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コミュニティへ飛び込み見つかる心躍るキャリアへの道標

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は滋賀県にてプロバスケットボールチームの運営を手掛けつつ、地域での起業創業をコミュニティとして支援されている藤居 海好さん。故郷に戻り行動を重ねる想いについて伺いました。


── 藤居さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

今は滋賀レイクスというプロバスケットボールチームを運営している会社に所属しています。具体的にはスポンサーのアクティベーションや商材開発を手掛けています。


── 素人で話についていけそうもありません(笑)

もっと噛み砕いてお伝えすると、協賛金を増やすことがお仕事です。プロスポーツチームの売上はスポンサーシップセールスが大きな役割を占めることが多いのですが、昨今のスポンサーシップは単なる広告枠ではなく、一緒に社会に価値提供していくパートナーシップが潮流となりつつあります。ゆえに我々もスポンサー企業ではなくパートナー企業と呼んでいますが、そのパートナー企業と共にどのように地域課題を解決し、社会に貢献していけるかを考えていく役割を担っています。バスケのことではなくSDGsとお金のことばかり考えてます(笑)


── 滋賀レイクスに関わるモチベーションはどちらにありますか?

学生時代にまで遡るのですが、大学時代は女子サッカー部に所属していました。年代別代表や国体に選ばれるような選手たちもいて、インカレで優勝して日本一になったこともあります。それなのに、当時はプロチームもなくサッカーで食べていくのが厳しいこともあり、卒業後はなでしこリーグに行かずに一般就職を選ぶのを見ていて、もったいない、なんとかできないかと思っていました。自分自身はスポーツを通じて成長させてもらってきたものの、選手としてはポンコツすぎてプレーではスポーツ界に全く貢献できなかったので、ビジネスという関わり方でスポーツ界に恩返しをしていきたいという想いもありました。


── その想いを起点にして、どうやって今のお仕事に辿り着かれました?

興味を持ち始めて色々調べていくと、Jリーグでも赤字経営が常態化していて親会社の補填で何とか生き残っているチームがあったり、スポーツをビジネスとして成立させるのは難しいという現実を知りました。なでしこリーグだけではなくスポーツビジネス自体のパイを拡げていかないといけないと感じてはいましたが、もし仮に新卒でJリーグの運営に入れたとしても、そこで自分ができるようなことは何もない。そこでまずはスポーツを変革できるような力を身に着け、10年後にスポーツ界に飛び込もうというキャリアを描きました。


── 10年後に活躍するキャリアとは?

経営とITを身に着けることです。スポーツで稼げるようになるためには経営目線が必須であり、さらにスポーツは競技力がビジネスに結びつくので、競技力を高めるためにITは必要だと考えました。そこでファーストキャリアとしてプロ野球チームをクライアントに持つITコンサルを選び、次にJリーグチームをクライアントに持つ経営コンサルに入りました。そうこうしていると東京でオリンピックが開催されることが決まり、最大級のスポーツビジネスであるオリンピックには仕事で関わりたいと思って転職し、結果的にラグビーワールドカップとオリンピックパラリンピックで経験を積むことが出来ました。


── オリンピック後に活躍の場を滋賀に移されたのは何か理由がありますか?

出身が滋賀県長浜市というところで、「東京-長浜リレーションズ」という首都圏に住む長浜市応援コミュニティを立ち上げて、プロボノでまちづくりのお手伝いをしていています。東京で働きながら、ふるさと納税の返礼品のプロデュースやアクセラレーションプログラムの運営などを企画運営していたところ、滋賀も仕事のフィールドとして面白いなと思うようになりました。スポーツビジネスは社会性と事業性のバランスが大事で、地域とも密接に関わっていく必要があるので、せっかくなら出身地の滋賀県でスポーツ×まちづくりがやりたいと考えて、滋賀県唯一のプロスポーツチームである滋賀レイクスにご縁をいただいた次第です。


── 東京と長浜を結び付ける取り組みは、どうやって接点を持たれました?

一番最初は「地方創生」をテーマに掲げたStartupWeekend(以下SW)に参加したことです。そこで東京に出てきた地方出身者のパワーを地元に還元するプラットフォームを作りたいというアイデアをピッチして、それをカタチにするために細々とパイロットプロジェクトをやっていました。その頃ちょうど地方創生のマクロ施策のスコープが移住から関係人口創出にシフトし、長浜市も何かしないとという流れの中、高校同窓会の東京支部経由で声をかけてもらいました。「関係人口のコミュニティを立ち上げたいので、手伝って欲しい」と。それがきっかけでした。

地方創生を掲げて開催されたSW東京(2015年)


── 藤居さんはその後、SWの運営にリーダーの立ち位置で数多く関わられていらっしゃいますが、どのような想いがそこにはありましたか?

キャリアのテーマであるスポーツビジネスの課題解決に資することができれば、という想いです。今でこそSportsTechのスタートアップ等が増えましたが、当時はあまり名の知れたスタートアップもなかった。さらに大手企業もスポンサーシップなどスポーツとの関わり方は限定的だった。そこで、大手企業が手を出さない領域にスタートアップが増えて、大手企業や既存のプレイヤーと手を組んだら、集合知からどんな面白いことが生まれるんだろうと考えました。


── 思い出しました。藤居さんが手掛けた場は「スポーツ」や「東京2020(オリンピック)」といった風にスポーツに全振りされていましたね(笑)ちなみにそういった取り組みをイベントに終わらせずコミュニティとして継続させるためには、何が大切でしょうか?

今は滋賀のコミュニティを手掛けているので地域の話になるのですが、どのようなまちにしていきたいかを考えて、そして市の方針に寄り添いながら、出口を設計することです。例えばSWの出口としてアクセラレーションプログラムを実施して、次の年はプログラムの卒業生にメンターになってもらって…と少しずつエコシステムらしくなってきました。そのために地元の方々を巻き込むことも大切だと感じています。


── 具体的にはどのような巻き込み方になるのでしょうか?

例えば東京-長浜リレーションズメンバーには市の職員の方々もいらっしゃいますが、地元企業やすでに地域で活動している方々とのHUBになってくださったり、国から補助金をとってきてくださっています。活動はプロボノで活動している我々に合わせて基本平日夜か休日で、残業手当も出ないのに「面白い人に出会えるから!」「長浜が元気になるなら!」と仰ってコミットいただいていてありがたい限りです。また、イベントに外から参加してお越しいただくことも大事ですが、まずはまちの中にいるひとがそのまちでやりたいことを実現するお手伝いをすることを中心に考えています。必然的に関係性がより長続きして打ち上げ花火で終わるようなことはありません。

プロボノで活動している仲間に合わせてご協力くださる長浜市の皆さま


── コミュニティ継続のポイントをお伝えいただきありがとうございます。そんな藤居さんはスポーツや滋賀を中心に活躍されつつも、海外のSWにも積極的に足を運ばれていますが、どういった背景があるのでしょうか?

どんなアイデアが生まれてカタチになっていくんだろうというワクワク感が一番ですが、もう一つは日本以外の広い広い世界のことを知りたいから。知識として世界の情報を得る手段はいくらでもあります。けれども実際に行ってみて、現地の人と話して、五感で感じるのは全く違う。ただの観光よりも現地のことを理解する必要があるSWは本当にいい機会です。


── 深センで開催したSWに藤居さんが運営として来てくれた日のことを思い出しました。

あれも凄かったですね。肌で違いを感じました。これを言うと悲しくなりますが、日本にはもう未来はなくて、世界には未来があり、今まさにそれが形作られようとしているんだと(笑)40年で人口が40倍、平均年齢が30代前半、テクノロジーが集積したものづくり、起業が当たり前。それを肌で感じることが出来たので、行って良かったと思っています。

未来を感じ取れたSW深セン(2018年 運営記念写真)


── 自分も深センで未来を感じ取ったことを思い出しました。少し話は戻りますが、地域からスポーツまでコミュニティを手掛け続ける藤居さんの言葉でお伺いしたいのですが、コミュニティに欠かせないものはなんだと思われますか?

活性化を自ら進んで引き受けてくれる人、でしょうか。みんなのHUBになってくれて、自らイベントも企画するし場も回すし、というキーマンがいるコミュニティは強い。一方でその人がモチベーションを失うとコミュニティも死ぬというリスクはあります。でもたまにいますよね、そんなにやってくれてありがたいけどお仕事とかご家庭は大丈夫?って心配になるくらいコミットメントが高い人(笑)


── お仕事をやっているのか怪しいぐらいの人(笑)

コミュニティのループを最初に勢いよく回してくれる人、なのかもしれません。まずはその方がイベントを立ち上げて、そこに参加してくれる人が増え、気付けば「私はこんなことやりたい!」と他に手を挙げる人が登場し、またそこに仲間が増え…といった連鎖が続いていくことが大事ですね。出ていく人がいるのは仕方ないけど、コンスタントに入ってくる人がいればエコシステムは維持できます。


── そんなモチベーションに満ちたコミュニティの力を借りて、アイデアをカタチにしたいと願う人は何を持つべきでしょうか?

続きは下記よりお読みください。


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