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持続可能な地域を未来へ-自治体と産業の関係性

こんにちは、地方公務員の新家です。北海道猿払村に勤務しています。今日は、自治体と産業の関係性について思ったことを綴ってみます。

6年ほど前、とある計画づくりを担当していた時に、とある方から言われた言葉を今日ふと思い出した。それは、“移住施策なんて進めなくても、地域に産業があれば人はいなくならない。”というもの。その時は、そんなに深く考えていなかったものの、忘れることはなく心に残っていた。たまに思い出して、自分の取り組んでいる仕事を振り返ったりもしてきた。

なぜ、今日その言葉を思い出したかというと、平成の大合併の時に合併し基礎自治体としては消滅した地域を訪れたから。その地域は平成の大合併が進められた時期に、基礎自治体としては近隣の自治体と新設合併し消滅した自治体だ。一方で、そこに住んでいる人は減ってはいるものの産業は変わらずに継続され、人々の暮らしは連綿と続いている。自治体の消滅が産業の衰退につながる恐れはあるものの、対処法だったり産業の強さによってはそれほど影響を受けないこともあるだろう。

これは、持続可能な産業は自治体の形に左右されることなく維持されることを実証している。また、様々な協同組合の枠組みにも左右されずに残ってきている。猿払村農協も2000年に浜頓別農協と合併して東宗谷農協として再スタート。変わらずに酪農業は発展し続け、猿払村の基幹産業として今も当然に村づくりの根幹をなしている。

移住施策がうまく進むためには、そこに魅力的な仕事や住宅があればこその話で、単に移住してくださいと言っても進むものではない。猿払村は特に空き家が少なく、 住宅事情的にも応えられない現状だ。猿払村で現在取り組んでいるビニールハウスを活用した農業の取組みは、まさに新たな産業の創出から人の流れを生み出そうと考えているからだ。一方で、言うまでもなく漁業や酪農業についてはこれまでどおり強力に推進していくことは基本線である。漁業と酪農業が大黒柱だ。

仮に、国策として未来に基礎自治体のあり方が変わったとしても、産業がしっかりしていれば公務員の数は減少するとしても、基幹産業に関わる人たちはそこで営みを続け地域は維持されていくだろう。一方で、村職員としても、村民としても猿払村という基礎自治体は将来にわたって存在し続けてほしいと願っている。ただ、もっとも大事なのは、“そこに住まう人たちの暮らしが豊かであるということ”だと思っている。そのためにも将来にわたって、持続可能な産業を維持し、創出していくことが今自治体の仕事として求められている事だと感じている。

それでは、また。


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