとか陰謀論とか

          やりたいことは、やればいい

          小さくて大きな夢があった。 お茶の水と神保町のちょうど真ん中くらいにある編集部で働いていたことがある。30歳、大阪から東京へ引っ越してきたあとのことだ(この頃については、拙著『レシート探訪』にも少し書いた)。 近くには「山の上ホテル」があった。クラシックホテルのひとつであり、池波正太郎や川端康成をはじめ、名だたる文豪に愛された場所だ。お茶をしたり、愛嬌のある「山の上ホテル」という文字を見上げたりしては、いつしかそこに泊まってみたいと思うようになった。 泊まるだけの夢なら、

          やりたいことは、やればいい

          「レシート探訪」メディア紹介まとめ

          「レシート探訪 一枚にみる小さな生活史」を刊行してから、ありがたいことにさまざまなメディアで紹介していただきました。 あちこちに情報が散らばっているので、こちらにまとめておきます。 ◆新聞・雑誌・ウェブメディアなど『日経ビジネス』7月24日号 武田砂鉄さんによる書評「今週の一冊」 『クロワッサン』9月10日号 「本を読んで会いたくなって」著者インタビュー 『沖縄タイムス』『山陰中央新報』『中部経済新聞』ほか各地方紙 書評コラム掲載。評者はイラストレーターの谷山彩子さん

          「レシート探訪」メディア紹介まとめ

          記憶のかけら日記2:公衆トイレのビニール傘

          2023年11月27日(月) よろしゅうございますか オレンジジュースから始まる朝。パリッと糊づけされた、真っ白なテーブルクロスを眺めながら、学生時代に「こちらのお席でよろしゅうございますか」と言うレストランでアルバイトをしていたのを思い出す。埃を立てずにテーブルクロスを変えたり、お皿を一度に5枚運んだりするテクニック、「六義園」は「りくぎえん」と読むということ、ロータリークラブの歌、ぜんぶこのアルバイトで覚えた。 2023年11月28日(火) 悩みながら楽しくもがいて

          記憶のかけら日記2:公衆トイレのビニール傘

          記憶のかけら日記1:点が集まりわたしになる

          X(Twitter)やInstagramなどのSNSにちょろっと書いたことば、スマホのメモ、これまで自分が書き散らしたものを、どこかにまとめておけたらと思っていました。あとから思い出して書く文章に比べて、その瞬間の気持ちが詰まっているような気がしたからです。 そんなわけで、ここに一週間単位くらいでまとめてみようかと思います。日付と事実は、必ずしも結びついていません。記憶の断片、そして思考途中のメモ書きです。 2023年11月20日(月)閉店の女 気持ちのいいお天気だったの

          記憶のかけら日記1:点が集まりわたしになる